ライン出版編集部

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ライン(rein)出版編集長の日常と雑感

檸檬

2016-11-21 10:14:09 | Weblog
いったい私はあの檸檬が好きだ。
レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も、それからあの丈の詰まった紡錘形の恰好も。
―結局私はそれを一つだけ買うことにした。
それからの私はどこへどう歩いたのだろう。
私は長い間街を歩いていた。
始終私の心を圧えつけていた不吉な塊がそれを握った瞬間からいくらか弛んで来たとみえて
私は街の上で非常に幸福であった。
あんなに執拗かった憂鬱が、そんなものの一顆で紛らされる―あるいは不審なことが、逆説的なほんとうであった。
それにしても心というやつはなんという不可思議なやつだろう。




自宅の庭に実ったという貴重なレモンを頂戴しました。

レモンとカタカナで表記するより漢字の方が絶対似合いそうな檸檬です。

もちろん無農薬!

ハチミツレモンでいただいて、皮はケーキに使いましょう。

梶井基次郎のように檸檬一個で小説を書き上げる才能はありませんが

今回『檸檬』を読み返したら、小説の味わいがホントによくわかりました。

これからレモンを買うたびに思い出すような内容ではあります。

京都が舞台です。