心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

ラジオ世代

2008-08-03 09:43:19 | Weblog
 バタバタしているうちに、いつの間にか8月の声。ほんとうに暑い日が続きます。カレンダーを見ただけでも暑い、暑い。このところ愛犬ゴンタも夏バテ気味で、木陰を見つけては地面に身体をすり付けて微かな涼を求めています。
 こんな暑い日は、わたしも動くのが億劫になります。高原の朝の小鳥の囀りを収録したCDをBGM代わりに、部屋のなかで本をめくりながらじっとしています。そうそう、朝日新聞の販売店から、先日申し込んでいた額絵シリーズ「ミレイとイギリス絵画の至宝」が届きました。1回目の今回はミレイの「オフィーリア」とロセッティの「プロセルピナ」。さっそく部屋に飾ってみました。暑い夏にオフィーリア、何か似合いそうです。
 ところで、朝日新聞が夕刊で「ラジオの時代」を特集しています。その第一部が先週の金曜日でいとまず終了し、12月から第二部が始まるのだそうです。ラジオの歴史はたかだか80年あまり。その間、時代は昭和から平成にかわり、テレビの普及でラジオはだんだん影が薄くなってきました。しかし、この連載に目を通していると、熱いリスナーの存在と、熱い番組制作者の思いが、ラジオというメディアを支えていることを知ります。記事には、NHK「ラジオ深夜便」をはじめ、ライブドア騒動で厳しい表情を見せたオールナイトニッポンの亀淵さんほか、いろんな方々が登場されました。これからも、新しいラジオ文化というものが生き続けていくのだろうことを思いました。
 私もラジオ世代の一人です。テレビよりも圧倒的にラジオから得る情報が多く、政治・経済・社会問題だけでなく、文化教養番組まで広範に及びます。「ラジオ深夜便」と共に眠り、朝5時のニュースでいったん眼ざめ、うとうとしながら朝を迎える生活を、ここ数年ずっと続けています。最近、欠かさず録音しているのが日曜日の夜9時から始まるNHK第二放送の文化講演会。今年は「日本人の生き方」「自然環境」「教育」などがテーマです。8月は姜尚中、北山章之助、上原まり、真鍋俊照、中村哲といった方々がご登場の予定ですが、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車のなかで、ぼんやりと耳を傾けながら、いろいろな気づきをいただきます。
 考えてみると、視覚ではなく聴覚で、耳を澄まして聞くことで、文字やテレビの映像ではとらえることのできない、もっと人間的な出会いが、ラジオにはあります。こうした出会いを通じて、その方の書物に触れる。ラジオを通じて聞いた、その人の声を耳の奥に感じながら本を読むことになります。これまでにどれだけ多くのことを学ぶことができたか。その気づきを、点から線に、そして面に、そして構造化させていくなかで、自分自身の立ち位置というものを確認してきた、これが五十数年間を経て、今日の私を「生かしている」、そのように思っています。


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