想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

海をみていたカラス

2009-05-06 14:13:24 | Weblog
真昼の海辺を見ていたカラス。
大人も子供も老人も飼い犬も、ビニールシートの上でまどろんで午睡をとる。
カラス、何みてんだろ、と向けたカメラに気づいたふうなカラス君。
ずっとこのポーズだったのである。
なんだかどこかで見た風景だなあ、どれもこれも。



ああ、「初めて」のことにはどうしたら会えるのだろう?
慣れ親しんだ森の中では、毎日手に取れる「初めて」がある。
あのわくわくした感じは、なかなかみつからなかった。
せっかく小さな旅をしたのになあ。

         
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鎌倉ミルクホール

2009-05-06 14:12:33 | Weblog
線路ぎわに、薔薇がつんと上向きに咲いている。
その脇で、乗り捨てられ錆の出た自転車が家来のように佇んでいた。
誰のかなあ、待ってるみたいな風情。



まるで原宿みたいな小町通り、雑踏をかき分け路地へ入るとミルクホール
という名の珈琲店がある。店先にベンチが置かれ順番待ちの人が並んでいた。
昔はなかった水盤にメダカが泳いでいた。
急く人々の思いをちょっとだけ受け止めてくれている。
待つほどのこともないので、水盤だけじっと眺めて立ち去ることにした。

遠い日の夏、アンティーク家具の暗い店内はあまり人気もなくて静まりかえり
たしか客はわたしたちだけだった。
あれは悲しみというより、通り魔にあったような切り傷の痛みだった。
唐突に席を立ったわたしは一つの恋を終わらせて、追ってきた彼はといえば
わたしではなく失った時間に未練があっただけのこと。
激しい痛みは人を正気に帰らせる。
そんなものよね~と、知ったかブッタでいたいのではあるが、しかし海を
見たあとによせばいいのに鎌倉で途中下車してしまった。
想像以上の人ごみにうんざり、ぞろぞろ歩きの観光客はインフルエンザも
なんのそのである。
懐かしいミルクホールは、もうあとかたもなかった(いや、店はあるけどさ)。

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