同罪。

昨夜、テレビニュースを見ていたら、一緒に見ていた息子が画面を指差してこう言った。

「この人、誰？」

あれ、お前知らないのか？

「知らない」

考えてみれば、そうだ。
息子は、今年16歳だ。
今、テレビニュースに出ているこの御仁は、息子が生まれた頃には、もう不祥事を起こしてテレビの中から塀の中へと移っていたのだ。

この人、昔、ラッツ＆スターってバンドにいたんだ。
そこでコーラスやってた。

「ふーん・・・」

息子はまるで感情のこもっていない口調で、そう答えた。
間違ってはいないのだけど、生まれてまだ16年の少年に対する答えとしては、いささかズレていたかもしれない。

でも、すんごい人気だったんだぞ。
テレビにもいっぱい出てて。
ダウンタウンとかとも、よく一緒にテレビ番組に出てた。

「ダウンタウンと？へぇー」

息子の口調に、少しだけ感情が戻ってきた。

「あ、そうだ、ダウンタウンだけじゃない、バカ殿にも出てたんだぞ」

「えっ、バカ殿⁉︎」

そう、志村けんの弟子だったんだよ、この人。

「へぇーーー！」

家老の役で髭のおじさんが出てるだろ？
あの人と一緒に家老の役で出てたんだ。
あ、そうだ。あの髭の家老も、ラッツ&スターってバンドの人。トランペット、吹いてた。

「へぇーーーーーーーー‼️」

やっぱり志村けんは、強い。
いつの時代も、子ども達のヒーローだ。

「だけど、なんで覚醒剤とかするんだろうねぇ」

息子が呆れたようにそう嘆く。

息子の言葉に〝確かに確かに”といった感じでうなずいていたワタシに、息子が尋ねてきた。

「そういえば、お父さん、最近、またタバコ吸ってるの？」

あ・・・まぁ、たまに、少しだけな・・・。

言葉を濁しながら釈明するワタシに、息子がまたもや呆れたようにこう言った。






「じゃあ、この人と同じじゃん」






21世紀生まれの人間から見れば、覚醒剤もタバコも、もはや同罪のようです (;´Д`)y─┛~~