OMOI-KOMI - 我流の作法 -

For Ordinary Business People

ナイフをひねれば (アンソニー・ホロヴィッツ)

2024-10-06 16:30:36 | 本と雑誌

 少し前に、アンソニー・ホロヴィッツ作品を初めて読みました。彼の代表作として評価の高いカササギ殺人事件ですが、正直、私にはあまり響きませんでした。
 とはいえ、ホロヴィッツはともかく当代の人気作家ですから、私ごときが一冊読んだだけでどうこう言うのはあまりに烏滸がましいということで、改めて手に取ってみたのがこの作品です。

 ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、確かに、こういった「犯人当て」にフォーカスし、その他の装飾を捨象したコンセプトのミステリーも面白いですね。

 起こった事件自体はありふれた姿形をしていますし、物語も、ひとつの事件が起こったあと、その後あれこれと奇を衒ったエピソードが発生するわけではありません。探偵役の主人公が、淡々と容疑者たちから証拠集めを行って、最後、アガサ・クリスティ原作の映画作品のように鮮やかに “謎解き” を披露するという極めてオーソドックスなスタイルです。

 ただ、その伏線の織り込みと回収が抜かりなく、さらにそれらの解釈が緻密で納得感十分であることは十分感得でしましたし、そのあたり、とても “丁寧なプロット” のもとに書かれた作品だという印象を受けました。

 なるほど、アンソニー・ホロヴィッツが実力派の人気作家であることは首肯できますね。 

 

 

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〔映画〕リバー、流れないでよ

2024-10-05 20:56:38 | 映画

 
 2023年に公開された日本映画です。
 
 知り合いのお薦めで観てみました。“2分間のタイムループ” という世界の中で、さまざまな登場人物の今の悩みと未来への希望を描いたコメディです。
 
 ストーリーに深みがあるわけではありませんが、ライトなタッチで観ていて心地よい気分になる作品ですね。
 細かなセリフ回しや掛け合いのテンポが秀逸で、シナリオの出来栄えとともに、それを活かす役者の方々の演技力が見事でした。

 

 

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〔映画〕合衆国最後の日

2024-10-04 19:31:48 | 映画

 

 1977年に公開されたアメリカ合衆国・西ドイツ合作映画です。

 設定はかなり乱暴ですが、この時期にこういったモチーフの作品を製作・公開できるというのは、ある意味素晴らしいことかもしれません。

 いつものアメリカ映画のように大統領はヒーローとして描かれていますが、ラストは予想どおり現実的で、このあたりもしっかりとメッセージ性を残していますね。

 

 

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〔映画〕映画刀剣乱舞-黎明-

2024-10-03 12:09:48 | 映画

 
 2023年に公開された日本映画です。
 
 もともとは人気ゲームだったモチーフを実写版映画に仕立て直した作品です。
 
 まあ、ゲームやコスプレに何の興味もない私が観るような映画ではありませんでした。
 もちろん、劇場で観て多いに楽しめるファンも大勢いるのでしょうから、私には合わなかったというだけのことです。

 

 

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〔映画〕しあわせの雨傘

2024-10-02 11:26:45 | 映画

 

 2010年に制作されたフランス映画です。

 分かって言っているわけではありませんが、いかにもといった感じの“フレンチ・テイスト”のストーリーであり演出です。

 カトリーヌ・ドヌーブが主人公を演じた“コメディ”ですが、観て感じた印象よりもずっと新しい作品なんですね。舞台となった時代感や発しているメッセージから、1970年代あたりのものかと思いました。

 

 

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〔映画〕パール・ハーバー

2024-10-01 12:56:42 | 映画

 

 2001年に公開されたアメリカ映画です。

 “パールハーバー”というインパクトのある地を舞台にした3時間を越える長編なのですが、内容的には“大作”というには程遠い作品でした。

 ともかく、主人公たちの関係性の描き方が極めて表層的なので、ご都合主義的なストーリーに感じられてしまいます。
 せっかくのケイト・ベッキンセイルが演じたヒロインも、これではどうにも共感は得られず、印象はがた落ちでしょう。

 

 

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新・地図のない旅 III (五木 寛之)

2024-09-30 15:53:26 | 本と雑誌

 

 いつも利用している図書館の新着本リストで目についたので手に取ってみました。

 五木寛之さんのエッセイを見つけると、いまだについ手が伸びてしまいます。「地図のない旅」というタイトルの本ははるか昔読んだ記憶があるのですが、長い年月を経ての “新” 版です。

 先日来読んだ「Ⅰ」「Ⅱ」に続いて、本書「Ⅲ」が “完結編” となるようですが、内容は特段 “完結” を意識したものではなく、前作、前々作と同様に五木さんの普段と変わらぬ筆致で綴られたエッセイそのものです。

 ということで、今までどおり、私の関心を惹いたところをひとつ覚えとして書き留めておきます。

 「虚像と実像のあいだに」との小文の中で心を止めたくだりです。
 モハメド・アリとのインタビューの際のエピソードは、五木さんの他のエッセイでも紹介されていますが、本書ではこんな内容でした。

(p135より引用) 若い頃、ボクシングのヘビー級チャンピオンだったモハメッド・アリと対談をしことがある。
 私が最初に彼に質問したのは、生まれてはじめての記憶は?というものだった。どうせ通りいっぺんの答えしか返ってこないだろうと予想していたのだが、そうでは なかった。・・・
 「うーん」
 と、額に手を当ててうつむくと、十分以上も無言で考え込んでしまったのである。しばらくして、彼は独りごとのようにポツリポツリと話しはじめた。・・・
 古い記憶の糸をまさぐるように、遠くをみつめて彼は話しだした。

 こういう姿から、フィルターを通さないその方のそのままの人柄を伺い知ることができるのですね。
 とても魅力に満ちた人物です。

 

 

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〔映画〕暴走特急

2024-09-29 13:37:37 | 映画

 
 1995年に公開されたアメリカ映画です。
 
 スティーヴン・セガールが制作・主演の “アクション作品” ですが、私は、いままでもほとんどスティーヴン・セガールの出演作を観ていません。何となく“あか抜けない” んですね。
 
 本作を観て改めて感じたのですが、他の人気シリーズでは、主人公を中心に “いつものチーム” が活躍したり、主人公以上に話題を振りまく “パートナー” が登場したりと楽しみの幅が広いのに対し、このシリーズの場合は、ともかく“セガールが唯一のスーパーヒーロー” というスタンスに尽きるので、好き嫌いがはっきりしてしまうように思います。
 
 作品自体も、ストーリーは平凡ですし、映像は、ところどころに迫力のあるシーンもあるのですが、これといった目新しさがありません。
 
 まあ、そうは言ってもせっかくですから、もう1作ぐらいトライしてみましょう。

 

 

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〔映画〕バッド・バディ! 私と彼の暗殺デート

2024-09-28 13:17:05 | 映画

 
 2015年に公開されたアメリカ映画です。
 
 強いていえば “アクション・コメディ” というのでしょうが、まあよくわからない映画でしたね。
 設定もストーリーも・・・。感想も言いようがありません。
 
 まあ、目についたものを手当たり次第観ていれば、こういった作品にもぶつかりますね。

 

 

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〔映画〕マグニフィセント・セブン

2024-09-27 09:31:26 | 映画

 
 2016年に公開されたアメリカ映画です。
 
 1960年の映画「荒野の七人」のリメイクとのことですが、今作り直すとこんな感じになるんですかね。
 
 さすがに1954年の「七人の侍」の時代ではないのですが、「荒野の七人」はリアルタイムではないにせよはるか昔に観たことがあって、とても印象深かっただけに、このリメイク版は正直言ってかなりがっかりです。
 
 「荒野の七人」では、ユル・ブリンナーの人集めの過程がひとつの面白みであり、集まったガンマンも、スティーブ・マックイーン、チャールズ・ブロンソン、ロバート・ヴォーン、ジェームズ・コバーンといった個性的な超大物でしたが、本作ではそのあたりも大きく見劣りしてしまいます。
 
 ストーリー展開も、住人たちとの関わりに深みがなく、観ていても心情的な思い入れには至りませんでした。

 

 

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〔映画〕スタートレックIV 故郷への長い道

2024-09-26 14:54:20 | 映画

 
 1986年に公開されたアメリカ映画です。
 
 「スタートレック」シリーズは新旧合わせてかなり見ていますが、この作品は抜けていました。
 
 しかしこの作品、シリーズの中でもかなり変わったテイストですね。
 舞台の大半は”宇宙“ではなく“20世紀のサンフランシスコ”ですし、“クジラ” がキーアイテムになった設定は唐突感max。

 正直な印象では理解不能なのですが、いつものエンタープライズ号のメンバーによる “SFコメディ” だと思えばそれはそれで楽しめます。

 

 

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〔映画〕ザ・クリミナル 合衆国の陰謀

2024-09-25 12:21:31 | 映画

 
 2008年に公開されたアメリカ映画です。
 
 こういった時の政権を揺るがすような “暴露報道”をモチーフにしたサスペンスタッチの作品はよくあるタイプですね。
 
 本作品も実際にあった事件に着想を得たものとのことですが、描かれた物語は、モデルのケースとはかなり異なる内容になっています。
 正直なところ、中盤のストーリー展開が冗長なのと、結末がぼやけてしまったので、作品の出来栄えは今一つといった印象でした。
 
 ジャーナリストとしての職業倫理と国家安全保障上の危機管理との法的な優劣が、合衆国法においてどう規定されているのか不勉強なのですが、もしこの映画のとおりであるなら、結局のところこういったラストの持って行き方はうまく進めた方なのでしょうね。

 

 

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古代エジプト動物誌 (酒井 傳六)

2024-09-24 13:15:34 | 本と雑誌

 

 いつも利用している図書館の新着本リストで、タイトルに惹かれて手に取ってみました。

 1984年に出版された「古代エジプト動物記」を改題したものとのことでちょっと古い本ですが、変わった切り口なので気になったものです。

 読み通しての感想ですが、私が勝手に思い描いていた内容とはかなりズレていました。
 もう少し対象の “動物” にフォーカスして、その生態や当時の人々との関わり方をもっと立体的に解説しているのかと思っていたのですが、実際は、王家や宗教等を柱にエジプト王朝の中でのそれぞれの動物の位置づけを多くの “ピラミッド・テキスト” からの引用を示しながら顕かにしようと試みた著作でした。

 もちろん、それでも数々の興味深いトピックは紹介されていました。それらの中から特に私の関心を惹いたところをひとつ書き留めておきましょう。

 対象は “馬” です。

(p282より引用) 馬の主たる用途は軍事用であって、おおむね二頭だてで曳かせる戦車は戦場の主役であった。その活動の姿は、王の記録だけでなく、貴族や軍人の記録に描かれた。ここで「記録」というのは、文字記録だけでなく、神殿、記念碑、墓室の画やレリーフの芸術表現も含むのであって、ここで描かれる馬の姿はまさに颯爽たるものであった。芸術家は躍動する馬を描くことに情熱を傾けた。こうして、馬は、新王国時代の芸術に革命的な活気を与えた。

 この芸術性の高まりが、第18王朝のツタンカーメン王の数々の遺品や第19王朝のラムセス2世の建造物のレリーフや絵画に残されたのでした。

 

 

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〔映画〕森の中のレストラン

2024-09-23 11:25:07 | 映画

 
 2022年に公開された日本映画です。
 
 落ち着いたトーンというか “地味” な作品ですが、扱っているモチーフ自体繊細なものなので、むべなるかなではあります。
 
 物語の構成も素直で訥々と進んでいくのですが、それだけに役者の方々の技量に加え、もっている人柄がそのままに伝わってくるように感じました。
 いい映画だと思います。

 

 

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〔映画〕雪の華

2024-09-22 10:22:22 | 映画

 
 2019年に公開された日本映画です。
 
 中島美嘉さんの代表曲である「雪の華」をモチーフにしたラブストーリーですが、まあ、予想どおり、これでもかという我田引水的設定のコテコテの作りですね。
 
 ただ、これはこれで正解だったように思います。いたずらに感動や涙を煽るような過度な演出もなく、素直に予定調和のエンディングにもっていったところなどは、中途半端かもしれませんが、私は嫌いではありません。
 
 中条あやみさんの台詞や演技もこういったテイストにはマッチしていましたね。
 
 あと、弦楽器で奏でるメロディをメインにした葉加瀬太郎さんの音楽。こちらもとても自然で効果的でした。

 

 

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