夕べ、リビングで妻が裁縫をしていた。
尋ねると、息子が使う巾着袋を作っているとのこと。
昨日までは布の型取りやら何やらをしていたらしく、今日は本格的な裁縫に入るのか、
テーブルの上にミシンが登場していた。
写真は、そのミシン。
家電に疎いワタシでも、かなりの年代物のミシンだとひと目で分かる。
15年前に結婚した時、様々な家財道具と一緒に、このミシンも妻と一緒に新居へと
やって来た。
その当時でも十分古くさく見えたので、妻にミシンについて尋ねたことがあった。
妻が言うには、小学5年生の時、クリスマスプレゼントで親に買ってもらったモノなのだそうだ。
・・・ということは、今から30年以上前の代物ということになる。
それくらいの年齢の女の子なら、テレビアニメのグッズやディズニー系のぬいぐるみを欲しがっても
おかしくないのに、その当時の妻がクリスマスプレゼントに望んだのは、ミシンだったのだ。
家電に疎いワタシでも、ミシンが高価なモノだということは、おぼろげに分かる。
妻の実家は、有り余る資産を所有した裕福な家庭だったわけではない。
かといって、毎日の生活に困るほど貧しい家庭だったわけではない。
本当にどこにでもあるような、ごく普通の一般的な家庭だった。
それでも、やっぱり、ミシンをクリスマスプレゼントに貰うのは、当時も今も、あまりよく耳にする
話ではない。
初めてこのミシンの存在をワタシが知った時に語った話を、昨夜もミシンをかけながら、
まるで独り言のように、妻はワタシに話した。
妻は自己主張をするのが苦手な子どもだった。
“好き”とか“嫌い”とか“YES”とか“NO”とかをハッキリ口にするのが上手ではなく、おとなしく口数も
少ない子どもだったそうだ。
スポーツ万能少女だったわけでもなく、かといって勉強がすこぶる出来るガリ勉少女だったわけでもない。
家の中で一人、幼く拙い腕で編み物や裁縫をしているような女の子だったという。
ちなみに、今の妻も、その頃の少女がそのまま大人になったような女性だ。
そんな彼女が小学5年生のクリスマスの時、生まれて初めて“私、これが欲しい!”と親に向かって
ハッキリと口にしたモノがあった。
それが、ミシンだったのだ。
当時は今よりもミシンはもっと高価で、大人の道具として認識されていたのではないだろうか。
それでも妻の両親は、その年のクリスマスにミシンをプレゼントした。
人の親となった今では、ワタシにもその時の妻の両親の気持ちが、おぼろげながら分かるような気がする。
おそらく、たとえそれがどんな高額なモノであっても、滅多に自己主張をしない娘がハッキリと
自分の気持ちを言葉にしてくれたことの方が、両親にとっては、よっぽど嬉しいことだったのだろう。
それ以来、妻はミシンを使い続けている。
形は古いが、見た目は汚れも傷もなく、本当にきれいだ。
30年以上前の代物には思えない、とワタシが言うと、妻は笑いながらこう答えた。
「壊れないから、使っているだけよ」
妻は、自己主張だけでなく、嘘をつくのも苦手だ。
どんな道具であっても、小まめにメンテナンスしなければ、あっという間に壊れてしまうことぐらい、
家電に疎いワタシでも知っている。
巾着袋は、今日あたり出来上がる予定。
その巾着袋をリュックサックに入れて、来週から息子は、いよいよ「おのみち100km徒歩の旅」に参加する。
尋ねると、息子が使う巾着袋を作っているとのこと。
昨日までは布の型取りやら何やらをしていたらしく、今日は本格的な裁縫に入るのか、
テーブルの上にミシンが登場していた。
写真は、そのミシン。
家電に疎いワタシでも、かなりの年代物のミシンだとひと目で分かる。
15年前に結婚した時、様々な家財道具と一緒に、このミシンも妻と一緒に新居へと
やって来た。
その当時でも十分古くさく見えたので、妻にミシンについて尋ねたことがあった。
妻が言うには、小学5年生の時、クリスマスプレゼントで親に買ってもらったモノなのだそうだ。
・・・ということは、今から30年以上前の代物ということになる。
それくらいの年齢の女の子なら、テレビアニメのグッズやディズニー系のぬいぐるみを欲しがっても
おかしくないのに、その当時の妻がクリスマスプレゼントに望んだのは、ミシンだったのだ。
家電に疎いワタシでも、ミシンが高価なモノだということは、おぼろげに分かる。
妻の実家は、有り余る資産を所有した裕福な家庭だったわけではない。
かといって、毎日の生活に困るほど貧しい家庭だったわけではない。
本当にどこにでもあるような、ごく普通の一般的な家庭だった。
それでも、やっぱり、ミシンをクリスマスプレゼントに貰うのは、当時も今も、あまりよく耳にする
話ではない。
初めてこのミシンの存在をワタシが知った時に語った話を、昨夜もミシンをかけながら、
まるで独り言のように、妻はワタシに話した。
妻は自己主張をするのが苦手な子どもだった。
“好き”とか“嫌い”とか“YES”とか“NO”とかをハッキリ口にするのが上手ではなく、おとなしく口数も
少ない子どもだったそうだ。
スポーツ万能少女だったわけでもなく、かといって勉強がすこぶる出来るガリ勉少女だったわけでもない。
家の中で一人、幼く拙い腕で編み物や裁縫をしているような女の子だったという。
ちなみに、今の妻も、その頃の少女がそのまま大人になったような女性だ。
そんな彼女が小学5年生のクリスマスの時、生まれて初めて“私、これが欲しい!”と親に向かって
ハッキリと口にしたモノがあった。
それが、ミシンだったのだ。
当時は今よりもミシンはもっと高価で、大人の道具として認識されていたのではないだろうか。
それでも妻の両親は、その年のクリスマスにミシンをプレゼントした。
人の親となった今では、ワタシにもその時の妻の両親の気持ちが、おぼろげながら分かるような気がする。
おそらく、たとえそれがどんな高額なモノであっても、滅多に自己主張をしない娘がハッキリと
自分の気持ちを言葉にしてくれたことの方が、両親にとっては、よっぽど嬉しいことだったのだろう。
それ以来、妻はミシンを使い続けている。
形は古いが、見た目は汚れも傷もなく、本当にきれいだ。
30年以上前の代物には思えない、とワタシが言うと、妻は笑いながらこう答えた。
「壊れないから、使っているだけよ」
妻は、自己主張だけでなく、嘘をつくのも苦手だ。
どんな道具であっても、小まめにメンテナンスしなければ、あっという間に壊れてしまうことぐらい、
家電に疎いワタシでも知っている。
巾着袋は、今日あたり出来上がる予定。
その巾着袋をリュックサックに入れて、来週から息子は、いよいよ「おのみち100km徒歩の旅」に参加する。