睡蓮 1915
関東はまだ梅雨明けにならない。
どんよりとした日々の中、胸のすくような青が恋しくなる。
青に飛び込みたい。
我が家の玄関に、一匹の小さなアマガエルが門扉のチャームのごとく、ちんまりと鎮座している。
その小さなアマガエルにメタモルフォーゼして、この睡蓮の池にぴらりとダイブしたくなった。
スイスイと小気味よく水を切り進んでいく。
そのうちに水に溶けてしまうかもしれないけれど、それもいいだろう。
水は命、全ては巡り輪となって連綿と命をつなぐのだ。
そしてまた、ぷつんと命が弾け出でる。
青が満ちるこの世界で、美しきこの瞬間が絶え間なく起こり続けている。