美とはなんだろう?・・と
考えます。
美は狂気。
美術品に魅せられるコレクターの皆さまは、きっと
この狂気をも包み込んでしまう感性と知恵、
そして何より強い生命力に満ちていらっしゃる方達なのだろうと思います。
狂気の世界を覗いてみたいと思う心、尻込みをしてしまう心。
速水御舟の素描「向日葵」が、いま目前にあります。
御舟の作品に対峙するときに必ず起きるこの震えるような、泣きたくなるような心持ちとどのように向き合えばよいのか?
どなたかに教えて頂きたいような…そんな心細さでいっぱいになってしまいます。
感動とはこういうものなのでしょう。
青木繁の描くあの瞳からは何とか逃げられそうなのに‥
わずかな逃げ道も残してくれず、御舟は堂々と私の真っ正面に立ちはだかります。
鉛筆の一つひとつの線が妖しく、現実と狂気のギリギリの境界線の上で揺れ続けているのです。
「孤独に負けて谷底に落ちないように、一本の縄の上を揺れながら歩くのですよ」
後ろからそう囁かれているようです。
この御舟を心から受け止め、愛してくださるお客様に出会うことが出来れば、
私達もまた本物に近づくことができるのでしょう。
※速水御舟「向日葵」は納品のため画像を削除させていただきあした。