心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

ドビュッシーを聴く休日の朝

2010-01-24 10:07:16 | Weblog
 愛犬ゴンタのお散歩コースに、200mほど朝日に向かって直進する個所があります。今朝その道を歩いていると、早朝の寒さにもかかわらず、うっすらと頬と額に温もりを感じて、なんだか春が待ち遠しくなりました。といっても、これから2月にかけて、まだまだ寒くなることでしょう。いま、我が家の檸檬の樹には、たくさんの実がなっています。それを1個、2個ともぎ取ってはお風呂に入れて楽しむ、そんな贅沢な生活ができるのも、この寒い季節です。
 さて、日曜日の朝、この時間になると、決まって私はパソコンの前に座り、1週間を振り返ります。きょうのBGMは、ドビュッシーのピアノ曲(月の光、亜麻色の髪の乙女.....)。このところ、どちらかと言えば、ビル・エヴァンスやら、バッハの名曲をジャズのリズムで演奏してくれるジャック・ルーシェらのジャズピアノを聴くことが多いのですが、ときにはグレングールドの「ゴールドベルク変奏曲」に手を伸ばしてみたり、リストの「超絶技巧練習曲」を弾くラザール・ベルマンの演奏を聴いたり。どうも最近、私の音楽箱は何かと騒々しいのです。
 でも、パソコンの横には、ずらり須賀敦子全集全8巻が並びます。先週、第4巻の「遠い朝の本たち」を読み終えて、そこでいったん本を閉じました。それに続く作品が書評を中心としたもので、まだまだ読書量の少ない私には少し重荷だったからです。そんなわけで、昨夜手にしたのは第7巻「どんぐりのたわごと」。イタリアから日本の友人たちに向けて編集した冊子「どんぐりのたわごと」が1号から15号まで収録されています。読み始めると教会のこと、それも翻訳が多いのですが、須賀さんのキリスト教に対する考え方のようなものが垣間見えます。それは、若い頃に私を悩ませた私自身の宗教観を考える時間を与えてくれるようにも思います。

 ここで話題を変えましょう。昨日、仕事帰りに京阪百貨店で開かれていた「関西らんフェスタ」を覗いてきました。パンフレットには「日本一規模のデパートらん展」というサブタイトルがついていました。数日前に、百貨店業界の2009年の売上高が前年比で二桁のマイナス、という新聞記事が目に留まりましたが、ここは全くの別世界。多くのお客さんで賑わっていました。

 ことし私は、カトレア系とパフィオ系を中心に、展示と即売コーナーを見て回りました。そんな会場の一画に、誕生月ごとの蘭が飾ってありました。....1月はリカステ(穏やかな優しさ)、2月はセロジネ(親切心)、3月はシンビジューム(好奇心旺盛)、4月はオンシジューム(献身)、5月はカトレア(溢れる行動力)、6月はデンドロビューム(冒険心)、7月は風ラン交配(秘めた思い)、9月はエピデンドラム(おおらかな気持ち)、10月は胡蝶蘭(純粋な気持ち)、11月はマスデバリア(バランス)、12月はパフィオ(芯の強さ)。そして、私の誕生月である8月は、バンダ(情熱)。「真夏の太陽そのままのようなあなたは、いつも前向き!太陽の国のシンボルである蘭はあなたそのものです。周囲をハッと驚かせる艶やかさをいつまでも忘れないで!」と。....私にはちょっと似合わないなぁ、と心の中で苦笑いしながら、月ごとの説明パネルを一枚ずつカメラに収めました。

 ドビュッシーの曲を聴いていると、何の脈絡もなく、私の心が宙を舞う、そんな心もちになります。何かがぼんやり浮かんできては消えていきます。ひとつのことに留まらないで、別のことに思いをやる。頭のなかで何かがころころと転がっているような、そんな空気が、朝の陽の光に輝く部屋に充満します。
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