朝晩の冷え込みが増し、草木に宿る露が冷たく感じられる時季を「寒露」というのだそうです。秋も深まり、数週間前に一番花が咲いたキンモクセイが、いま本格的な香りを街に充満させています。セージの花も今年最後のお姿です。
きょうの土曜休日は、朝一番、孫次男くんの運動会の応援で始まりました。保育園年少組は出番が早く、朝9時に正門前集合です。それでも運動場は若い親たちで溢れていました。写真班のお爺さんは望遠レンズ付きカメラをもって、あっちに行ったりこっちに行ったり。なんとか何枚かのベストショットをものにしてお役目を終えました。 孫次男くんの出番が終わると、私はひと足早く園をあとにして京都に向かいました。きょうは午後、京都大学でシンポジウム「ロンドンの南方熊楠」があったからでした。まったくもって素人ながら、暇を見つけては南方熊楠の本をパラパラ捲っていますが、なんとも気になる御方です。ふだん著書でしかお目にかかったことのない南方研究の先生方から、初めてお話を伺いました。1890年代、熊楠は英国に8年間滞在します。当時のロンドンの地図資料を眺めながら、熊楠の行動、帰国後を含めて当時のネイチャーへの投稿が51編、N&Q(ノーツ・アンド・クエリーズ)に324編という驚くべき発信力。そうした彼のひととなりをぼんやりと考えていました。
1890年代といえば、幕末から明治維新後の国づくりが少しずつ軌道に乗り始めた頃です。ちょうどいま、高橋直樹の「蒼海を越えた異端児~五代友厚」(潮文庫)を読んでいます。ペリー来航後、薩英戦争、長州征伐、薩長同盟、大政奉還、西南戦争を経て、明治憲法公布につながる激動の時代。そんな時代を生き抜いた五代は、長崎のグラバー商会との関係を活かしながら、この時代を強かに生きた。
薩摩藩の留学生を密航という形で英国に同伴した五代は、ロンドンの街をみて日本の将来を考えます。地下を鉄道が走る国力の違いを身をもって実感したことだろうと思います。その五代の銅像が今、鹿児島駅前の「若き薩摩の群像」の中にあります。大阪商工会議所ビルの入口にも、大阪証券取引所前にも、五代の銅像があります。
そうそう、今日は予定より早く上洛したので、しばし鴨川べりを散策しました。運動会に使った望遠レンズをカメラにセットして川面を覗くと、水鳥たちが気持ちよさそうに羽根を休めていました。セグロセキレイ、コサギ、アオサギ、カルガモ。大都会の中の自然です。
紅葉にはもう少し日にちがかかりそうですが、鴨川べりでは、散歩する人、ジョギングする人、寝っ転がっている人、子供たちと遊んでいる家族などなど、ゆったりとした時間が流れていました。そんな川べりにススキが美しく輝いていました。
さて、明日はゆっくりして、明後日は恒例の「四天王寺秋の大古本祭り」と「天神さんの古本祭り」のハシゴです。今回の選書のテーマは、「明治」です。