Emile Claus - Ra Lecture
家人が、「エミール・クラウスって画家、知ってる?」と聞いてきた。
なんでもベルギーの画家で、印象派の画風で超絶技巧の持ち主らしい。
家人の中では、ラファエロ前派のミレイと肩を並べるほどの緻密な絵作りをする画家で、ブリュッセルの王立美術館で数点しか見たことがないから有名な画家ではないのに惜しいのだそうだ。
私は、浅学にして初耳の画家だ。
今回、ネットで検索して初めて絵を見ると、たしかにとても上手く、しかもきれいだ。
それなのに、なぜもてはやされない。
印象派といえばフランスの画家たちで、ベルギーではその一括りに入れてもらえなかったから?
いや、そんなことはないだろう。
おそらく技巧的写実性が高くて、ほわほわと光に溶解してしまいそうな歪みのある個性的な画風と一線を画すから、毛色の違いで別扱いにされているのだと想像する。
一昨年、東京駅のステーションギャラリーで展覧会があったらしいので、日本にもファンができたかと思う。
いわゆる理屈ぬきで美に浸れるエミール・クラウスの絵が、美術的、学術的に含みを見つけにくく、コアなファンを獲得しにくいものであってもいいではないか。
心底美しいと感られるものを創造するのは、やはり稀有なことなのだ。
この画家のフィルターは、屈折することない純粋なものだったということ。
強烈な個性を放つものばかりがアートの定義ではない、そう思わないか。
The River Lys at Astene