想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

なりきり密偵プー親分

2009-05-13 09:45:30 | 
移動中や寝台でちょっと気晴らしに鬼平を読む。
五月なので「五月闇」を読んだら、気晴らしどころじゃなかった。

なので今朝はカメをとーぜんのように、お頭(かしら)と呼びたくなった。
そして親分は密偵である。
「お頭お頭、お呼びでございますか」とスリスリしているところ。
つなぎのうさこが木陰から見ているとも知らず‥‥、ベタベタしてる。



五月闇(第14巻)は伊三次が殺られたあの話。
何度も読んでいるのだからわかっているはずなのだが‥‥、
おもしろおかしい話ばかりが人の気持ちを引き寄せるわけじゃないけんね。
伊三次を思いやり苦しみを受け止めるお頭鬼平の気持ちに触れたくなるのね。
足を洗ったはずなのに過去の罪から逃れられない伊三次。
そのやりきれなさを何も言わずに瞬時に理解する鬼平。
理解者面するだけの人じゃないけんね、とことん守りいたわるけんね。
勧善懲悪の偽善ではない話だから惹きつける。

「ワタシ、ワルくないね、あの人悪いね」と言い訳する場面などない。
現実にはありえない世界っていうくらいだ。
そうか、鬼平は現実逃避にぴったし!なんだな‥‥。
読後はおかげさまで元気がわいてくる感じになる。
とても悲惨な内容なのに裏腹なこと、それをカタルシスって言うよなんて
言われるとなんか抵抗したくなりますです、はい、もっとそれよりいいものがある感じ)




道の向こうに賊が潜んでいるやもしれんので、なにか臭うぞ。得意の鼻を役立てて
今日もタンサクに行くとしよう。お頭のために骨身を惜しまないプー親分であったが
それもまた背後に迫るうさこには気づいていない。
さしずめ兎忠(同心、木村忠吾)とどっこいどっこいの親分である。




アヤシい人影が‥‥、あの背負子にはいったい何が‥‥と親分は駆け出したのであった。
意味ないです、密偵なのにしのび足ができませーん。
コメント
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