夕方になって、分厚い雨雲にゆるみが出てきた。
始め灰色の雲の薄くなったところの向こうに青空が感じられたかと思っていると、だんだんと雲の結束は綻びだして、やがて空気が柔らかなオレンジ色に満たされた。
夕食の支度を放りだして外へ駆け出し、そのオレンジ色の空気に飛び込もうと思ったことか。
そのうち、オレンジ色の光は薄まり、雲はめまぐるしく形を変え、残照は黄金色からオレンジ、ピンクと雲を染め上げる。
もう、料理は手につかない。
ずっと窓に張り付いてカメラのシャッターを切りながら、太陽の光が弱くなるまで、そのオパールのように移り変わる空の光景を眺めていた。