OMOI-KOMI - 我流の作法 -

For Ordinary Business People

哲学の問い (青山 拓央)

2024-12-14 11:28:34 | 本と雑誌

 いつも利用している図書館の新着本の棚で目につきました。

 “哲学” はキチンと学んだことがないので興味だけが先行し、今までも「入門書」的な本は何冊か読んだことがあるのですが、どれも容易くはね返されてしまっています。

 多分本書もそうなるだろと思いつつ読み始めたのですが、著者の青山拓央さんの優しい語り口にもかかわらず、やはりそこで解説されている内容にはまったくついていけませんでした。

 そういった消化不良の理解の中で、とはいえ、私の関心を惹いたところをひとつだけ書き留めておきましょう。
 本書の「おわりに」で青山さんが読者への期待を語っているところです。

(p221より引用) でも、本書にとって何より重要なのは、〈哲学をするとはどのようなことか〉を、本書を通して実際につかみ取る読者が現れることです。・・・
 速読力のある読者のなかには、本書の二四の文章を、二、三時間で読み終えてしまえる方もいるはずです。でも、一つひとつの文章で提示されている問いを本気で受け止め、読者が自分自身のなかで丁寧な問答を続けるなら、真の意味で本書を読み終わるまでに、二、三年かかってもおかしくありません。著者としては、そのような素晴らしい「遅読力」を持った読者がいることを期待していますし、また、私自身も、大学での授業で学生たちとの対話を経ながらこの本を何度も読み返していくつもりです。

 そうですね、ただ私自身についていえば、何度も読み返したとしても、書かれている1割ですら理解できないでしょう。

 本書は、哲学の入門書といっても、過去の有名な哲学者の主張や説、思索の過程や結果を噛み砕いて紹介しようとしたものではありません。哲学に関する “知識の付与” が目的ではなく、読者が “哲学が求める思考の方法・作法” を身に付けるための手引きを企図したものです。

 私の場合、そもそもの “考える訓練” に加え、「基本的な構文の理解力」や「哲学的思考に必要な基本概念の習得」も必要なので、本書を読み返すスタートラインに立つまでですら長い道のりになるのは間違いありませんね。

 

 

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〔映画〕シビル・ウォー アメリカ最後の日

2024-12-13 15:32:31 | 映画

 
 2024年に公開されたアメリカ・イギリス合作映画です。
 
 近現代のアメリカ内戦をモチーフにした“戦争”映画ですが、ロードムービー的なテイストも感じさせる作品です。
 
 公開時は大きな注目を集めたようですが、どうでしょう、主人公のひとりである若いカメラマンにどこまで共感できるかによって、観ての評価は大きく分かれるのではないかと思います。
 
 そういう点では、主人公たちの心情の掘り下げ方は少々中途半端でしたし、そもそもの内戦に至る背景もほとんど描かれていなかったので、共感するほどの作り込みが乏しかったという印象です。
 それがラストシーンのインパクトの弱さにもつながっていますね。
 
 

 

 

 

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〔映画〕家出レスラー

2024-12-12 08:40:39 | 映画

 
 2024年に公開された日本映画です。
 
 現役の女子プロレスラー岩谷麻優さんの自伝を原作に映像化した作品です。
 
 「映画」としては、 “素人によるコメディタッチ” のテイストで、今一つ波長が合わず、途中で何度も観るのを中断したのですが、結果的には何となく最後まで観てしまいました。
 何より “実話” というのが大きいですね。
 
 キャスティングも、竹中直人さんや石野真子さんといった大物をはじめとして有田哲平さんや古坂大魔王さんらちょっと捻った面々が登場していて、そのあたりのぎこちなさがかえって効果的だったように思います。

 

 

 

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〔映画〕ブラックライト

2024-12-11 12:07:32 | 映画

 
 2022年に公開されたアメリカ映画です。
 
 比較的最近のリーアム・ニーソン主演作品ということでちょっと不安は感じていたのですが、残念ながら予感は的中してしまいました。
 
 FBIが舞台なのですが、まずもって設定があまりに粗雑で荒唐無稽過ぎます。いくらなんでもFBI長官が護衛なしで動き回ったり、専用車のウィンドウが防弾仕様ではなかったりというのは如何なものでしょう。
 
 ストーリーも、これで終わり?といった尻切れトンボ感満載のラストで・・・。しばらくはショック?で立ち上がれませんね。

 

 

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〔映画・再〕ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

2024-12-10 08:34:22 | 映画

 
 2007年に公開されたアメリカ・イギリス合作映画です。
 
 「ハリー・ポッター」シリーズの第5作目で、以前一度観ています
 ただ、ところどころ記憶にはあるのですが、全体のストーリーは浮かびませんでした。そのときの覚えのメモをたどると、前回は単発作品として観たようで平凡な印象が記されています。
 
 今回、第一作から観始めてここまで至ったわけですが、本作はシリーズの中でもかなりメッセージ性高く作られているように感じました。ポッターの成長と仲間たちとの絆の強さがしっかり表現されています。
 
 主人公たちの年齢も上がってきて、そろそろファンタジー作品としては難しくなってきましたが、もう少し続編もトライしてみましょう。

 

 

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勇気ある言葉 (遠藤 周作)

2024-12-09 09:47:58 | 本と雑誌

 最近読むエッセイと言えば五木寛之さんの本に偏っているので、少しは別の作者のものをと思い、いつも利用している図書館の書架で見つけました。

 遠藤周作さんのエッセイは、どうやら15年ほど前「ボクは好奇心のかたまり」を読んで以来のようです。

 昭和49年(1974年)7月から昭和50年(1975年)12月にかけて毎日新聞に連載されたコラムを書籍化したもので、ひとつの諺や名言、格言をとり上げては、それを材料に遠藤さんが思うところを語った小文集です。
 さすがに “エッセイの名人” だけに、読んでいて硬く凝り固まった頭が程よくほぐれてきますね。

 半世紀前に書かれたものなので、時折、時代の隔たりから現在の人権意識では相応しくない主張(表現)がみられるのは避けがたいのですが、それでもユーモアに溢れる秀逸なエッセイばかり、それらの中から特に私の印象に残ったところをいくつか書き留めておきましょう。

 まずは、「おのれをツネって、人の痛さを知れ」とタイトルされたコラムから。

(p129より引用) いずれにしろ、近頃は人を裁くことで自分が正しいと思う正義の味方が日本にあまりに多くなった。あの自分が正しいと思う心理、人を裁ける心理には何ともいえぬギゼンの臭いがしてならない。自分はそんなに正しいのか。自分はそんなに立派なのか。

 遠藤さんは、TVのワイドショーでの “人民裁判” 的な企画コーナーを例に、こうコメントしているのですが、この手の態度は、新型コロナ禍期の自粛警察の活動や昨今のSNSでの匿名投稿でもみられていますね。

 コラムの掲載は1974年~75年、本書の第1刷は1978年なので、こういった “他人に対する非難や誹謗中傷” は、新型コロナ禍下の特殊な社会環境やネット社会の進展がもたらした故の風潮ではなく、少なくとも50年近く生き続けている “人の精神傾向” だったようです。

 もうひとつ、「学ぶに上下なし」と題された小文より。

(p162より引用) 少なくともこの日本で、それを望む青年が大学までは経済的な心配をそれほどせずに進学できる日はいつ来るのであろうか。それからあとは競争でよい。能力、努力によって差ができてよい。しかし青年たちが社会に出るスタート線だけは同一にしてやりたいと思うのは私の「夏の夜の夢」なのであろうか。

 こちらも、今でもなお遠藤さんの夢は実現されていません。むしろ、昔よりさらに“格差”が拡大しているようにすら感じます。

 

 

 

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〔映画〕フリークスアウト

2024-12-08 15:19:54 | 映画

 
 2021年に公開されたイタリア映画です。
 
 “ファンタジー” 系ではありますが、結構目を逸らすようなハードなシーンもありますし、ナチス時代が舞台なのでその思想的背景を前提とした演出も施されています。登場する主人公たちのキャラクターにもオリジナリティを感じました。
 
 単純なエンターテインメント作品ではなく、メッセージ性のある物語ですね。
 私の場合、アメリカ映画を目にすることが圧倒的に多いのですが、こういったテイストの作品にももっとトライしてみたいですね。

 

 

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〔映画〕ハリー・ポッターと炎のゴブレット

2024-12-07 19:03:58 | 映画

 
 2005年に公開されたアメリカ・イギリス合作映画です。
 
 「ハリー・ポッター」シリーズの第4作目ですが、ちょっと中休みという感じでした。
 
 舞台となったイベントにファンタジー性が感じられなかったこともあり、ストーリーも全編に渡って陰鬱な雰囲気に包まれていました。このテイストだと楽しめる年齢層も限られるでしょう。
 
 とはいえ、別の考えでは、第1作目から年月も経ているので、当初からのファンの成長に合わせた作品と言えるのかもしれません。

 

 

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〔映画〕CHASE/チェイス 猛追

2024-12-06 20:12:04 | 映画

 
 2022年に公開されたアメリカ映画です。
 
 ジェラルド・バトラーが主演兼製作とのことですが、何とも見応えのない出来栄えでした。
 
 犯罪の動機も短絡的ですし、犯罪が起こったあとのエピソードも無理筋であったり意味不明であったりと、ストーリーの体をなしていません。
 
 かといって、ジェラルド・バトラーのキャラクタを活かしたような“骨太”のアクションシーンが見られることもなく、“残念な作品”と言うしかありませんね。

 

 

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〔映画〕線は、僕を描く

2024-12-05 10:05:20 | 映画

 
 2022年に公開された日本映画です。
 
 “水墨画”の世界をモチーフにした小説が原作とのこと。軽めの“青春映画”ですが、主人公のキャラクタ設定に厚みがなく、併せて、演出や台詞まわしも平凡だったので、今一つピンとこない出来栄えでした。
 
 以前から成長を期待している清原果耶さんですが、今回も作品には恵まれなかったようです。何とも残念ですね。

 

 

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津軽殺人事件 (内田 康夫)

2024-12-04 09:02:29 | 本と雑誌

 かなり以前に読んでいた内田康夫さん “浅見光彦シリーズ” ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。

 ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら “シリーズ全作品制覇” にトライしてみようと思い始ました。

 この作品は「第26作目」です。今回の舞台は “津軽(青森県)”
 津軽地方は、仕事関係で訪れたことはありませんが、学生時代の旅行で、下北から弘前、津軽半島あたりを巡ったことがあります。

 ミステリー小説ですからネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、 “浅見光彦シリーズ” にしてはほんの少し変わったテイストの作品でした。

 終盤に至るまでかなりスローテンポで、津軽地方という比較的狭いエリアでの細かなエピソードに終始していて、ミステリー小説としては今一つ欲求不満を感じました。
 ラスト近くで急転直下解決に向かうというのは、このシリーズでは時折ある流れですが、ラストシーンはちょっとトーンが違いましたね。珍しい “余韻” でした。

 さて、取り掛かってみている “浅見光彦シリーズ制覇チャレンジ”、それほど強い意志をもって完遂しようとも思っていませんので、まあ、“どこまで続くことやら”です。

 次は、27作目の「江田島殺人事件」ですが、すでに読んだことがあるので、28作目の「隠岐伝説殺人事件」ですね。

 

 

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〔映画〕ファイナル・プラン

2024-12-03 09:54:25 | 映画

 
 2020年に公開されたアメリカ映画です。
 
 かなり荒唐無稽な設定なので、大作とは言えませんし、決して大喝采を浴びるような話題作でもないでしょう。
 
 リーアム・ニーソンが主演の作品は、このところこういった中途半端な“B+級”作品が多いですね。彼に似合った木訥なキャラクタには好感が持てます。
 
 決して専門家の評価は高くないのですが、軽く楽しめるエンターテインメント作品としては、それほど悪くはないように思います。本作品もそういった類いのひとつですね。

 

 

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〔映画〕ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

2024-12-02 09:09:54 | 映画

 
 2004年に公開されたアメリカ・イギリス合作映画です。
 
 “ハリー・ポッターシリーズ”の第3作目、定番のシリーズだけあってさすがに安定・無難な出来栄えですね。
 
 シリーズものの場合、3作目ぐらいになると“マンネリ化”の弊害がみられるのが通常ですが、本作の場合はまったくその兆しは感じられません。不要な装飾的なエピソードは省かれて、かえって物語の展開がシャープになったように思います。
 
 いましばらくは、彼らの成長をフォローし続けそうです。

 

 

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〔映画〕エージェント・トリガー

2024-12-01 14:22:43 | 映画

 
 2021年に公開されたカナダ映画です。
 
 引退している凄腕エージェントが主人公というのはよくある設定ですね。観始めて淡々とシーンは進んでいくのですが、ラストも尻切れトンボで物語の筋は全く分かりませんでした。
 この感じでは、もう一回 観直してもストーリーは理解できそうにありません。
 
 “B級”という感じでもなく、結構しっかりした作りに見えるだけに、何とも消化不良の“もったいない”作品でしたね。

 

 

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〔映画〕孤狼の血

2024-11-30 09:21:52 | 映画

 
 2018年に公開された日本映画です。
 
 こういった特殊な世界をストレートに舞台にした作品は最近あまりお目にかかりません。“東映” ならではというところですね。
 
 キャスティングも、以前であればこういった作品の常連の役者さんがズラッと並ぶのでしょうが、本作の場合はいわゆる“芸達者” の面々を揃えたという感じでしょう。
 
 役所広司さんは、こういったトーンのキャラクタでも存在感抜群ですが、松坂桃李さんの熱演もよかったですね。あと、中村倫也さんの “狂気”がかった演技も印象的でした。
 
 続編もあるようなので、また機会をみてトライしてみたいと思います。

 

 

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