魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
33『取りあえず目覚めた白雪姫』
「見ろ、白雪の寝顔」
「え……どうかした?」
「鬼になりかけてやがる……」
「鬼に……?」
「体は動かねえけど、ある程度のことは分かってやがるんだ」
「白雪さ~ん!」
「やっぱり……」
「なにか、変化があったの?」
「やっぱり……」
「なにか、変化があったの?」
「マユの目は、高速度カメラ並なんだ。百万秒の一秒の変化でも分かる。今、白雪は百万分の二秒目を開いた。とても悲しそうな顔でな……なあ、もう日は落ちたか?」
「うん。お日さまはまだ名残惜しげに西の空を染めているけど、東の空は、もうお月さまが、宵の明星を従えて現れてるわ」
レミが東の空を指差した。
マユは、念のため二十メートルほどジャンプして、西の山にお日さまが居ないことを確認したぞ。
「すごい。マユ、それだけジャンプできたら、オリンピックで金メダルだわよ!」
「人間だったらな。あいにくの小悪魔。オリンピックには出られねえけど、今から白雪さんに魔法をかけるぞ」
「え、どんな魔法!?」
「黙って。神経を集中させなきゃできねえんだから!」
「あ、ごめん」
「エロイムエッサイム……エロイムエッサイム……」
白雪姫の胸のあたりに手をかざして、とびきりの呪文を唱えたぜ。
白雪姫の胸のあたりに手をかざして、とびきりの呪文を唱えたぜ。
そして数十秒たった……。
「ああ、もう、やってらんないわ(ꐦ°᷄д°᷅) !!」
可愛い寝顔を、まるで九回の裏、ゲッツーをとられ敗北した阪神タイガースの試合を観ていたオバハンみてえな顔に変えて、白雪は目覚めやがった!
「し、白雪さん( ゚Д゚)!」
「あのクソ王子! いいかげんにしろよおおおお٩(๑`▢´๑)۶ !!」
「ああ、もう、やってらんないわ(ꐦ°᷄д°᷅) !!」
可愛い寝顔を、まるで九回の裏、ゲッツーをとられ敗北した阪神タイガースの試合を観ていたオバハンみてえな顔に変えて、白雪は目覚めやがった!
「し、白雪さん( ゚Д゚)!」
「あのクソ王子! いいかげんにしろよおおおお٩(๑`▢´๑)۶ !!」
「あ……ああ……」
「なぁ、だから言ったろ、鬼になりかけてるって……」
「あ、あんたか、わたしを自由にしてくれたの。とりあえずありがとう……」
簡単にお礼を言うと、白雪は棺から飛び出やがった。
「待て! その魔法は五分間しか効き目がねえぞ!」
「「え……?」」
レミと白雪が同時に声をあげた。
「マユは小悪魔だから効き目が薄いんだ。でもよ、白雪は王子にじらされて、このままじゃ鬼になっちまう。だからよ、取りあえず五分間だけでも目覚めさせたんだ」
レミと白雪が同時に声をあげた。
「マユは小悪魔だから効き目が薄いんだ。でもよ、白雪は王子にじらされて、このままじゃ鬼になっちまう。だからよ、取りあえず五分間だけでも目覚めさせたんだ」
「え、小悪魔あ? 魔法少女じゃないの?『月に代わってお仕置きよ!』とか決めて、サクサク解決してくれるんじゃないの!?」
「なんだ、文句あんのか!?」
「あ……いえ……ごめんなさい。そしてありがとう……たとえ五分間でも起きることができて。レミもありがとう。毎日心配して見にきてくれてたんだよね。わたし、身動き一つできなかったけど。まわりのことは全て分かっていたのよ」
「毒リンゴを食べてから、ずっと?」
「ええ、継母のお后が、リンゴ売りのお婆さんから元の姿に戻ったときは『このクソババア!』と思ったけど。その直ぐ後の悲しそうな目は忘れられない」
「え、あのお后が、悲しそうな顔!?」
「うん、わたしも意外だったけど、継母は、わたしのことを憎んでなんかいなかった」
「だって、いつも鏡を見ては『世界で一番きれいな女はだーれ?』って、やってたんじゃないの?」
「違うの。本当は『世界で一番、この国を治めるのに相応しいのはだーれ?』ってやってらっしゃった」
「話がちがうぜ……」
「自分の考えも、鏡の答えもいっしょだった。でも、国民の多くは、わたしが女王になるべきだと思っていた。でも、わたしは見かけ倒し。かわいいだけで、とても国の政治なんかできないの」
「でも、毒リンゴで仮死状態にしておくなんて、あんまりだわ」
「継母さまは、それも、お考えになっていた。だから、いつか白馬の王子が現れて、わたしにキスをすれば、目覚めるように……それが、あのくそ王子!」
「アニマ王子のこと嫌いなの?」
「……いいえ、愛しているわ。最初に会ったときから……あの人の苦しみも、分かってる。でも、毎日来ては、わたしのくちびる一センチのところまで顔を寄せて、ため息ついて帰っていくばかり。それが、もう九十九回もつづいて。もう一回、こんな目にあったら、魔法少女……いえ、小悪魔のマユさんの言うとおり、わたしは鬼になっていたわ……」
白雪姫はさめざめと泣き始め、レミは白雪をハグして慰めた。
「申し訳ねえんだけど!」
マユは二人の間に割り込んだ。
白雪姫はさめざめと泣き始め、レミは白雪をハグして慰めた。
「申し訳ねえんだけど!」
マユは二人の間に割り込んだ。
「この魔法、五分しか効き目がねえ。効き目が切れるまでに対策考えろ!」
「「対策って?」」
かわいいだけの白雪と、心配だけがイッチョマエのレミが、また同時に声をあげやがる。
「「対策って?」」
かわいいだけの白雪と、心配だけがイッチョマエのレミが、また同時に声をあげやがる。
「白雪。おめえの友だちで、おめえぐらいにかわいくて、勇気のある女の子いねえか!?」
「かわいくて……勇気……ああ、グリムチームに一人いる!」
「だれだ!?」
「ええと〇〇よ」
「え(''◇'')ゞ」
名前を聞いて心配になった。かわいくて勇気はあるけども、ちょっと若すぎる。しかし、時間がないんで、マユは呪文を唱えて、そのかわいくて勇気のある女の子を呼び出したぜ!
「エロイムエッサイム……エロイムエッサイム……」
モクモクモク……ポン!
魔法の煙とともに現れた、その子は、思ったほどには若すぎなかった……。
魔法の煙とともに現れた、その子は、思ったほどには若すぎなかった……。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 片岡先生 マユたちの英語の先生