とくおかレディースクリニック~ブログ~

日々、徒然なるままに、書き込んで参ります。
どうか宜しくお付き合い下さい。

5月のラボ便り

2023年05月08日 | ラボ便り
5月のラボ便り

皆様、こんにちは。
さわやかな風に、暖かい日差しを感じられる季節になりました。

今回のラボ便りでは、「受精卵の凍結」についてお話させて頂きます。

凍結方法には「超急速ガラス化凍結法」と「緩慢凍結法」の2種類があります。

「超急速ガラス化凍結法」は、
受精卵や卵子の細胞内液を凍結保護剤に置き換え、
急速に-196℃へ下げることで細胞内に氷晶を作らず凍結する方法です。
細胞内に氷晶が出来ると、細胞に負担がかかり壊れてしまうことがありますが、
超急速ガラス化凍結法はそれを防ぐことが出来ます。

「緩慢凍結法」は、凍結保護剤を受精卵や卵子に添加し、
プログラムフリーザー中で徐々に温度を下げ、凍結する方法です。
緩慢凍結法ですと、細胞内外に氷晶が出来やすいため、細胞へのダメージが大きいです。

そのため、現在の日本では受精卵や卵子の凍結には超急速ガラス化凍結法が広く行われています。

受精卵を凍結するメリットとしては、
患者さんの身体的、精神的、金銭的な負担が軽減されることがあげられます。
1回の採卵で採れる卵子は1つとは限りません。
1回の採卵で複数個の受精卵を得ることも可能です。
その周期に胚移植を行わなかった受精卵を凍結保存しておき、
次周期は採卵をせず、胚移植から治療を始めることが出来ます。

また、凍結保存を行った受精卵は、凍結期間が長くなっても、受精卵の質は落ちません。
ですので、先に採卵して受精卵を凍結保存しておき、
仕事などの予定に合わせて数ヶ月から数年後に妊娠を目指し、
胚移植を行うことが可能です。
( ↑ 保険での体外受精・顕微授精では、胚を戻す為の採卵手術ですので、
個人の希望で貯卵する事は出来ません。
保険診療下におきましては、採卵手術をしたら、医師の判断のもと胚を戻して参ります。)

さらに、お2人目以降のご妊娠を考えられている場合は、
お一人目の治療の移植において使わなかった凍結受精卵をそのまま保存しておき、
数年後に再度胚移植をすることが出来ます。

何かご不明な点がございましたら、スタッフまでお声かけください。
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