先週土曜日は、午後3時ごろに店を閉めさせていただいて2人で茨城県の水戸に向かわせていただきました。
いただく仕事の都合や体調を見ながらの判断でしたので、前もってのお知らせができず、土曜日にご連絡をいただきましたお客様には
大変ご迷惑をお掛けし、申し訳ございませんでした。
水戸へは、茨城県近代美術館さんで開催されておりました速水御舟展を拝見するために伺いました。
展覧会最終日、雨の中を26日に滑り込ませていただきましたが、2人ともに伺ってよかったと今、思っています。
水戸へは品川で乗り換え、常磐線のスーパーひたちの利用が便利です。
常磐線は私の実家の側も通りますし、息子の小さい頃白鳥を見るために一緒に出かけた思い出もありますので
とても懐かしくこの列車に乗り込みました。
若い頃より、御舟の展覧会は何度も見てきたつもりですが、今回改めて御舟の多くの作品に接して、
2人ともに今までとは違った印象を受けた気がしています。
過去に見たことのない作品も多かったこと、また個人蔵の作品が多かったこともその理由に当たると思います。
展覧会の会場では、いつも私たちは別々に歩き、最後の出口で一緒になるようにしています。
が、今回久しぶりに、後から出口に近づいてきた佐橋に「あのガラスの器見た??」と言われ、私1人、慌ててもう一度その作品のところまで戻って鑑賞することがありました。
もうこの作品は何度も何度も見てきたはずなのに。。。
なるほど〜
杉山寧のよく描くガラスの器は高価そうだけれど、これは少しお安そうで〜そんな質感までよく表現されています。
ガラスの分厚さ、柄、何から何まで本当にびっくり致します。
大正10年前後の写実の時期の作品を見ていると、「あれ?劉生??」と思うようなことがよくありましたが、
御舟と劉生は、ある一時期本当に接点があったようです。それも初めて知りました。
今回お客様のご協力を得て出品させていただいたこの「向日葵」にも、多くの方たちが見入ってくださっていました。
御舟と劉生、その作品に対する熱情は同じほどであっても、やはり岸田劉生は絵が下手で、速水御舟は絵が上手だということも
あらためて実感いたしました。
さて、今回佐橋が最も評価したのは、大正13年ごろ、御舟が世俗を離れ、武蔵野の山村に移り住んだ際に、集中して描いた風景画でした。
特に下の「門」という作品の門の屋根の重厚感の表現に圧倒されたと聞いています。
「聞いています」というのは、私はこの作品を見たには見たのですが、しっかり鑑賞せず、素通りしてしまったからです😅
この武蔵野の山村に暮らした際、御舟は大変規則正しい修行僧のような生活を送り、長い時間を制作に集中したと解説にありました。
その密度が佐橋には感じられたのかもしれません。
私はやはり、最晩年。
古典、写実、洋行での体験、琳派への接近などを経て、御舟の作品が最も御舟らしさを極めた頃の作品に心惹かれました。
特に昭和4〜7年の作品は素晴らしいと思えました。
そして
やはり御舟といえば、「夜」
夜の梅も今まで何度か鑑賞してきましたが、この近代美術館さんの「夜梅」はピカイチでした。
ざっとですが、そしてもう展覧会は終わってしまったのですが、御舟展の感想をお伝えいたしました。
私たちは、ただまっすぐに水戸へ行き、一泊して展覧会を拝見して、そのまままっすぐ名古屋に戻りました。
佐橋はまだまだ長い距離を歩けず、エレベーターやタクシーを使っての旅になりましたが、やはり良い作品の並ぶ展覧会を鑑賞すると
おのずから元気が湧いてきていたようです。また私もこの数年、自宅と店の往復ばかりに時間を費やしておりましたので、良い気分転換になりました。鉄道の利用も私の気性にあっているようです。
水戸は、水の豊かな街、雨になってしまいましたが、桜がちょうど満開を迎え綺麗でした。
そして、ここに住んでいらっしゃる方々は皆さんとてもお優しく、気持ちの良い旅となりました。
茨城県近代美術館さんの常設展では小川芋銭の良い作品も並んでいましたので、いつかまた芋銭展などが開催されます折には
お邪魔したいと思います。
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