皆様、こんにちは。
2024年もいよいよあと1ヶ月で終わってしまいますね。
年末のご多忙の中、体調を崩さぬようにお過ごしください。
今回のラボ便りでは、「タイムラプスインキュベーター」についてお話します。
「タイムラプスインキュベーター」とは、
カメラが内蔵された培養器(インキュベーター)のことです。
受精卵を培養器から出さずに、その状態を確認することができます。
培養器(インキュベーター)とは、
体外に取り出した卵子や受精卵をしまっておく機械で、
女性の子宮内とほぼ同じ環境(温度37℃、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5~6%)に維持されています。
通常、受精卵の状態を確認する為には、
培養器から受精卵を取り出して、
大気中(温度約10~25℃、酸素濃度21%、二酸化炭素濃度0.03~0.04%)で顕微鏡を使用して観察する必要があります。
観察時間が短時間であったとしても、
受精卵は培養器から大気中に出されることにより、
温度やガス濃度の変化、光への暴露によるストレスを受けてしまいます。
「タイムラプスインキュベーター」は培養器の中にカメラが内蔵されており、
受精卵を培養器から出さずにモニターで状態を観察することが可能です。
受精卵にとって最適な環境のまま、
ストレスを与えずに状態を確認することができるため、
培養成績(胚盤胞到達率)や妊娠率が向上することが分かっています。
また、受精卵の状態を定時間ごとにカメラで撮影しているため、
成長過程を経時的に追うことができます。
受精卵の中には成長過程で異常分割をするものがあり、
それらは異常分割をしていない受精卵と比べると妊娠率が低いことが分かっています。
「タイムラプスインキュベーター」ではそれらの成長過程で起こった異常も記録が可能なため、
複数個の受精卵が得られた際により妊娠率が高い受精卵を選ぶことが可能です。
実際の方法としては、体外受精・顕微授精を行った卵を特殊な専用ディッシュ(受精卵を入れて培養するためのお皿)に入れ、
「タイムラプスインキュベーター」数日間培養するのみですので、
特別患者様に行って頂くことや、リスクはございません。
「タイムラプスインキュベーター」による培養は自費診療ですが、
先進医療として認められている技術ですので、
保険診療と同時に行うことが可能です。
ご不明な点がございましたらスタッフまでお声がけ下さい。