大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

くノ一その一今のうち・81『サマル王子だっちゃ』

2023-10-25 11:35:28 | 小説3

くノ一その一今のうち

81『サマル王子だっちゃ』そのいち 

 

 

 かつて潜入した草原の国は買ったばかりの緑の絨毯のようだった。

 

 それに比べ、救護トラックの荷台から見えるB国の草原は廃棄寸前の玄関マットのように禿げてみすぼらしい。

 大昔、国境など無かった時代はひとくくりの草原でそれほどの優劣は無かったんじゃないだろうか。

 よく見ると、擦り切れた草むらの間にひしゃげた軍用車両や赤さびた何かの残骸が見える。

「旧ソ連時代、この辺りは演習場や射爆場だった。戦術核の実験場にされたこともあって、まだ十分に回復してないのよ」

 いつの間にか目覚めたアデリヤ姫が説明してくれる。

「でも、ほら……」

 王女が指差した向こうに王都が見え、王都からこちらは青々と草が茂っている。

 トラックに乗っている避難民も、やっとオアシスを見つけた砂漠の迷子のように安堵の表情になっている。

「サマルが旗を振って作った草原牧場、日本人が見れば立派に見えるかもしれないけど、国土面積の2%にも満たない。普段はサマルの箱庭と呼ばれてるけど、まあ、今度の避難民を収容するには十分ね」

 さらに進むと、カーキ色の軍用テントの群れが見え始める。

 テント村はまだ設営中のものもあって、兵士たちが設営と難民受け入れに分かれて忙しく働き、一部のテントでは先客の難民たちが荷物を整理したりテントの中を整えたりしている。

 

「え……」

 

 中央のテントで地図を睨んでいた将校の一人が顔を上げた。

 なにかのコスプレかと思うほどに髭も軍服も似合っていない将校は少佐の階級章を付けていて、初めてジャンボリーに参加したボーイスカウトのように可愛く力んでいた。

「続けていてくれ」

 そう言うと、少佐殿はトラックから下りたばかりの我々のもとに寄ってきた。

「大変だったねみんな、テントは設営中だが、君たちが入る分はもうできているよ。准尉、みんなを案内してあげてくれ」

「イエッサー!」

 ベテラン准尉のおっさんが――あとはお任せを――という顔で敬礼し、部下の兵隊に指図する。

 ボーイスカウトは、部下たちにウンウン頷くと、わたしたちのところに寄ってきた。

「なんで、アデリヤがいるんだ?」

「どこか話の出来るところに案内してちょうだい、少佐どの」

 ボーイスカウトは髭を捻ると、偉そうに後ろ手組んで真新しいテントの一つに歩いて行った。

 

「お久しぶり。思ったとおり、段取りのいい皇太子殿下ね、髭も良く似合ってる」

 

 けして誉め言葉ではない挨拶をすると、傲然と睨み上げるアデリヤ姫。

「国民の保護は国家第一の責務だからね。こちらは、ただの侍女には見えないけど?」

「日本から来た映画の撮影隊のメンバーだ」

「ああ、やっぱり映画は作るんだ。高原の国は平和主義の原則を貫くんだねぇ、うんうん」

「主演女優鈴木友子の付き人で、風魔そのいちと申します」

「そのいち……微妙に長いねぇ、ソノッチって呼んでいい?」

「はい、みんなにもそう呼ばれています。殿下は日本人の愛称にも詳しくていらっしゃいますね」

「うん、日本のアニメやラノベは大好きだっちゃ。ぼくの日本語イケてるだっちゃ(^_^;)?」

「はい、とてもお上手です」

 ――だっちゃ――って、いつごろのアニメだっちゃ!?

「それで、どうすんのよB国は?」

「あ、だから難民の保護を……」

「そんなもん、サマルがやらなくったって、工兵隊の一個大隊もあてがってりゃできるでしょ。いま、大事なのは……」

「あ、ちょ、アデリヤ!」

 意外な力でサマルを外に引っ張り出すと、テント群の向こう、城壁の向こうのそのまた向こうに聳える王城を指さした。

「あそこでは、A国に倣って草原の国に味方するか、我らの高原の国に味方するか、伯父さんの国王や大臣たちが頭をひねってるんでしょ!」

「ああ、アデリヤとは従兄妹同士だし、今までのこともあるし、悪いようには決まらないよ。それに、草原と高原って、よく似てるし。ひらがなで書いたら『そ』と『こ』の違いだけだから。な、似てるってことは、きっとうまくいくってことで……」

「漢字で書いたら、草原の国は『草』よ、クサ! クサの味方する奴はウンコだからな!」

「ウ、ウンコ……!(꒪ꇴ꒪)

 

 過去になにか確執があったのかウンコの破壊力はすごく、完全にアデリヤ王女がマウントをとった!

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
  • アデリヤ         高原の国第一王女

 

 

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くノ一その一今のうち・80『B国潜入』

2023-10-19 09:31:18 | 小説3

くノ一その一今のうち

80『B国潜入』そのいち 

 

 

 何度かたとえてきたが、高原の国のポジションは日暮里から西の山手線内側に似ている。

 

 北方の埼玉県が、すでに、その軍門に下っている足立・葛飾両区を前に立て、まだ旗色を明らかにしていない台東区・荒川区を嚇し日暮里・鶯谷の崖を駆け上がって山手線の内側に攻め入ろうとしている。

 位置的にA国は荒川区、B国は台東区にあたる。

 A国はほぼ高原の国に取り込まれそうになっているが、B国は踏みとどまっている。

 高原の国の王妃はB国王室の出身で、B国皇太子はアデリヤ王女の従兄弟に当る。

 

 その血の繋がりに掛けて、王女とわたしは日暮里の崖を下ってB国を目指している。

 

 A国との国境には国境警備司令のドーカンが王女のコスを着た女性兵士を載せ、ジープで牽制に向かっている。司令部の監視哨には帝キネのポスターから抜け出てきたえいちゃん(長瀬映子)が二次元の身でありながら王女に扮装してA・B両国の目を惑わしてくれている。

 わたしと本物のアデリヤ姫は遊牧民のナリでラクダに跨ってB国の草原に紛れ入っている。

 早朝の爆発騒動は、そのA・Bどちらか、あるいは別の勢力によるものか明らかにならないまま収まって、遊牧民たちは逃げ散った羊やラクダを集めにかかっている。その中に紛れているのだ。

 

「よし、ここらでいいだろう」

 

 ラクダを下りると鞍や装具を外して放してやる。

 尻をペシペシ叩いてやると、ラクダは振り向きつつも北に向かって歩きはじめる。

「ラクダで足がつかないのですか?」

「だいじょうぶ、元々A国の草原から迷い込んできたラクダだから。じゃあ、行くわよ」

「はい」

 装具のリュックを背負って街道に向かう。

 

 三十分ほど歩いたところの臨時の検問所で誰何される。

 

「待て、おまえたちは何処へ行く」

「トゥテシ村から逃げてきたの、また、あんな爆発騒ぎがあったらかなわないから。男たちは残ってるけど、女子供はね……」

 他にも国境付近から逃げてきた者がチラホラ、見た目にも十代の少女の二人連れなので難なく通してもらえた。

「ありがとう、兵隊さん」

 リュックを揺すり上げた手には日焼け色の迷彩ドーランを塗った上に砂をまぶしてある、パッと見には分からない。

「あら」

 検問所の裏に王室のトラックが停まっている。荷台には『救護移送』の横断幕がかけられている。

「これで、避難キャンプに行けるみたいですね」

「時間が稼げる」

 荷台には、少し余裕があったけど、避難者十数名を載せてトラックはエンジンをかけた。

 荷台のスピーカが、諸注意をする。

『走行中は立ち上がらないこと、緊急の時はドライバーの指示に従ってくれ。緊急事態の時は、スピーカー横のインタホンで伝えること、行先は王室牧場、到着までは三時間だが状況しだいでは変更がある。それから、この緊急措置は皇太子殿下の発意であるから感謝すること。では、出発する』

 ブロロン……

 十分も走ると、朝から歩き詰めだった者も多く、大方の者が荷物を抱いて居眠りし始めた。

 わたしたちも、眠った風を装って二人でもたれ合う。

「王室牧場は、ちょっと王宮とは離れすぎてませんか?」

 闇語りに近い小声だけども、王女には伝わるようだ。下を向いたまま小さく応えた。

「サマルは気が小さい、おそらくはキャンプに来ている」

「それはラッキーです」

 なぜ、気が小さいとキャンプに来ているのかは分からないが、わたしの質問は姫の精神状態と健康状態を探るためのものなの。しっかりした返答をしてもらったことで十分だ。

 もう一言聞いてみようかと思ったら、姫は、ほんとうに眠ってしまっていた。

 

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
  • アデリヤ         高原の国第一王女

 

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くノ一その一今のうち・79『国境警備司令ドーカン・2』

2023-10-11 15:44:15 | 小説3

くノ一その一今のうち

79『国境警備司令ドーカン・2』そのいち 

 

 

 B国を繋ぎとめなければならん……

 

 指令室のモニター画面を操作しながら姫が呟く。

 カメラもモニターも高解像度の8K対応。屋上で身を晒して双眼鏡を覗くよりもよく見える。

 姫が国境警備隊に来ていることを示すのは敵を幻惑させる効果があるが、度が過ぎればピンポイントで狙撃されかねない。

 ここで銃弾なりミサイルが飛んできても簡単には特定できない。A・B両国も草原の国も旧ソ連製の武器を使っている。弾やミサイルからでは簡単には分からないのだ。

「ドーカン、B国に行きたい」

「なんですと?」

「サマル(B国の皇太子)は賢い奴だが気が弱い。過敏に反応してとんでもない行動に出る可能性が高い」

「行って、どうなさいます?」

「敵に与しないように説得する」

「無茶です」

「グズグズしていてはA・Bが連合して草原の国の露払いになる」

「危険すぎます」

「従兄妹同士だ、そう無茶はしないだろ。もし、わたしに万一のことがあったら、A・Bと諸共に喪に服せばいい。王族に不幸があれば一か月の喪に服するのが三国共通のルールだ。その間に対策を練ればいい、草原の国も喪中の国を攻めることはない」

「しかし」

「映画の撮影隊を呼んで平和志向のPRもしているが、国連の平和維持軍も引き上げてしまっているんだぞ。手を打たねば自滅する。自滅しては王族も国境警備も意味はないだろ」

「しかし、姫を窮地に置くことはできません」

「ドーカン、国が窮地に置かれているんだぞ」

「いかにも……硬く決意されたご様子、これ以上は申しますまい」

「すまん、無理を言う」

「しかし、やるからには最善を尽くさせていただきますぞ」

「頼むぞ」

「では、一時間の猶予を」

「おお」

 

 一時間かけてドーカン司令は、わたしとアデリア姫を送り出す準備にかかった。

 

「では、10分後に姫はご出発ください」

「おお、ドーカンこそ、無理をするなよ」

「出発します」

 ブロロン

 ドーカンが自ら運転するジープが走り去る。助手席には姫と同じ軍服を着た女性兵士が乗っている。

 走り出した先はA国との国境線。東京の地図で言えば、日暮里の駅前から線路に沿って池袋に向かって走るようなものだ。

 国境線ギリギリに走って、A国の様子を探るというポーズを見せる。

 基地司令と王女が乗っていることはすぐに分かる。近いところではA国の監視哨から200メートルほどのところを走るのだ。場合によっては狙撃されかねない。

 ドーカンは国境紛争での戦闘経験も豊富で、敵の姿が見えなくても撃たれる予感がするらしい。

「予感に従って躱していけばめったに当たりません」

 ということらしい。

 監視哨には、もう一人王女のダミーが立つ。

 王女の人相はデジタル化されて、AIが、その真贋を判断する。

 ジープの方は、走行中で激しく揺れるので瞬時の判断はAIでも困難だ。レイバンのサングラスをしているし、鼻から下は砂塵よけのマフラーを巻いている。

 監視哨の方は……おっと、時間になった。

 

 ペシ

 

 ラクダに鞭を当てると、姫とわたしはB国の都を目指した。

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
  • アデリヤ         高原の国第一王女

 

 

 

 

 

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くノ一その一今のうち・78『国境警備司令ドーカン・1』

2023-10-02 14:51:07 | 小説3

くノ一その一今のうち

78『国境警備司令ドーカン・1』そのいち 

 

 

「ドーカン、状況はどうなっておる!?」

 

 王女は警戒の兵の頭越しに呼ばわった。

 兵たちは、その声だけで声の主が分かったようで右往左往。

「王女!?」「姫君!」「ちょ、司令!」「お声が……!」「お待ちを!」

 すぐに、二階建ての司令部から、髭の司令官が飛んで出てきた。

 

「殿下!?」

 

「A・B国でいざこざがあったと聞いて、様子を見に来た。状況報告せよ!」

 なんちゅう剥き出し(-_-;)。

 これでは、王女ここにありと宣伝しているようなものだ、A・B両国の監視哨も近く、その気になればピンポイントで狙撃されてしまいかねない。

「場所をかえます、こちらへ」

 司令官も分かっているようで、副官に一言耳打ちして、自らトレンチ(塹壕)に下りて、姫とわたしを先導する。

 掩体壕を二つ経由して、地下壕に向かっていると分かる。チラリと見えた司令部のポールには花のデザインの王女旗がスルスルと上っていくのが見えた。

「もう敵には知られておるでしょうから、はっきり示した方が安全ですので」

 もっともだ、明確に王女の滞在を示しておけば、簡単には攻撃もできないだろう。

「ドーカンは心配性だなあ」

「万一のことがあってはなりませんので。こちらは、日本から来られたお客人ですか?」

「ああ、主演女優の付き人兼セキュリティーだ。臨時にわたしの副官を務めてもらっている」

「そうですか、基地司令のドーカンです。お名前は?」

「風間そのです、よろしくお願いします」

「こちらこそ」

 過不足のない笑みで挨拶してくれる。

 実直そうな司令官は、名前の通り日暮里の駅前に立っている銅像の太田道灌に似ていなくもない。

「それで、状況は?」

「はい、未明にAB国境付近で爆発音がありました。音から推量すると旧ソ連製の地雷です。古い地雷なので自然に暴発したともとれるのですが、原因は不明です。その後A国が機銃、迫撃砲を発砲。迫撃砲は延べ35発。いずれもB国の監視哨施設は外しております」

「単なる威嚇か?」

「とも申せません。そう思わせて、一気に本格的な攻撃に出る場合もあります。じっさい、昼前から予定外の補給トラックが10台入ってきました。うち一台は早期警戒レーダーを積んでおり油断ができません」

「B国は、どうか?」

「よく耐えています。刺激して攻撃の口実になるのを避けているように思えます」

「このままで済みそうに思えるか?」

「分かりません、最悪は、AB共同で奇襲してくる可能性もあります。むろん、背後で草原の国が糸を引いていると考えるべきでしょう」

「その場合、この国境警備隊で持ちこたえられるのか?」

「無理です。玉砕覚悟で抵抗し、時間を稼いで応援を待つのがセオリーです」

「可能性は?」

「あるとしか申せません。判断するのは統合参謀本部で、決意されるのは総理の輔弼を受けられた陛下です」

「そうだな。分かった、しばらく滞在するぞ」

「……承知しました、お部屋を用意いたします」

 微妙にためらって、ドーカン司令は内線電話でなにやら指示すると、地下道を通って司令部棟の一室に我々をあんないした。

 部屋のドアには『司令官室』のプレートがかかっていた。

 急場のことで自分の部屋を提供するのが一番と考えたんだ。自分はオペレーションルームに寝袋でも持ち込むんだろう、この実直さは好ましい。

 

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
  • アデリヤ         高原の国第一王女
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くノ一その一今のうち・77『国境警備司令部は日暮里に似ている』

2023-09-27 14:50:33 | 小説3

くノ一その一今のうち

77『国境警備司令部は日暮里に似ている』そのいち 

 

 

 日暮里に似ている。

 峠から見下ろして、そう思った。

 

 日暮里から東に向けて関東平野は低くなっている。口の悪いお祖母ちゃんは「日暮里から転げ落ちてたどり着いたところが埼玉だ」とか言う。「その高低の境目に山手線を通して東西両方の発展を計ったのは偉いけどね」と鶯谷を過ぎて日暮里に向かう電車の中で言っていた。忍者を引退したお祖母ちゃんは、ひところ日暮里の繊維問屋から真田紐を織る仕事をもらっていた。月に一度品物を納めに行くときに連れて行ってもらって、そういう話を聞いた。

 ここの高低差は山手線から見た、それの十倍はあるだろうし、下った大地の広さは関東平野の比ではないけど地形としては相似形だ。

 旧ソ連の構成国だったA国B国の草原が地平線の向こうまで広がっている。

 山手線に当るのがA国B国との国境線だ。

 日暮里駅は、ざっくり言って、文京区と荒川・台東の二つの区の結節点にある。この日暮里駅に当るのが高原の国の国境警備司令部。その司令部に向かう峠道で馬の足を止めている。

「北がA国、その南がB国、さらに、その北西が草原の国だ。B国はその中でも一番小さな国だが、ここを突破口にして攻められたら厄介だ」

 そう言えば台東区は、東京23区の中でいちばん小さい。

 今の状況は、埼玉県が台東区と荒川区を嚇して山手線の内側に攻め込もうとしているのに似ている。

 そう思って振り返ると、先の方だけ小さく見えている王宮の塔がスカイツリーに見えなくもない。

「B国は小さな国でな、歴年、草原の国や我が高原の国によしみを通じて国を維持してきた。おおむねうまく立ち回ってきたが、二度ほど国策を誤って他国に併合されている。大事になる前に手当てをしたい」

「B国に特別な思いをお持ちなのですか?」

「母上は、B国から嫁がれた……わたしの血の半分はB国だ」

「そうだったんですか……」

「ひいお婆さまが日本人であったことに興味はない。それよりも、この身の半分を形作っているB国を救ってやりたい。いくぞ!」

「了解」

 

 峠を駆け下りて国境警備司令部は目と鼻の先だ。

 対戦車壕と鉄条網が二重になった先、我々の接近に気付いて、司令部のゲートと監視哨で人が動きだした。

 

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
  • アデリヤ         高原の国第一王女

 

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くノ一その一今のうち・76『作戦変更』

2023-09-20 14:53:14 | 小説3

くノ一その一今のうち

76『作戦変更』そのいち 

 

 

 ほんの一瞬迷っているように見えた。

 

 それが並の人間なら――そういうこともある――と見逃す、いや、迷ったことにさえ気づかなかっただろう。

 たとえば、自販機で飲み物を買う時、コインを投入するまでの一秒にも満たない時間、スポーツドリンクにしようかお茶にしようかと悩むような。駅のホームに上がって、一瞬どこの乗車マークに立とうかと迷うような。学食のカレーを食べる時、付け合わせを福神漬けにするかラッキョウにするか迷うような、そんな僅かな間。

 パソコンの画面には高原の国が国境を接する五つの国が表示されている。

 一つは、わたし自身初の大仕事だった草原の国。その他にA・B・C・Dの四か国。

 Cを除いては、いずれも元はソ連の中の共和国だった。

 AとBにアラームが灯っている。アラームといっしょに、その理由が出ている。

――A国の国境付近で爆発事故、国境警備兵二名死亡、三名負傷。A・B共に一級警戒態勢をとって、国境付近に軍隊を集結中――

「作戦変更」

 ひとこと言うと、三村紘一は服部半三の顔でこちらを向いた。

「桔梗とミヒャエルでA国へ、B国へはそのいちと王女殿下とで向かってもらう。A国の方が積極的に事態を拡大させようとしている。むろん背後には草原の国と木下豊臣が付いている。仕掛けてくるとしたらA国だ。なんとしても、AB両国の戦闘を回避させろ。B国が先に手を出すことはないと思うが、様子を探ってくれ」

「わたしは様子を探るだけなのか?」

 王女が不足そうな声を上げる。

「大事な仕事です。それに、いつ状況がひっくり返るかもしれません。そのいち、手に余ると思ったらすぐに撤退してこい」

「「「了解!」」」

「あ、ちょ……」

 まだ気が済んでいない王女をひっぱり、とりあえずB国との国境を目指した。

 

 ドバカラドバカラドバカラドバカラ…………国境へは馬でいく。

 

 草原の国に潜入した時は途中まで原チャを使った。帰路の予想がたっていたからだ。

 今度は予想がつかない、AB両国と高原の国は一応の国交関係はあるが、草原の国が今以上の力で軍事行動を起こせば、いつ敵対関係になるか知れたものではない。馬なら、途中で乗り捨てても自分の意思で王宮の厩に戻っていく。万一発見されても熱を発しない馬であれば誘導兵器で撃破される心配も無い。

 今朝のA国の爆発事故は、A国の不安を煽って自分の勢力に組み入れようとする草原の国の陰謀に違いない。B国との国境で起ったというのはB国の仕業に見せかけるブラフだ。

 AB両国に緊張状態を作り、どちらかに味方して勢力を拡大し、合わせた力で高原の国を攻めようという魂胆だ。

 高原の国は、今のところミサイル攻撃を受けているだけだが、AB両国を傘下に組み入れてしまえば、本格的に陸上部隊を送り込んで一気に高原の国を取りにかかるだろう。

 その大攻勢をかけさせないためにも、AB両国の国境紛争を拡大させてはならない。

 

 キュイーーーン

 

 怪鳥の鳴き声のような音を立て、いくつものミサイルが飛んで行く。

「王都を狙っていますね」

「大丈夫、旧式の巡航ミサイルだ。迎撃ミサイルで大半は墜とせる」

 大半……いくつかは着弾するわけだ。

 それを大丈夫と言えるのは、王女の強がりもであるんだろうが、戦争状態に慣れてしまっているということでもあるんだろう。そう思うと、王女の意地を張ったような敢闘精神も痛々しく思える。

「敵は、混乱を我が国にまで広げようとしている。ぜったいに阻止するぞ!」

「はい」

「あの峠を越えればB国との国境が見えてくる、一気に超えるぞ」

「殿下、少し身を隠しましょう」

「なぜだ?」

「ミサイルは20発を超えています。おそらく戦果確認のためのドローンが遅れて付いてきます、このままでは発見されます」

「そうか?」

「王都撃破、動画をあげれば恰好の宣伝になります。付いているカメラは4K対応の3Dカメラ、侮れません」

「分かった」

 癖のある王女さまだが、変に我を押し通すタイプでもないようなので、少し安心。

 

 道を外れて切通脇の薮に身を潜める。

 

 ブイーーーーン

 

 やがて、ミサイルと同じ軌道を通って模型飛行機のようなドローンが飛んできた。

 危ないところだ、乗り物を使っていたら、エンジンを切っても排熱を感知されているところだった。

 

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
  • アデリヤ         高原の国第一王女

 

 

 

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くノ一その一今のうち・75『航空便と朝食の席』

2023-09-14 10:55:49 | 小説3

くノ一その一今のうち

75『航空便と朝食の席』そのいち 

 

 

 航空便は卒業証書のような筒状で、封を切ると、勢いよく丸まったのが飛び出し、空中でシャキンとした。

 

「ああぁ、やっと楽になったぁ!」

 

 プルンと音を立てて真っ直ぐに伸びたのは、帝国キネマのえいちゃんだった!

「え、えいちゃん!?」

「はい、帝国キネマの長瀬映子、ただいま到着しました('◇')ゞ!」

「え、え、なんで?」

「所長から出向を命ぜられました!」

「出向?」

「はい、この撮影に限りお手伝いするように申しつかって参りました」

「えいちゃんて、大阪限定だと思ってた」

「はい、本来の所属は昭和5年の帝キネで、時代を超えた行動範囲も京阪神に限られているんですが、所長が裏技をつかってくださったんです」

「うらわざ?」

「はい、あて名書きのスタンプを見てください」

「スタンプ……」

 空になった筒のあて名書きとスタンプを見てビックリした!

 

 発送は長瀬郵便局、宛名は高原の国王宮、そして配達日時は今日を指定してある。

 そしてそして、もっとビックリしたのは、差し出された日付。

 昭和5年9月1日

「え、93年も留め置きだったの!?」

「あはは、だから、もうあちこち凝っちゃって。あとでお布団の下に入れて伸ばしていただけると嬉しいです(^_^;)」

「わかったわ、でも、帰る時はどうすんの? あ、もちろん、このまま21世紀に居てもらってもいいんだけど」

「その時は、配達日を昭和5年9月2日にして郵便局に出してください。書留で」

「え、あ、うん分かった」

「お願いしま……キャ!?」

 クルン

 93年間のまるめ癖で、安心したとたんに、元の丸まった状態に戻ってしまった。

 

 アデリア王女に頼んでスチームした上で一晩ガラスに挟んでもらって、本格的に伸ばしてもらった(^_^;)。

 

「ここでの仕事は二つだ」

 撮影隊だけの朝食の席で三村先生が服部半三の顔で言う。

 ただ、まあやだけは王妃がアデリヤ王女共々自室ででの朝食に招いているので、ここには居ない。

「首都に留まってロケハンと撮影の準備に入る者と、西部に向かって敵と戦う者の二組だ」

 なんで、二組に分かれるんだろう?

「我々は、表面は撮影隊だが、実質は木下豊臣家とその傘下に入ってしまった草原の国との戦闘部隊だ」

 うん、それくらいは分かってる。

「これは忍の戦いで表に出ることはないし出すべきでもない。しかし、じつは世界中が注目している戦いなのだ。だから、撮影隊と名乗ってここに我々がいることは、関係国の中枢や諜報機関は掴んでいる」

「それで……」

 徳川社長が、あとを続ける。

「鈴木豊臣家が全力を挙げて、この戦いに臨んでいることを撮影隊である我々が、首都とその周辺で世界に見せつけ、かつ作戦指揮の実質を握る。戦闘部隊は……」

「自分が言います」

 百地社長が身を乗り出す。こんな真剣な社長を見るのは初めてだ。

「桔梗、そのいち、ミヒャエルの三名で敵の本拠地に入ってもらう。目的は、敵の戦意を挫くこと。必要に応じて本部の我々から加勢の人員、あるいは部隊を派遣する。桔梗組の出発はヒトサンマルマル……」

 締めくくろうと、三村、いや服部課長代理が口を開いた時、ダイニングのドアが元気に開いた。

 バァーーン

「このアデリアを忘れてもらっては困るぞ!」

 

 ダイニングのみんなが驚く中、ズカズカと入ってきたアデリア王女は、テーブルの上座にドッカと腰を下ろした。

 

 みんな驚いたりヤレヤレという顔をしたり。

 

 でも、これで予定通りなんだろう。

 もともと、こんな大事な話、忍び語りもせずにやるわけがない。

 ちょっとムカつくのは、このヤラセも含めてわたしには何も伝えられていなかったこと。

 

 まあ、徳川の下請けの百地のアルバイト、仕方がないっちゃ仕方がないんだけど。

 

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
  • アデリヤ         高原の国第一王女
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くノ一その一今のうち・74『王妃と会食』

2023-09-06 11:08:37 | 小説3

くノ一その一今のうち

74『王妃と会食』そのいち 

 

 

 会食も半ばを過ぎて王妃様は、おもしろい話をされた。

 

「ハワイの王さまが日本のプリンセスを王子の嫁を迎えようとされたのはご存知ですか?」

 わたしとまあやは初耳で、大人たちは――ああ、あのお話か――という顔をしている。

「さすがにご存知のご様子だけれど、ここはわたくしに……」

「はい、わたしもうる憶えの話ですので」

「どうぞお聞かせください」

 二人の社長は、さすがにソツがない。

「ハワイ王朝末期、明治大帝がご存命だったころ、王さまが日本を親善訪問されて、王さまは『よろしければ、日本のプリンセスのお一人を王子の妃に迎えたいのですが』と大帝に切り出されました。大帝も『それは良いお話です』と喜ばれ、宮内省は内々に皇族のお姫様方の中で適任はいないかと探しにかかりました。惜しくも、その後ハワイはアメリカに併合されて立ち消えになってしまいましが、実現していれば、きっとディズニーがアニメにしていたでしょうねえ『モアナとプリンセスの伝説』とか、ねえ、アデリヤ」

「アハハ、わたし、ジブリ世代でディズニーはあんまり見てないから(^_^;)」

「そうだったわね、じゃあ、うちの話はどうかしら」

「お母さま」

 アデリヤの目が泳いだ。

「うちの五代前の国王は『うちが、ハワイ王の夢を実現しよう!』と、言い回しはいいのだけど、パクリを狙ったんです」

 パクリ(^_^;)

「しかし、度重なる戦争で立ち消えになり、パクリは実現しませんでした。そして、大東亜戦争に日本が敗北して日本の公使が帰国することになったんです」

 微妙に話が飛んだ。

「お母さま、そろそろお昼寝の時間じゃないかしらぁ」

「夕べは一時間余計に寝ておいたから大丈夫よ」

「はい」

「ところが、帰国する間際になって公使が使ってらっしゃったメイドが病気になってしまい、公使はメイドを一人残して日本に帰って行きました。公使といっても捕虜同然だったから仕方がなかったのね」

「先々代の国王夫妻は、このメイドを憐れに思われて、我が国の国籍を与えて看病なさいました。そして二年療養してすっかり良くなると、王子が、このメイドを見染てしまいました。国王は『彼女は日本人なのだから日本に帰してあげよう』と王子を諭しました。しかし、調べてみるとメイドの家族は戦争で全員亡くなっていて、彼女は帰国しても身寄りが一人もいないことが分かったんです」

「まあ……(o; )

 まあやが、もうウルウル。

「それで、そのメイドは我が国の人間として大臣の養女にした上で王子の妃になりました。そして生まれてきたのが、いまのわたしの亭主というわけです。思いがけず、パクリが成功しました」

「え、えと、妃殿下!」

「はい、まあやさん?」

「いまのお話って、国家機密なんじゃ……(;'∀')」

 そうだろ、王家の血筋に外国人の血が混ざってるって、ちょっとヤバイ話だ。

「はい、でも、みんな知っています。そして、とても大事にしていますのよ」

 

 程度の差はあるけど、みんな王妃さまの話に感銘を受けて、我々は指定された自分の部屋に入った。

 

 部屋に行くと、わたしのベッドの上に日本からの航空便が届いていた。

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
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くノ一その一今のうち・73『謁見』

2023-08-31 10:25:45 | 小説3

くノ一その一今のうち

73『謁見』そのいち 

 

 

「今から国王に会ってもらう」

 

 車寄せでバスを降りると、トヨタを下りた王女が待ち構えて告げる。

 遠足で目的地に着いて、先生が、取りあえずの注意をしている感じでおかしい。

「謁見の形式なので、身なりには気を付けてもらう。特段に着替える必要はないが、ネクタイはまっすぐ、ボタンは上まで止めて、上着のボタンも締めて欲しい。基本的に、聞かれたことのみ応えて、発問は控えてもらう。その後は王妃と会食。二時間ほどはかかる。途中トイレにはいけないから、10分間のトイレ休憩にする」

 ほんとうに引率の先生だ(^_^;)

 トイレ休憩が終わって、いよいよ謁見。帝国ホテルの結婚式場か(行ったことないけど)と思うくらいに高級感漂う広さと豪華さ。

 二段高くなった、その上にクッションで脇と背中をサポートされた玉座に王様が座っている。脇に控えているのは、おそらくはドクターだろう。

「父上、日本より『バトル オブ ハイランド』の撮影隊の方々が来られましたので、お連れいたしました」

「うん、ごくろう。みなさん、はるばる日本からお越しいただき、まことにありがとう。国王のアデノシン・サンリンサンです。高原の国を代表して歓迎いたします」

 王女の目配せを受けて、まず徳川社長が挨拶し、みながそれに倣ってまあやの番になる。

「鈴木まあやです、縁あって、今回主演を務めさせていただきます」

「鈴木とは……」

「あ、はい、日本で一番ありふれた苗字です(^_^;)」

「……苗字はそうでしょうが、身にまとわれた雰囲気は尋常なものではない。まあやさん、今少し顔を上げて目を合わせてはくださらんか」

「は、はひ(#'∀'#)」

 アセアセで顔を上げたまあやに王様は目を丸くされた。

「おお、似ている。若いころの母にそっくりだ、今少し近くでお顔を見せて下さらんか」

「は、はい……」

 三歩ほど前に出ると、控えのドクターが――そこまで――という目配せをして、まあやは足を止めた。

「アデリア」

「はい」

「まあやさんの横に並んでみなさい」

「はい」

「……ここには、撮影隊の方々の他にはドクターのホイヘンスしかおらん。ホイヘンスはおまえの侍医でもある、サングラスをとりなさい」

「はい……」

 ゆっくりとサングラスを外す王女。

「わたしの顔だけを見てどうする、みなさんにも顔を見ていただきなさい」

「そ、それは……」

「王命である」

「はい!」

 わ!?

 おずおずと振り向いた顔に息を呑んだ!

 

 め、めちゃめちゃ可愛い!!

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
  • アデリヤ         高原の国第一王女

 

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くノ一その一今のうち・72『アデリア王女に先導されて王都に向かう』

2023-08-25 12:10:30 | 小説3

くノ一その一今のうち

72『アデリア王女に先導されて王都に向かう』そのいち 

 

 

 じっさいアデリア王女はレイバンのサングラスをしている。

 

 落ちこぼれJkのわたしにサングラスのブランドなんか分からないんだけど、『お、レイバン』『マッカーサーのといっしょだ』と、徳川社長と百地社長が闇語りで呟いたから分かった。

「王女殿下おん自らのお出迎えに感謝いたします。まず、撮影準備隊メンバーの紹介をいたします」

「うむ」

 桔梗さんのイントロディユースに合わせて、みんな一列に並び、わたしも最後尾に付く。桔梗さんが通訳しながら紹介していくようだ。

「徳川物産社長の徳川秀長です」

「ん、徳川なのに秀吉の秀の字が付くのか?」

「二代将軍秀忠の子孫ですので、代々秀の一字を戴いております」

「そうか、よろしくな」

「徳川グループ、百地産業社長の百地三太夫です」

「百地です」

「よろしくな」

「『バトル オブ ハイランド』の作者三村紘一先生です」

「よろしく」

「主演女優の鈴木まあやです」

「鈴木まあやです、お目にかかれて光栄です」

「……どことなく、先王后に似ている」

「あ、それは光栄です」

 パッと頬を染めるまあや。

「……よろしくな」

「まあやの後見職の風魔そのです」

「ほう、こんなに若いのに後見職か、よろしく」

「お目にかかれて光栄です」

 後見職にされてしまった(^_^;)

「主演の相手役をいたします、ミヒャエル・ミュンツァーです。ミッヒとお呼びください」

「よろしくな、ミッヒ」

「そして、わたくし、徳川物産の社長秘書兼通訳の桔梗と申します」

「うむ、よろしく頼むぞ」

 仏頂面のまま王女が締めくくると、空港の格納庫から年代物のボンネットバスが出てきて、我々ゲストはバスに、王女はトヨタに乗って高原の道に乗り出した。桔梗さんが「都のカワンバートルに向かいます」と教えてくれた。

 

 草原の国よりも緑が豊かだ、高原というからには標高が高いだろうに、どういうことだろう。

 

「先々代の国王が治山治水に熱心で、先代の国王は産業の振興に励まれました。日本流に言いますと美し国、そこを草原の国が狙っています」

「そうなんだ」

 バスの席が隣同士なので、桔梗さんは地声で話してくれる。

「それだけじゃありません、高原の国が手に入れば、その富と技術で中央アジアを手に入れられます。そうすれば、中国やロシアとも肩を並べられます。すでに、西部や北部では紛争が起こってPKOの部隊まで……日本は、もう引き揚げましたが。そして、木下が埋蔵金を資金にして乗り出し始めています。この国を木下が呑み込んでしまったら……」

「取り返しがつかなくなるのね」

「はい」

「でも、ちょっと大げさじゃない。社長が出てくるなんて初めてでしょ、それも二人も来て」

「それは……王宮に行けば分かるかと思います。王女さま次第ですが……」

 バスの前を行くトヨタに目を向ける桔梗さん。

 そう言えば、どうなんだろ……王女さま自ら来られた割には、貧相な出迎え。挨拶の間もサングラスを外さず、ちょっと違和感。

 王都カワンバートルが近くなるにつれ、整備途中の、おそらくはハイテク産業と思われる建物がチラホラ見えてきた。

「稼働中の企業もあったんですが、半分近くは閉じていますね」

「…………」

 

 JK忍者のわたしには、発展しかけか没落の始まりか分からない景色だ。

 

 バスは、工場よりビルが目立つ市街に入って行った。

 大通りに入ると、正面に金色の尖塔を従えた宮殿が見えてきた。

 

 あ!?

 

 あと2ブロックで王宮というところで、官公庁のようなビルの上1/3あまりが焼けただれているのが目に入った。

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
  • アデリヤ         高原の国第一王女
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くノ一その一今のうち・71『高原の国に降り立つ』

2023-08-20 10:13:12 | 小説3

くノ一その一今のうち

71『高原の国に降り立つ』そのいち 

 

 

 ゴォーーーーーーー

 

 わたしたちを乗せてきたC130は、あっという間に飛び立って、高原の雲に隠れて消えてしまった。

「すごいね、この滑走路は軽飛行機がやっとなのに……」

 ミッヒが眩しそうに空を見上げ、自衛隊の操縦テクニックに見入っている。

 

 わたしたちは、数カ月ぶりのC130に乗って高原の国にやってきたところだ。

 

 目の前には誰が見ても軽飛行機がやっとという感じの500m滑走路。

 航空自衛隊のC130は折り返して、PKOに参加していた自衛隊員と在留邦人を乗せて日本に引き揚げていく。

 わたしたち徳川物産関係者は、あのC130に乗ってきて、100人の引き上げ組と交代したところ。

 草原の国に行った時は米軍のC130だったけど、今回は自衛隊機。

 草原の国での活躍を知った日本政府は「今回はわが国で」言ってきた。

――成功した時の保険だ――

 百地社長は口をゆがめたけど、徳川社長は鷹揚に付け加えた。

――なあに、針は確実にこちらに傾いている。進歩ととらえましょう百地さん(^□^)――

 

 実は、草原の国が急速に軍備を整えて周辺の国に攻め入る気配なんだ。

 木下豊臣家が甲府から持ち出した甲州金は甲府と大阪城で少しは取り戻したけど、けっきょく7割ほどは持ち出され、その資金で、さっそく草原の国の軍備拡張に乗り出した。

 にわかに勢いづいた草原の国は、隣り合う高原の国に手を及ぼうとしている。

 そのためにドイツからミッヒが招かれ、徳川物産は全力を挙げて対抗するんだ。

「あららぁ、ネットニュースでは『自衛隊、成果を上げて高原の国から撤収』と出てるわ」

 まあやがスマホを見せてくれる。

「ええと……え?」

 画面をスクロールすると、C130を見送るわたしたちの後姿。

「『脚本家三村紘一氏は、三村組と呼ばれるチームを結成し新作映画「バトル オブ ハイランド」の制作準備に入る』だって」

「ええ!?」

 なんちゅう欺瞞! 実体は自衛隊のPKOだって引き上げるくらいに危機地帯だっちゅうに!

 

 お~い、みんなぁ~!

 

 空港事務所に手続きに行っていた三村先生と桔梗さん(徳川社長の秘書)が軽やかに駆けてきた。

 なんだか、新作映画の準備どころか、みんなでバカンスに来た感じ。

「王女殿下がお迎えに来られることになりました、もう少し、このままで待ってください」

 桔梗さんが穏やかに予定変更を伝える。三村先生は膝に手を付いてゼーゼー言ってる。

「いやあ……酸素が薄い……桔梗さん、あと頼む」

「はい、承りました。高原の国は国王がお体を悪くされて、皇太子が摂政になっておられますが、実際に国政を担っておられるのは王女のアデリヤ殿下です。率直なお方ですが根は国と国民を思い、日本にもリスペクトの御心をお持ちの方で……」

「桔梗さん、こ、来られたようだ……」

 苦しい息で三村先生が指差したゲートから、ごっついトヨタがパトカーを従えて入ってきた。

 

 キーーー! バタム!

 

 ポニテで高身長の戦闘服が降りてきた。

 

「高原の国第一王女のアデリヤである」

 

 その第一印象は、女マッカーサーだった(^_^;)

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
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くノ一その一今のうち・70『まあやはマッタリ日常系が好きなんだけど』

2023-08-13 09:56:01 | 小説3

くノ一その一今のうち

70『まあやはマッタリ日常系が好きなんだけど』そのいち 

 

 

 日本人をバカにしてんのか!?

 

 十日ぶりの撮影所、台本を読んでムカついた。

 歴史活劇ドラマ『吠えよ剣』は、甲州の回を終わって江戸に戻ってきている。

 幕府も遅まきながらも、勝海舟を実質的な総裁にして陸軍を創設した。

 その幕府陸軍の教官として多数の教官がフランスから送られてくるんだけども、その一人がミッヒ。

 ミッヒはジョルジュっていうフランス軍少尉の役。

「なんで、ドイツ人がフランスの軍人やってんのよ!?」

「フランスとドイツは地続きなんだぜ、国境付近は歴史的にもドイツになったりフランスになったりってところがあって、不思議じゃないよ」

「だって、ジョルジュって完ぺきフランス人の名前でしょうが」

「ドイツ語読みならゲオルグだよ」

「ああ、そう」

 ドン

 自販機のカフェオレのスイッチを乱暴に叩く。

 ゴロン、ピピピピピピ……ピ……パンパカパーン!

「あ、当たった!」

 自販機のルーレットが当たりになって、二つ目のカフェオレをゲット。

 

「あら、二人とも仲良しになったのね(^▽^)」

 

 まあやが次の撮影に備えて移動してきた。

「あ、ごめん、遅くなって。て、こいつとは仲良しじゃないから」

「そーお、先週は、仕事以外口もきいてなかったのに」

「え、あ、そうだっけ?」

「おはようございます、まあやさん」

「ボンジュール」

「あ、こいつドイツ人だし」

「役はフランス人でしょ、雰囲気よ雰囲気。三十分後、衣装合わせだから、よろしくね」

「うん、これ飲んだら行く」

 一人で次のスタジオに向かうまあや。

「ミッヒ、あんた、わたしとは口きかなかったの?」

「あ、だって、社長や嫁持ちさんが化けたソノッチだっただろう」

「え、分かってたの?」

 二人とも細胞レベルの変身名人だから、めったにバレることはないんだけど。

「そういうのを見抜くのが、僕の特技であったりするわけだよ」

 こいつの、ランツクネヒトとしての力は奥が深いようだ……。

 

 ドラマは、幕府陸軍の教官としてやってきたジョルジュ少尉が千葉道場に通って北辰一刀流を勉強するという設定になっている。

 

 衣装合わせの後、道場での稽古風景。

 10人5組で、打ち合い稽古。その後は門下生みんなでご飯をいただくシーン。

「日本のごはん、どれも美味しいけど、これは慣れませ~~ん」

 と納豆をかき混ぜるジョルジュ。

「あら、こないだはくさやの干物に打ち勝ったのに?」

「ジョルジュ、納豆を食べんと北辰一刀流の精神は理解できんぜよ」

 龍馬に意地悪を言われるジョルジュ。

「それなら、ムッシュ龍馬もエスカルゴを食べるべきだぞ(,,>∀<,,)!」

「でんでん虫は食いもんじゃなかろうがあ」

「納豆も食いもんじゃないよ、ムッシュ!」

「なにを言う、納豆は大豆だ、仏蘭西でも納豆はたべるじゃろうがあ!」

「じゃ、今度はエスカルゴの納豆和えを作ります」

「「それは勘弁!」」

 さな子の提案に日仏の剣術使いが音を上げて、一発でOKが出る。

 

「来週分、一部差し換えになります」

 

 監督が、新しい台本の束を置いた。

「あらら、江戸城の回が最初にくるのね」

 まあやが、ちょっと残念そう。

 しばらくは千葉道場のシーンが続いて、いまみたいな『千葉道場の日常』的なやり取りが続くことになっていたから。

 まあやは、ドラマでもリアルでも、みんなで仲良くマッタリというのが好きなんだ。

 わたしも、台本を繰ってみて気が付いた。

 ミッヒとわたしの出番が、しばらく無い。

 

 ひょっとして、また裏の仕事……それも、ミッヒといっしょだったりするぅ(;'∀')?

 

 気配に顔を上げると、脚本の三村紘一がニヤニヤ笑ってる。

 言うまでもなく、三村紘一は徳川物産の課長代理服部半三の仮の姿で、徳川忍者団のフィクサーなんだ。

「あら、わたしの出番も……」

 まあやもビックリした。

 なんか、いやな予感しかしないよ(-_-;)。

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
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くノ一その一今のうち・69『ミッヒはランツクネヒト』

2023-08-08 09:59:31 | 小説3

くノ一その一今のうち

69『ミッヒはランツクネヒト』そのいち 

 

 

 英語の時間は自習になった。

 

 なんでも、先生が具合悪くなって保健室で寝てるって話。

『これでゆっくり話せるね(^▽^)』

 え、忍び語り?

『何者よ、あんた?』

『アンタじゃないよ、ミヒャエル・ミュンツァー。ミッヒって呼んで』

『だから何者?』

『ランツクネヒト』

『ランツク……?』

『ランツクネヒト、日本の言葉だと……傭兵かなあ、まあ忍者みたいなもの』

『ドイツ人?』

『まあね、研修で徳川物産に来てるんだ』

『その研修生が、どうしてわたしの後ろにいるのよ?』

『え、だって、僕の担当はキミだから』

『聞いてないわよ』

『連絡ミスだね、確認してみてよ』

『あとで』

『ええ、今でもできるだろ?』

『だって、先生来るよ』

『え?』

 ガラ

「やあ、迷惑かけたね、もう大丈夫だから授業やるわね」

 弱々しい声で顔色も悪いんだけど、英語の妹尾先生はキッパリと授業を始めた。

『量を間違えたかなあ……』

『あんたの仕業ね』

『ハハ、先生も疲れ気味だったし、ちょっと休んだ方がいいかなって(^_^;)……』

「テキスト34ページ、レッスン2セクション1、一行目から五行目まで読んで訳して……今日は風間さんからね」

「は、はひ(;'∀')」

 ヤバイ、ドイツ人傭兵のお蔭で半分もできてない。

『あ、ぼくがサポートするから』

『さっさと、お願い』

 

 それで、まあ、事なきを得て昼休。

 

「はい、どうぞ」

 ピチャ

「きゃ!」

 振り向くと頬っぺたに冷え冷えの缶コーラ。

「アニメとかだったら、定番だろ、お近づきのシルシ」

「ちゃんと買ったんでしょうね?」

「もちろんだよ。学食のメニューって利が薄いから、儲けのかなりは自販機のジュースなんだよ。昔と違って分母になる生徒数も減ってるしね。ぼくはちゃんと売り上げに貢献したよ。あ、二個目はルーレットに当ってただだったけど」

「ふうん、籤運もいいんだ(´¬_¬)」

「じゃ、カンパイ!」

 プシ!

 プルトップを起こすと、程よく炭酸が解放される。

 ドジな奴は、学食から駆け上がってきて缶をシェイクしてしまって中身ごと盛大に噴出させてしまう。

「あ、炭酸大丈夫だった?」

 グビグビグビ……プハァ!

 返事の代わりに一気に飲む。

「おお、今度はビールでやろう!」

 グビグビグビ……プハァ!

 ゲップ!

「「アハハハ(^◇^)」」

 不覚にも揃って笑ってしまった。

「で、なんでランチクネクネが研修になんか来てんのよ?」

「ランツクネヒト」

「そのクネヒトが、なんで?」

「共通の敵に対処するためさ。草原の国は一つじゃないからね」

「なるほどね」

「近々、共同で働かなきゃならないことになる。撮影所でもいっしょになると思うから、よろしくね、センパイ」

「あ、五限は生物で移動だよ」

 キンコンカンコーン キンコンカンコーン……

 ちょうど鳴ったチャイムでミッヒの手を躱す。

 すると、奴は窓枠に足を掛けた。

「ちょ、なにすんのよ!」

「生物室なら飛んだ方が早い」

「校内では、そういうの禁止!」

「チェ」

「舌打ちすんな\(`-´メ)」

 

 生物教室へ向かう途中、学食の前を通る。

 キャー ウワァ ラッキー

 自販機を取り巻いて歓声が起こっている。

「あ!?」

 自販機のルーレットがマヒしたように当たりを出して、次々に缶ジュースを吐き出していた。

「アハハハ」

「笑ってる場合か\(`-´メ)」

 

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミヒャエル        ドイツのランツクネヒト(傭兵)

 

 

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くノ一その一今のうち・68『一週間ぶりの登校』

2023-08-03 09:21:59 | 小説3

くノ一その一今のうち

68『一週間ぶりの登校』そのいち 

 

 

 またまた一週間ぶりで学校に行く。

 

 いや……二週間ぶり。

 甲府から戻って一週間ぶりに学校に行こうとしたら、駅前のロータリーで拉致られるようにして大阪での任務。

 それも、またまた多田さん始め木下家にしてやられ、かなりの金塊が国外に持ち去られてしまった。

 

 昇降口で上履きに履き替える。

 下足のローファーを掴もうとして屈むと、通学カバンの中身がゴソリと寄れる。

 ゴソリの中にえいちゃんの気配はない。

 えいちゃんは帝国キネマの所属なので東京には来れないんだ。

 仕方がない、本来のわたしは鈴木豊臣家の姫、鈴木まあやの付き人でガードなんだ。

「よし!」

 小さく気合いを入れてローファーをロッカーにぶちこんで教室への階段を上がる。

 この一週間は、社長や嫁持ちさんがわたしに化けて登校してくれていた。

 一週間分の授業内容はスマホで送ってくれている。もともと大した成績じゃないし、ノートもとってもらってるし、なんとかなる。

 

 あ、そうそう、席替えしてたんだ。

 

 大阪に行ったあくる日に席替えが行われて、運よく窓側なんだけど一番前。

 ジミ子のわたしは窓側が好き。

 こないだまでは、窓側の四番目。ちょうど柱の陰になって具合が良かった。

 一番前というのはイマイチなんだけど、前にあるのは掲示板と掃除用具のロッカーだけだからまあまあ。

 スマホを出して、もう一度確認。

 よし、なんとかなるだろう。

 タップして消去。

 一時間目は英語だから、ちょっとだけ勉強。

 窓側の一番前というのは高い確率であてられる――○行目から▢行目まで読んで訳しなさい――ってね。

 きれいな訳はしなくていいけど、訳せずにオタオタするのはみっともない。

 スマホを辞書機能にして、一ページ分の訳にとりかかる。

 

「おはよう」

 

 声が掛かって、教科書に目を落としたまま「おはよ……」と応える。

「よかった、やっと本物に会えた」

 え…………え!?

 振り返ると、見たことも無い男子が後ろの席に座って、組んだ手の上に首を載せてニコニコしている。

 見たことが無いだけじゃない。紅毛碧眼の美少年!

「ぼく、ミヒャエル・ミュンツァー。三日前に転校してきたんだ」

「え、あ、あの……」

「よろしくね、風魔流当主風魔そのさん(๑´ڡ`๑)」

「あ、あ……」

 

 不覚にもゲシュタルト崩壊してしまった。

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミヒャエル        ?

 

 

 

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くノ一その一今のうち・67『化学分析場地下の戦い』

2023-07-29 12:13:16 | 小説3

くノ一その一今のうち

67『化学分析場地下の戦い』そのいち 

 

 

『地下に続いています!』

「あ、ちょ……」

 

 壁の向こう、えいちゃんはわたしの言葉を待たずに地下への階段を下りて行く様子。

 壁は地下への階段を隠すための擬装だったんだ。

 階段の手前に部屋があったり廊下が続いていたら、えいちゃんはわたしを待っただろう。しかし、直ぐ足もとから階段が伸びていて、見通せるところまでは行ってみようと思ったんだ。

 単なるアシスタントではなく、洞察力を持った助手を目指そうと言う気概を感じた。

 だから、気弱なカンフーみたいに「あ、ちょ……」しか言えなかった。

 

 五分待って、おかしいと思った。

 

 先を見通すには時間を超えている。

 先行した仲間や部下が戻ってこないのは事故があった証拠。並の忍者なら、直ぐにその場を離れる。

 別のルートを探すか、調べ直して日を改める。

 助けに行って自分もやられては任務が果たせない。忍者と言う者は、けして倫理観では動かない。

 

 思わず魔石を握った。

 

 もし魔石の力で壁が開くなら、えいちゃんを助けに行こう!

 心の声に従った。

 と言っても、魔石に開錠の力が無ければ、ただのバカなんだけど。これまでも、何度か魔石に助けられている。

 困った時の石頼み、握った手に力が籠る。

 ジ~~

 魔石が震え、制服を通しても手に熱が伝わってくる。

 ガチ

 手応えのある音がして壁が開いた。

 アチ!

 手を離すと、魔石が直接肌に触れて忍者らしからぬ声が出る。

 一秒だけ立ち止まって気を飛ばす。

 たった一秒だけど、空堀では、この程度の慎重さも失って、まんまと多田さんの目くらましに騙されてしまった。

 コンクリートの階段を下ると、古ぼけてはいるけど、しっかりしたコンクリートの通路が伸びている。

 あ!?

 曲がって直ぐの壁にプリントしたようにえいちゃんが貼り付けられていた。

『すみません、不覚を取りました(;'∀')』

「待って、すぐに剥がしてあげる」

 メリ!

「ごめん、痛かった?」

『大丈夫です、一気に剥がしてください!』

「うん!」

 メリメリメリ!

 …………………!!

 かなり痛そうだったけど、えいちゃんは声も立てずに堪えてくれた。

『すみません、独断専行して、この有様です(-_-;)』

「やっぱり、昨日の多田さんたちだった?」

『気配はそうです。角を曲がったと思ったら、すごい圧を感じて、次の瞬間には壁に貼り付けられていました』

「よし、慎重に進もう……」

 少し進むと下り坂になって、20メートルほどの平坦な通路。地下鉄の向かい側ホームに行く通路に似ている。

 その四倍は長いから……おそらくは、内堀の下を潜って本丸か西の丸に抜ける通路だ。

『頑丈だけど、剥き出しのコンクリート……おそらく、戦時中のものですね』

「……上がった先に何かある」

 傍らの壁の崩れをとって思い切りの力で天井に投げる。

 パシ!

 ブシュッ! ブシュブシュ! ブシュッ!

 消音拳銃の弾が飛んできて、壁や床で爆ぜる。

 三人、あるいは四人。

『牽制してきます』

 言うと同時にカバンを飛び出すえいちゃん。

 今度は大丈夫。なんせ厚みが無い、横を向いて進めば敵からは視認されない。

 翻ってわざと姿を見せたえいちゃんに敵が発砲する。

 ブシュッ! ブシュブシュ! ブシュッ!

 えいちゃんが引き付けてくれている。

 …………!

 声も上げずに飛び出し、えいちゃんとは反対側の壁に周る。

 甲府の地下で見たようなパレットの陰に敵の姿。

 ドス! バシ! ビシ! ドゲシ!

 続けざまに四人ぶちのめし、一人が逃げる。

 シュッ!

 パレットの山を掠めて、一反木綿のようにえいちゃんが飛び出し、敵の脚にまといつく。

 ドシン ズザザーー

「動くな!」

 馬乗りになってクナイを構える。

 プシューー

 とたんに空気が抜ける音がして、敵は空気の抜けた風船のように萎んでしまう。

 傀儡か!?

『こっちも、萎んでます!』

 さっきやっつけた敵も萎んで、僅かな空気の流れにフワフワ崩れ始めている。

『なんですかぁ、これぇ!?』

「傀儡……だと思う。上級忍法の使い手が調子がいいと、こういう魔法めいたことをやるらしい」

『わたしの3D版という感じですね』

「え、ああ……」

 わたしも思っていたんだけどね(^_^;)

『パレットだけということは、敵は、もう運び出したんでしょうか?』

「先を探ろう」

 甲府の隧道でも、枕木やパレットが放置された先に結構な金塊が残っていた。

『こっちに続いています』

「うん!」

 四人目の傀儡を仕留めた先は、曲がったところで行き止まりだったけど、第一の部屋の壁にはパッと見には気づかない扉があった。

 おお!

 視聴覚教室ほどの空間には、荷物を載せていないパレットがいくつも置かれていたけど、奥の方にトラック一杯分ほどの金塊が積まれたままになっている。

 甲府から転送された金塊は、こんな量ではないけど、さすがに運びきれないものが残されたんだろう。

 近寄って見ると、どの金塊にも武田菱の刻印がされている。

 間違いない、いくらかは取り戻せたんだ。

 残念と安心が同時にやってくる。

 えいちゃんが、どんな顔をしていいか分からないという感じで微笑んでいる。

 うん、この微笑みには、ちょっと救われる。

 

 ドッゴーーーン!!

 

 大音響がしたかと思うと、地下室がグラグラと揺れ、天井からはパラパラと小さなカケラが落ちてくる。

 

 しまった!

 

 地下室は崩れるようなことは無いみたいだけど――してやられた――という気持ちが湧いて来て、急いで地上に出てみる!

『西の丸の方です!』

 レンガ造りの屋上から見ると堀を挟んだ南側の森から光の柱が空に延びている。

 チリチリとプラズマを纏って聳える光の柱は、諏訪湖の真ん中に聳えたそれと同じ。

 つまり、大量の金塊が国外に転送されたしるしなんだ。

 

 また負けてしまった……。

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟

 

 

 

 

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