神田昌典氏関連の本は、以前、氏が翻訳した「ザ・マインドマップ」を読んだことがあります。
翻訳に限らず多くの著作を世に出しているようですが、神田氏自身の著作を読むのは、本書が始めてです。
本書では、神田氏のコンサルタントとしての経験から得た独自の「思考方法」が紹介されているのですが、その中で私の関心を惹いたのは以下の二点でした。
ひとつめは、氏が提唱する「全脳思考モデル」の第一歩としての「発想」のヒントです。
(p211より引用) 全脳思考モデルでは、顧客のHAPPYな状態をイメージすることから思考を始める。・・・仮説構築を進めるうえで、特定人物を切り口とした思考は単純だが、非常に強力な方法論なのである。
従来の延長線上からの発想を避けるための具体的な方法として、「特定人物の将来のHAPPYな状態」をスタートにするのは面白い着手法だと思います。
あと、もうひとつは「TEFCAS」というコンセプトです。
TEFCASとは、マインドマップで有名なトニー・ブザン氏が提唱している「目標を実現するためのプロセス管理サイクル」で、それぞれの頭文字の意味は、「Trials」「Events」「Feedback」「Check」「Adjust」「Success」とのこと。
(p265より引用) PDCAは生産工程における品質管理システムとして開発されたこともあり、トップが立てた計画を、ラインで高精度に実行していくことが価値を生む工業社会では、非常に有効であった。・・・
知識社会では、想定しえない出来事に対して、社員一人ひとりが機転の利く対応を行い、その経験を自らのスキルアップに繋げていかなければならない。そうした能力を身につけるうえで、TEFCASは非常に強力なツールだ。
PDCAは「Plan(計画)」が出発点です。
他方、TEFCASは「Trials」、すなわち、仮説を試してみることから始まります。まずは、「やってみる」ことを重視します。
将来が不確定な時代には、精緻な計画を立てることは極めて困難ですし、また、計画通りに物事が進むことも稀です。
仮説検証のサイクルを細かく早く回しながら、つねに変化する外部条件にAdjustしながら進めていくことが「Success」(成功)への道となるという考え方です。
![]() |
全脳思考 価格:¥ 2,100(税込) 発売日:2009-06-12 |
↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
TREviewブログランキング