子供のころより大好きなこの庭を、イチョウの葉で敷き詰められた晩秋に訪れる。
休みの日の朝の散歩で、学校の写生会で、友人と語らいながら、大人になってからも散歩でぶらり、ベビーカーを押してなど、あらゆるシチュエーションでここに来ている。
このよく手入れの行き届いた穏やかな自然は、無防備に入り込める憩いの場所だ。
街には、このような場所がとても重要。
街の規模や人口に対してふさわしい自然公園を設けることは、理想的な都市デザインではないだろうか。
利用時間の制限はあっても、もちろん無料でなくてはならない。
自然から切り離された生活は、人間の感覚を狂わせる。
飼いならされた自然でいい、むしろその方がいいだろう。
子供や高齢者が、安心して自分を委ねられるから。
人が人を思いやらなくて、どうして地上で君臨している気になっているのだろうかと、存在自体が矛盾のかたまりであるにもかかわらずに、つい多くを望んでしまう。
そんなもやもやとした思いを、この黄色の世界は、温かく包み込んでくれるかのようであった。