のんびりと雪景色の絵画を鑑賞するという余裕さえ与えてくれないようなお寒さ、今週は全国的に大寒波が襲来するようです。
私は寒がりなので、今日も用心をして厚着で家を出ましたが、店のなかに暖房をいれても少し寒い感じがいたします。
今週はこのお寒さですし、ご来客は少ないかなぁとは思っているのですが、それでもできましたら皆さまにはこの「12月の妓」という作品は一度ご覧いただけたらなぁと思っています。
福井の「舞妓」は有名なシリーズであり、この作品も画集に掲載されているとても良い作品なのですが、それにもましてこの額が大変立派で、今まで見たことのないレベルの装飾性に感激しました。お伺いしたところによると「手彫りの額」だそうなのですね。
画集にもこの円窓部分が載っていますので、作品誕生と共に古径さんで作られたと思います。でも、手彫りって。。当時の福井作品の人気度もよくわかり益々額にも見とれてしまいます。
福井の描く人物画は全て横向きです。

「正面とか七三の顔を描くと、表情が出過ぎるのです。静物でも風景でも表情が出過ぎると嫌なんですね」というのは福井の言葉です。
描く対象自体には表情を求めない。音とか、情緒とか、そういう心に響く要素を否定するわけではなく、より深く、或いは高尚なものにするために、それらを画布に鎮めてゆくような作業を福井は絵を描くという作業に重ねていたのかもしれません。
この舞妓の作品は〝12月の妓〟というタイトルです。お気づきでしょうか?髪飾りに「良之助」という小さな札が見えています。これは〝まねき〟というそうで、ふつうは12月の京都南座の顔見世興行で贔屓の役者さんにこの札に名前を入れていただく、サインしていただくという慣習があるそうなのですが、福井の洒落か?或いは本気か?つまり嫉妬か? 良之助とご自分の名前を入れていらっしゃるところが、すこーし気になるところではあります💦
12月のかんざしは、もち花、小判、招き猫、鯛、羽子板、サイコロなどおめでたい飾りが使われるようです。油彩画であっても十分に季節感を感じさせる作品ですね。
※「12月の妓」にはすでにお納めのお約束を戴いております。