僕は、今からちょうど10年前の9月20日に結婚した。
その前月、妻(その時はまだ婚約者)と一緒に
ある映画を見に行った。
それが「ディープ・インパクト」だった。
その日は、新居に冷蔵庫や電子レンジなどの家電製品が
届いた日だったことを記憶している。
届いた荷物を片付けて、夜の映画館へ向かった。
“彗星が地球に衝突するパニック映画”という予備知識だけで
見に行ったのだが、とてもそれだけの単純な映画ではなかった。
たしかにカテゴリー的にはパニック映画なのだろうが、
本質なテーマは、明らかに“家族の絆”だった。
これが例えば僕が10代や20代の若造の時に見たのならば、
ホントに、単なるパニック映画としてだけでしか捉えなかっただろうが、
まさに、これから“家族”を持とうとしていた僕にとっては、
映画をみているうちに、まるでこの映画が、僕と彼女の新しい門出を
祝ってれているような気持ちにまでなったのだった。
しかし、この映画との関係はそれだけで終わらなかった。
翌月、結婚披露宴を終えて、僕らは新婚旅行へ旅立った。
行き先は、オーストラリア。
関西空港から一路、オーストラリアのブリスベンへ向かった。
真夜中のフライトだった。
機内では、眠れない人のために映画が始まった。
それが、なんと「ディープ・インパクト」だった。
高度10,000m上空で“パニック映画”というのも
いかがなものか?
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・・・と思ったが、
やっぱり、パニック映画を越えた“家族の絆”に、僕は
見入ってしまった。
そして映画が終わる頃、飛行機は赤道を越え、数時間後
オーストラリアへ到着した。
帰国後、僕はこの映画のビデオを躊躇なく購入した。
しかし人間というのは本当に気まぐれな生き物で、
手にしたら、まったく家では見ない(笑)
だが10年も一人の女性と一緒に暮らしていると、当たり前だが
色んなことがあるもんで、そういう時に真夜中にこっそり見ることがある。
特にこの数年はそういうことが多い(笑)
10年前に色んな印象を与えてくれた映画だからか、不思議なもので、
この映画を見ていると、自然に妻や家庭に対して、融和な気持ちに
なってゆく。
明日(8月25日)、TVで放送されるらしい。
それを知って、今日、ひと足先にビデオで久々に鑑賞した。
時代はすでにDVD。
この映画も、買ってもいいかもしれないな。
登場人物の一人、妻に先立たれたベテランの
老宇宙飛行士・フィッシュが言っていた台詞。
「結婚していれば、いいこともあれば悪いこともある。でも最後はよかった」