心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

『能』の観劇で始まった2025年

2025-01-10 10:56:30 | Weblog

 1年で最も寒い時季を迎えた「寒の内」。ここ大阪でも室温2度というこの冬一番の寒い朝を迎えました。それでも日の出と共に晴れ渡り、きょうも気持ちよくお散歩ができました。ラジオはこれから昼前にかけて雪が舞うと伝えていますが、窓は陽の光が眩しく輝いています。
 きのうは、謡曲同好会の新年例会でした。午前中メンバーのご自宅に集まって課題曲「熊野」(ゆや)の一節を謡い合わせしたあと、午後は伏見の食事処に場所を変え、月桂冠をいただきながら会席料理に舌鼓、楽しい一日を過ごしました。


 さて、私の2025年は「二人静」と「鵺」の観劇で始まりました。山本能楽堂の「1月たにまち能」です。座敷に100席あまりの椅子が配された小さな能楽堂ですが、ふるまい酒をいただきながらお正月気分でお能を満喫しました。
 プログラムは素謡、二人静、狂言、鵺と進みましたが、素謡「神歌」を聴きながら、節回しや声の発し方が謡曲同好会で謡うのと全く違います。もっともっと練習をしなければなりません。(笑)
 嬉しく思ったのは、能楽の世界も世代交替が着々と進んでいることでした。「二人静」では、シテの山本章弘さんとツレの山本麗晃さん(来月、観世流準職分披露能公演)の親子舞。「鵺」では山下あさのさんという女性能楽師がシテ役を務めました。京都薬科大学の部活動で能に出会い、後にプロの能楽師をめざしたという経歴の持ち主です。小鼓の成田奏さんも素晴らしい演奏と凛々しい掛声を披露してくれました。なかなかの好青年でした。
 600年を越える歴史の中で磨き上げてきた古典芸能を、後世に繋ぐ若者たちがいることを頼もしく思います。その日の夜は、「能」をテーマにしたNHKEテレ「美の壺」で、能面や装束などを興味深く見ました。(下の写真は「美の壺」のひとコマ)
 年末にヤフオクで落札していた古書「観世流改訂謡本45冊まとめ売り」も一昨日届きました。半額クーポンが使えたので、なんと送料込みで1,614円と格安でゲット。大正15年3月印刷発行ですから、およそ100年前に市販された謡本です。
 さっそく、課題曲「熊野」を紐解いてみると、解題には「平宗盛の妾熊野といふ者、其母の病重きを聞き帰郷を乞ひたれど許されざりしが、東山の花見の席に一首の秀歌を詠じ、これによりて暇を乞ひ得たることを作れり」とあります。謡い方梗概には「愁ひあれど沈まず、三番目物の本旨を保ちて、花やかなるうちに痛める様、雨を帯びたる花の如かるべし」とあります。
 咲く九重の花盛り、名を負う春の景色かな...........。このところ寒い日が続きますが、幽玄の世界を彷徨いながら、春の訪れを待つ日が続きそうです。

◇  ◇  ◇

 話しはがらりと変わりますが、このお正月もラインやメールでのご挨拶のほか、幾ばくかの賀状のやり取りがありました。
 長くお会いしていなかったかつての職場のトップのお一人からは、珍しくお電話をいただきました。30分もお話ししたでしょうか。この1月で80歳をお迎えになった由。昨年は癌に悩まされた1年のようでしたが、なんとか持ち直して嬉しそうでした。暖かくなったらお目にかかることにしました。もう一人は同じ職場で経理を担当していた女性の方。経理処理が電算化される前の頃に何かとお世話になったのですが、送った賀状が宛先不明で戻ってきたその日に新しい住所から年賀状が届きました。老人介護施設ゆうゆうの里にご引っ越しされていました。相変わらず美しいペン字でしたためられ、お元気であることに安堵しました。
 一方では、今年も何人かの方から賀状じまいのお知らせもいただきました。以前に比べてずいぶん減らしてきたものの、来年はさあてどうしたものか。
 お正月気分が抜けきらない中で明日から三連休。新年早々ゆったりまったりの船出です。遠いお国では、グリーンランドやパナマ運河を我が物にしようとするお方もいらっしゃいますが、さあてどんな1年になりますことやら。

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