安眠を妨げる夢
イチョウの黄葉も終わりそうな抜けるような青空の日、茨城県立近代美術館で開催されている「国吉康雄展」に行ってきた。
国吉の代表作がほぼ集まった、見応えのある展覧会だ。
中期までの茶系を多用したアンニュイな表情の女性やプリミティブな雰囲気の風景から、後期の鮮やかな色調で不気味で幻想的な作品へと、画家の変遷を辿れる。
二つの世界大戦をアメリカで過ごし、様々な経験から紡ぎだされたこれらの作品には、人物を描きながらも人間嫌いではないかと思わせるものが漂いだしている。
そう思ってしまうのは、私が勝手にうがった見方をしているにしても、人が登場しない作品のほうに、強い集中力を感じるからだ。
しかし、平日だったためもあって、人の気配に乱されずじっくりと作品と向き合うことができ、贅沢な時間を過ごせた。
地方の美術館ならではのゆとりだろう。
実にありがたい。
ミスターエース
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