今日は5月5日、子供の日です。しばらくすると長女が孫君たちを連れてやってきます。それにしてもこのゴールデンウィークは、事前に何も計画していなかったので、日々、スマホ万歩計を睨みながら、行き当たりばったりの、のんびりとしたものでした。
連休の前半、孫君と地元の温泉にでかけた翌日の29日、家内が急に思い立って、午後から宝塚の清荒神さんにお参りすることになりました。途中で次男君と合流し、梅田で阪急電車に乗り換えて、いざ出発です。ここ数年、この時期にお参りに行く癖が付いてしまいました。
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梅田に舞い戻ると、大阪駅北側「うめきた」に4月下旬にオープンしたばかりの「グランフロント大阪」を訪ねました。しかし、どの階も人、人、人でいっぱい。6階あたりまで上がって人酔いしてきたので、早々に引き揚げました。この日のスマホ万歩計は1万6千歩に達しました。
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連休後半初日の3日は、京都市勧業館「みやこめっせ」に出かけました。「春の古書大即売会」です。だだっ広い会場に、京都古書研究会会員店のほか、滋賀、大阪、奈良、岡山、徳島の書店まで勢揃いの44書店が集まる、それは大きな古書展でした。あまりにも広いので、ざっと眺めるのに1時間、品定めするのに1時間もかかりました。
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その日の収穫は、河上徹太郎著「わが小林秀雄」、多田富雄著「生命をめぐる対話」、鶴見俊輔著「鶴見和子を語る」、山室静著「ギリシャ神話(付北欧神話)」、渋沢栄一著「論語講義」、月刊誌「ユリイカ」村上春樹特集号2冊など。
最近、気になるお方の、その方の周囲の人たちが語る人物像から、人となりに迫ろうという思いが強くなっていて、ついついそんな選書になってしまいました。以前、ご紹介した季刊誌「考える人」特別付録CDで、小林秀雄さんと河上徹太郎さんの対談を聴きましたが、なんとも楽しげな対談に二人の関係が気になっていました。鶴見和子さんも同様で、弟・俊輔さんの視点からはどう映っていたのか興味津々です。
そうそう、帰りは京都市勧業館から歩いて京阪電車の三条駅をめざしました。春の柔らかい陽を浴びながら、何年振りでしょう、鴨川の河川敷に降りて三条大橋をめざしました。のんびりとお散歩する人々、クラリネットの練習に励む人、寝っ転がっている人、おだやなか風景でした。40年前もそうでした。
三条大橋で大通りに上がると、CD店JEUGIAを覗きました。残念なことに、CD売場がスペースも品揃えも以前の2分の1以下になっていました。でもせっかく来たのだからと、先日発売されたばかりのCD「『小澤征爾さんと、音楽について話をする』で聴いたクラシック」(3枚組)を買って帰りました。村上春樹さんと小澤征爾さんの対談集は小林秀雄賞受賞作です。この日の万歩計は1万1千歩を示していました。
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そして昨日4日は、家内とお出かけでした。朝食のとき、おいしいコーヒーをいただきながら、どちらからというでもなく「どこかに出かけようか」ということになり、ネットでいろいろ調べましたが埒があかず、とりあえず奈良に行ってみようということになった次第。
JR奈良駅に到着すると、さっそく駅の観光案内所でチラシを眺めて位置感覚をチェックします。そして三条通りを東進しました。骨董屋さんを冷やかした後さらに東進すると、南側に道幅の細い「もちいどの商店街」が目に留まりました。地図を見ると、この地域一帯を「ならまち」と呼び、お菓子屋さん、古道具屋さん、民芸屋さん、生活雑貨屋さん、手芸屋さん、機織屋さん、陶器・美術工芸品屋さん、和服屋さん、古本屋さん、漢方薬局、洒落た食事処などが軒を連ねています。観光客目当てというでもない、歴史と伝統のある風情ある商店街でした。お店を覗いて驚いたのは、比較的若い方々が主役だっだことです。接客態度も丁寧で素晴らしい商店街でした。そんな狭い商店街に観光客風の老若男女が三々五々やってきます。家内いわく「また、来よう」と。
先日立ち寄った「グランフロント大阪」は若者たちでごった返していましたが、何かモノに対する過度な期待、熱気のようなものが渦巻いていて落ち着きませんでした。でも、「もちいどの商店街」は違いました。古いモノの良さと新しいモノへの夢のような、もっと人間的な営み、文化的な香りのようなものが感じられました。これを「不易流行」というのでしょうか。そんな印象を受けました。すれ違う若者たちの表情にも何かしら落ち着きが感じられたのは気のせいでしょうか。初老の勝手な解釈、独断と偏見なのかもしれませんが、正直そのように思いました。
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気分を良くした私たちはその後、北進して猿沢池を通って興福寺に向かいました。そこでは、東金堂と国宝館を拝見しました。やはり阿修羅像のお姿は、いつ見ても素晴らしい、心が洗われるとはこのことです。1300年も前に、この地に素晴らしい仏教文化が花開いたことを思うと、時空を超えた世界が目の前に広がります。身の引き締まる思いがいたしました。
拝観が終わると、さらに歩を進めました。今度は奈良県庁前で100円観光バスに乗って平城宮跡に向かいました。なんともだだっ広いところでしたが、ちょうど平城京天平祭をやっていました。この頃になると足腰にガタがきそうでしたが、お祭り広場で美味しい奈良のお酒をいただいて、疲れを癒しました....。
という次第で、この日のスマホ万歩計は、な、なんと、過去最高の1万8千歩を記録、「金賞」に輝きました。この連休を振り返ってみると、トレッキングシューズを履いてあちらに行ったりこちらに行ったり。連日1万歩を軽くオーバーしました。ふだんは5千歩をクリアするだけでもたいへんなのに、「たいへんよくできました」。