心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

都会の小さな秋

2010-10-10 09:58:46 | 愛犬ゴンタ

 北海道出張を終えて我が家の玄関口に立ったら、暗闇の中からうっすらとキンモクセイの香りが漂ってきました。懐かしい香り、そう秋の夜を思いました。そんな秋の休日、早朝に愛犬ゴンタと近くの里山を散策しました。昨夜までの雨もあがり、空には淡い青空が覗いて見えました。

 今回の出張先は、千歳空港から車で40分ほどのところにある苫小牧市でした。初めておじゃました街です。宿泊先のホテルの名前が苫小牧ではなくて王子とはなぜだろうと思いながら、車窓に流れる街の景色を眺めていたら判りました。苫小牧は王子製紙の城下町のような街でした。部屋の窓からは、街並みの向こうに海が見えます。遠くに望む樽前山は活火山のようで、溶岩ドームからは白い煙が昇っています。こんな自然環境のなかに、この街はありました。
 そういえば、甲府にいる長男君のマンションを訪ねたときも、遠くに雪を頂く北アルプスの山々を仰ぎ、地球という大自然のなかで共に生きていることを実感したものです。こんな感覚は、大阪では味わうことができません。せいぜい小さな自然を見つけては、自分の感性をぞんぶんに膨らませ、地球人としての存在を実感することになります。

 ところで、天満橋のジュンク堂書店で、創刊されたばかりの季刊誌「kotoba」に出会いました。「多様性を考える言論誌」という副題が付いています。特集は「生物多様性はなぜ必要なのか」でした。分子生物学者の福岡伸一先生の小論には「自然の精妙さに目をみはり、美しさに打たれる感性--センス・オブ・ワンダーは、私たちを支え、生物多様性の重要さを気づかせてくれる」とあります。「国家間のエゴや効率思考が先行すれば、生物多様性の理念はあっという間に損なわれてしまうだろう」「地球環境はしなやかであると同時に、薄氷の上に成りたっている」とも。
 考えてみれば、世の中の多くの事柄が薄氷の上に成りたっているのではないか、そんな気がしないでもありません。いえいえ、そんなに悲観的に物事を考えてはいけません。先日、ノーベル化学賞を受賞された根岸先生がおっしゃった「楽観主義」という言葉に、なにやら救われた感もあります。都会のなかで小さな秋を見つけるのもいいじゃあないか。そんな感性こそ大事にすべきなんだ。そんなことを考えながらレジに並びました。もう一方の手には、「DIAMONDハーバードビジネスレビュー」も。今月の特集は「戦略の実現力」ですが、サステナビリティ「持続可能な経営」が気になりました。

 そうそう、明日は、長女一家が我が街に引っ越しする日です。本来なら今日の日曜日にあるはずだった孫君の運動会が、雨模様のため、明日に延期になり、最後の運動会と引っ越しが重なるという最悪の事態になってしまいました。すると俄然、お祖父さんとお祖母さんの出番です。明日は、早朝から長女の家に出向き孫君を連れて運動会に参加することになります。孫君、今年はどんな走りを見せてくれるのでしょう。親馬鹿ならぬ、爺馬鹿の様相ではあります。

コメント