あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

熊野古道 伊勢路を歩く⑥<横垣峠~丸山千枚田~楊枝川>

2008-10-18 21:39:48 | 熊野古道を歩く
 昨日に続き、5年前の今日歩いた、熊野古道伊勢路の4日目の
レポートです。

 写真は、フイルムカメラで撮ったのをスキャナーに取り込み、退
色した色の修整もしましたが、デジカメ画像と比べると画質がいま
ひとつです。

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 2003年10月18日(土) 第4日
 横垣峠、風伝(ふうでん)峠、通り峠、丸山千枚田
 =慶長の遺産、丸山千枚田=



 毎日、朝は雲一つない快晴だったが、今朝は曇って遠望は利か
ず、期待した海からの日の出も見えなかった。

 7時半過ぎ、宿のマイクロバスで御浜町神木(こうのぎ)まで送って
もらう。横浜のOさん、千葉のWさんが加わり、21人で8時10分に
スタートした。今日もYさんに荷物を運搬してもらえる。

 道標に従いミカン畑の間を西に向かう。雲が低く今にも降り出しそ
うな雲行き。ミカン畑が終わりヒノキの林に入った。風がないので、
上り坂が続くと汗ばんでくる。


 高度が上がり、樹間から展望が開けてきた。霧の向こうに熊野灘
らしいのが見える。でもこの先、最終日まで海とはお別れか…。

 ポツポツ雨が落ちてきたが、木の下なので雨具を出すほどでは
ない。水場のある地蔵さんのところで休む。ヒノキ林を緩やかに上り
下りして横垣峠(305m)に着いた。自然石の新しい峠標石がある。

 峠の先は、ゆるいカーブの続く石畳を下って車道に出た。ここで、
車道組と車道を横切る古道組に分かれた。古道は林の中を緩やか
に下り、折山地蔵の先で坂本川沿いの棚田の横に出る。

 ススキやセイタカアワダチソウを見ながら田のあぜ道を進み、折山
神社前で車道組みと合流して休憩する。周辺には、かなり前に収
穫を終えた石積みの棚田が広がる。あぜのコスモスが見頃である。

 車道を進んで坂本の集落を抜ける。柿の実が色づき、まだ緑の
夏みかんも実る静かな里道だ。

 車道は、杉木立の間や風伝窯と記された窯元の横を過ぎ、国道
311号を横切って向地から大杉の集落を抜ける。大杉には、その
名のもととなった2本の大杉が、松のような枝振りで立っていた。


 尾呂志(おろし)川を渡って川瀬集落を過ぎると国道に合し、風伝
(ふうでん)トンネルの東側に出た。風伝峠へは、トンネルの南側
(下の写真左側)に残る車道を入る。


 薄暗い杉やヒノキの木立の下を進み、最後に少しだけ車道をショ
ートカットして山道を登ると、あっけなく茶屋のある風伝峠(257m)
に出た。

 風伝峠は、我々の進む本宮道と、吉野へ向かう北山道との分岐
点。風伝とは風顛(ふうてん)の当て字で、風の良く通る峠のこと。
峠の手前の尾呂志は、峠から吹き下ろす風伝颪(おろし)が転じた
もののようだ。

 峠からの下りも、車道組と古道組に分かれ、トンネル西側の国道
に向かったが、迂回する車道に比べ、山道を真っ直ぐ下った古道の
方が早かった。

 国道を500m足らずで北側の狭い車道に入り、通り峠へ向かう。


 棚田と点在する数戸の集落の間を進んで、集落最上部にあった
トイレのところで休憩する。

 集落から峠への上り口に標識が無かったので、別の道に少し入っ
て戻った。杉林の下、苔むした石垣の道などを進んで、ほどなく通り
峠(390m)に出る。

 右手に入り、木の手すりもあるかなりの急斜面をジグザグに進み、
展望台に上がった。眼下に、地形そのままに緩やかなカーブを描く
丸山千枚田が一望できる。

 丸山千枚田は、慶長6年(1601)にはすでに、7haの水田に
2200余枚を数えたとの記録があるという。近年、550枚まで減
少していたのを、条例を制定して保存会により1340枚まで復田
したとのこと。

 全国の棚田が、減反政策や耕作者の高齢化でどんどん減ってい
る中で、復田したのはうれしいことである。

 いまは刈り入れ後で、土の見える田んぼはやや色彩に乏しい。
田植え後の水の入った時期とか、刈り入れ前の黄金田の景観を、
再訪して見たいものだ。


 道沿いに一輪ずつ咲くリンドウの間を丸山集落に下る。



 千枚田最上部を少し西に回り、水車や休憩舎のある芝生の広
場で昼食とする。

 今日の弁当もNさんの、ふる里茶屋「おかげさんで」製。高菜の
めはり寿司、サンマ寿司、ミカン汁で炊いたいなり寿司が詰めて
あった。いずれも御浜町の産物を使った郷土料理。棚田を眺めな
がらおいしく味合う。甘いミカンもまたたくさんいただいた。

 千枚田の間を下り、大栗須集落を抜けて板屋川沿いの三差路
に出た。川の左岸に沿って進み、時計塔のある新しい木造校舎
の入鹿(いるか)中前を通過し、紀和町役場の先、鉱山資料館前
で休憩する。天気が回復して青空が広がってきた。


 すぐ先の三差路を南に入った板屋川の支流に、小さい魚がたく
さん見える。一族山(800m)の山ふところに向かう集落には、
サザンカが咲き、ムラサキシキブが実を一杯つけている。

 今日はまだ先が長い。一族山の山腹、標高250m付近をほぼ
等高線沿いに走る県道780号に入ると、自然に先頭のピッチが
上がり、前後が少しずつ離れてきた。

 ヒノキや杉林の下を西から南に回り込んで行くと、西側の展望
が開け、明倫小学校跡に出た。

 沿革の説明板を見ると、2棟の校舎やプールの表示もある。

 当時は、周辺に集落もあったのだろうか。現在その面影は全く
無く、桜の植えられた一帯は、夕陽の丘公園と呼ぶ自然公園にな
っている。


 更にハイピッチで進み、大規模鶏舎の並んだ三差路を左に入り、
最後は少しだけ舗装の途切れた山道を下って楊枝川(ようじがわ)
集落に出た。

 色づき始めた山波を見ながら、楊枝川に沿って右岸を一気に進
む。日が傾いて涼しさを感じはじめた頃、熊野川との合流点に出た。

 今回の最長距離を歩き、疲れもつのる。前方に見えた三和大橋
に向かって急いでいたら、橋の手前で迎えのマイクロバスが来て
くれた。


 三和大橋を渡って左折、赤木川左岸の熊野川温泉「さつき」旅館
に17時過ぎに着いた。

 平屋建ての比較的新しい旅館。温泉に浸かって疲れをとる。夕食
は和食のコース料理。、紀州鶏のすき焼きや熊野の海の魚などを
美味しくいただいた。

〈コースタイム〉神木8・10ー横垣峠8・50ー折山神社前(WC)9・21
~30ー風伝峠上り口10・10ー風伝峠10・30~35ー通り峠上り口
(WC)11・05~10ー通り峠11・30ー展望台11・39~47ー丸山千枚
田(昼食・WC)12・18~55ーオートキャンプ場三差路13・13ー鉱山
資料館前(WC)13・53~14・09ー明倫小学校跡14・50~55ー大型
鶏舎の分岐15・22ー楊枝川集落の車道15・49ー三和大橋北詰
16・43=熊野川温泉さつき17・05

(天気 曇後晴、距離 29㎞、地図 木本、瀞八丁、大里、本宮、
 歩行地 三重県御浜町、紀和町、和歌山県熊野川町)
コメント
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