愉しむ漢詩

漢詩をあるテーマ、例えば、”お酒”で切って読んでいく。又は作るのに挑戦する。”愉しむ漢詩”を目指します。

閑話休題-3 漢詩を読む 蘇東坡(3)

2015-04-17 18:28:48 | 健康
“峰”と“嶺”について。白川静博士の著書『字統』(平凡社、2004)に当たってみました。

同著書に拠ると “峰”の項では、[“夆”は木の秀つ枝(ほつえ、上枝)に心霊の降る形。鉾杉などの上に神が降るとされていたのであろう。そのような木のある山を“峰”という。]  “嶺”の字中にある[“領”はえりくび、またはかたそば]を意味し、“嶺”は、 [「山道なり」、「山の肩領・道路を通すべき者」]とある。さらに[山頂を“峰”・頂というに対して、連峰を“嶺”という]とある。なお、上の記載は、白川静著書の記載通りではなく、筆者の理解の程度に従って現代風に書き換えてあります。

蘇東坡の詩に戻って、第一句の“嶺”についての石川忠久師および宇野直人・江原正士 師の解釈、すなわち‘峠道’および‘連峰’は、読む人が主眼をどこに置くかによる違いであることが判りました。しかし筆者は廬山の絵姿を想像したとき、‘連峰’と解釈した方が‘形’がしっくりするように思います。

この字句の解釈問答は、ある意味、枝葉末節の類でしょうか。詩の作者が主張したかったことは、第三、四句にあるのでしょう。第三、四句の解釈の敷衍の行く先もまた読む人の心の在りようによって異なることは明らかでしょう。
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