線路ぎわに、薔薇がつんと上向きに咲いている。
その脇で、乗り捨てられ錆の出た自転車が家来のように佇んでいた。
誰のかなあ、待ってるみたいな風情。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/12/f14915bb8fa3f7c5bbc549ea40bfad9d.jpg)
まるで原宿みたいな小町通り、雑踏をかき分け路地へ入るとミルクホール
という名の珈琲店がある。店先にベンチが置かれ順番待ちの人が並んでいた。
昔はなかった水盤にメダカが泳いでいた。
急く人々の思いをちょっとだけ受け止めてくれている。
待つほどのこともないので、水盤だけじっと眺めて立ち去ることにした。
遠い日の夏、アンティーク家具の暗い店内はあまり人気もなくて静まりかえり
たしか客はわたしたちだけだった。
あれは悲しみというより、通り魔にあったような切り傷の痛みだった。
唐突に席を立ったわたしは一つの恋を終わらせて、追ってきた彼はといえば
わたしではなく失った時間に未練があっただけのこと。
激しい痛みは人を正気に帰らせる。
そんなものよね~と、知ったかブッタでいたいのではあるが、しかし海を
見たあとによせばいいのに鎌倉で途中下車してしまった。
想像以上の人ごみにうんざり、ぞろぞろ歩きの観光客はインフルエンザも
なんのそのである。
懐かしいミルクホールは、もうあとかたもなかった(いや、店はあるけどさ)。
その脇で、乗り捨てられ錆の出た自転車が家来のように佇んでいた。
誰のかなあ、待ってるみたいな風情。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/12/f14915bb8fa3f7c5bbc549ea40bfad9d.jpg)
まるで原宿みたいな小町通り、雑踏をかき分け路地へ入るとミルクホール
という名の珈琲店がある。店先にベンチが置かれ順番待ちの人が並んでいた。
昔はなかった水盤にメダカが泳いでいた。
急く人々の思いをちょっとだけ受け止めてくれている。
待つほどのこともないので、水盤だけじっと眺めて立ち去ることにした。
遠い日の夏、アンティーク家具の暗い店内はあまり人気もなくて静まりかえり
たしか客はわたしたちだけだった。
あれは悲しみというより、通り魔にあったような切り傷の痛みだった。
唐突に席を立ったわたしは一つの恋を終わらせて、追ってきた彼はといえば
わたしではなく失った時間に未練があっただけのこと。
激しい痛みは人を正気に帰らせる。
そんなものよね~と、知ったかブッタでいたいのではあるが、しかし海を
見たあとによせばいいのに鎌倉で途中下車してしまった。
想像以上の人ごみにうんざり、ぞろぞろ歩きの観光客はインフルエンザも
なんのそのである。
懐かしいミルクホールは、もうあとかたもなかった(いや、店はあるけどさ)。