りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

1,001羽の鶴。

2025-02-22 | Weblog
先週、友人のお母様が亡くなられた。

家族葬だったので通夜と葬儀には参列せず、今日、実家の方へお伺いした。

友人とは、小学校から高校まで一緒だった間柄。
中高生の頃は、毎日のように一緒に連んでいた。
そんな関係だから、〈友達〉とか〈同級生〉といった呼び方よりも、昭和の呼び方〈マブダチ〉の方がよく似合う。

お互いの実家も指呼の距離で、徒歩約10秒。
そんな感じだから、おばさんには幼い頃から可愛がってもらった。
だから、どうしてもご焼香させてもらいたかったのだ。



          ◆



実家へお伺いしたら、友人とおじさんが出迎えてくれた。
思ったよりも元気そうに見えたが、まだ亡くなられて1週間足らず。
きっと2人ともまだ気が張っていて、悲しむどころではないのだろう。

〈覚悟はできていた〉

と、友人とおじさんは淡々とそう言った。

それは、それなりの長さの闘病生活だったからだろうけれど、それでも2人にとっては、世界でたった1人の伴侶であり、世界でたった1人の母親。

もうしばらく時間が過ぎて、諸々の手続きやら支払いやらがひと段落したら、じわじわと寂しさを感じるようになると思うよ・・・と先に父親を見送ったワタシは、ちょっと先輩ヅラをしてそんなことを口にした😅

おばさんの話をはじめ、ワタシや友人の子どもの頃の話といったよもやま話がひと段落した後、おじさんが奥の部屋から、あるモノを持って来た。



ガラスケース。
中に、盆栽のような木。
銀杏か?・・・いや、よく見ると葉の部分が銀杏じゃない。



折り鶴だ。

おじさん曰く、おばさんの快復を願って千羽鶴を作り始めたのだけど、単なる千羽鶴だと面白くないのでこのようなカタチにしたとのこと。

しかし千羽鶴なのに鶴の数は1,000羽ではなく、1,001羽なのだそうだ。
おじさんにその理由を訊ねたら、笑いながらこう言った。

「1,000羽鶴を折っても願いが叶わないことがよくある。でも、1羽多かったら願いが叶うんじゃないかと思うてな」




・・・やばい・・・涙腺が・・・




おじさんの本願は叶わなかったが、この1,001羽の折り鶴を折り終えた直後、それまでほとんど口から食べることができなかったおばさんが、少しだけ食事ができるようになったそうだ。

「だから、少しは願いが叶った」

そう言って、おじさんはまた笑った。




          ◆




おじさんは、今年85歳。
実は、ワタシの亡き父親と同い年。

余談だが、この千羽鶴の木、出来上がっておばさんが入居していた施設へ持って行ったところ、施設で大評判となり、入居しているお爺さんお婆さん達から「ワシにも作ってくれ、ワタシにも作ってくれ」と注文が殺到しているそうだ。

「まぁ、少しずつ作っていくから気長に待っといてくれ、と言うとるがの」

どんな事であれ、誰かに何かを求められている限り、人はそうそう朽ち果てないような気がする。

おじさん、どうかこれからもお元気で。

長生きしてな。
コメント
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