9ヶ月間働いた職場の雇用期間が終了し、餞別の花束をいただいた。
長らく引きこもって世間に不慣れなオバサンは即戦力となりえなかったけれど、我慢強く指導しながら見守ってくれたチームのメンバーには、感謝の念が絶えない。
またどこか出会うことがあったなら、気持ちよく挨拶をしたいものだ。
そして、その翌日からまた新たな職場に赴くのだが、慣れるまでの間、とても家事に力を注ぐことができないと宣言を兼ねて、気合の入った夕食を作ることにした。
私の大好物、油淋鶏、いままで外食か惣菜でしか食べたことがなかったが、思い切って作る。
大方想像はできても、せっかく作るからには美味しい物にしたい。
レシピを検索して、中華の達人:陳健一レシピに決定する。
丁寧に鶏肉の下ごしらえをすると、完璧なほど美味しくなった。
2人前でこの一皿をぺろりと平らげ、なんともいえない幸福感に包まれる。
親が手ずから作った料理を食べる子供の顔は、安心感と喜びに満ち溢れ、生き物として存在する実感を互いに確認しているのだろう。
それを見ると、できるだけ手料理を食べさせたいと強く思える。
だから、昨日できなかった気合の入った夕食を、今夜も実行してみた。
それは、青椒肉絲。
やはり瞬く間に食べつくされ、満足気な顔がお腹をさすっていたのだった。