愉しむ漢詩

漢詩をあるテーマ、例えば、”お酒”で切って読んでいく。又は作るのに挑戦する。”愉しむ漢詩”を目指します。

閑話休題 306  書籍-16  故郷-3  南島 真夏の夢

2022-12-15 10:05:17 | 漢詩を読む

   次韻蘇軾《夜泛西湖 五絶 其四》

      南島 盛夏の夜の夢        [下平声七陽韻]

深深天際太洋茫、

  深深(センセン)たり天際(テンサイ) 太洋 茫(ボウ)たり、

爍爍波浪海灘香。

  爍爍(シャクシャク)として波揺れて、海灘(カイタン)香(カン)ばし。

豈海潮無覚心跳、

  豈(アニ) 海潮(カイチョウ)に 心跳(シンチョウ)を覚えざらんか、

遺思佳麗映月光。

  思いを遺(ノコ)す佳麗(カレイ) 月光に映(エイ)ず。

 註] 〇深深:奥深いさま; 〇天際:空の果て、水平線; 〇茫:広々として果てしないさま; 〇爍爍:明るく照り輝くさま; 〇海灘:磯,波打ち際; 〇豈:どうして……か; 〇海潮:潮騒(シオサイ)、潮の満ちて来るときに、波の騒ぎ立つ音; 〇心跳:心のときめき; 〇遺思:思いを遺す、名残の尽きないこと; ○佳麗:美しい女性。 

<現代語訳>

 南島 真夏の夜の夢 

水平線は遥か奥深く 眼前には太平洋の大海原が果てしなく広がり、揺れる波 月光を反射してキラキラと輝き、海辺には香ばしい磯の香りが漂う。潮騒(シオサイ)の音を聞くにつけ、どうして胸のときめきを覚えないでおこうか、想いを遺す美しい人の影が月光に映えて佇んでいる。 

<簡体字表記> 

   南岛盛夏夜梦  

深深天际太洋茫、烁烁波浪海滩香。

岂海潮觉心跳、遗思佳丽映月光。

 

<記> 

太平洋に面して泛ぶ南の小島、入江の縁には真っ白な砂浜が広がる。沖に目を遣れば、洋洋たる大海の遥か遠く、空の碧と海の蒼が溶け合い、曖昧な水平線に戸惑いを覚えるほどに奥深い。渚に立てば、そよ風が磯の香りを運んできてくれます。

 

干潮時には入り江の干潟に千鳥の群れが餌を啄み、此処かしこでシオマネキ蟹が手を振り、潮を招いているようだ。潮が満ちると、渚が砂浜に大きく孤を描いて伸び、波が寄せては返している。やがて陽が沈み、月光が輝くと、一面ロマンの雰囲気に包まれる。 

コメント
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