R+(レビュープラス)から献本としてお送りいただいたので早速読んでみました。大前研一氏の最新刊です。
大前氏の著作は、いまから30年ほど前の「企業参謀」以来そこそこ読んでいます。大の大前ファンというわけではありませんが、大前氏が示す俯瞰的な視点は大いに刺激的ですし、適否はともかく少なからず参考になりますね。
さて、本書で取り上げられているのは「ホームレス・マネー」。
(p54より引用) ホームレス・マネーとは、投資先を探して世界をさまよっている、不要不急で無責任きわまりないお金のことだ。
ホームレス・マネーは「過剰流動性」の一形態といえますが、この現出の原因について大前氏は「世界的に高齢化とモノあまりが進み、需要が低調でお金がモノに転換されなくなった」ためだと捉えています。
現在約4,000兆円にのぼると考えられているホームレス・マネーですが、その出所は大きく3つあります。
(p55より引用) 一つ目は、ノルウェー、スウェーデン、カナダ、オーストラリア、アメリカ、ドイツ、イギリスといった古くからOECD(経済協力開発機構)に加盟している国々の余剰資金。・・・
二つ目は、原油価格の高騰で中東産油国に積み上げられた多額のドル。これはオイル・マネーと呼ばれ、高い利回りを求めて海外の金融市場を跋扈している。・・・
三つ目が、中国マネー。市場開放後、中国は貿易でお金を集め、外貨準備高はいまや2兆7000億ドルに迫ろうとしている。・・・
これらのホームレス・マネーは、わずかな人数のファンドマネジャーによる機械的な運用(マネー・ゲーム)により動かされています。そこには、サヤ抜きによる利益獲得という目的しかありません。
とはいえ、こういう投機的なファンドばかりではないようです。先進国の年金ファンドに代表される比較的長期志向の過剰流動性は、運用先として新興国インデックスファンドに注目しています。
(p86より引用) インデックスにお金が流れ込めば、そのお金はODAのように相手政府の手を経由せず、直接、企業の資金になる。おそらくこれは、民から民へと国境を跨ぐ、人類がはじめて経験するカネの動きだ。
そのような資金によって新興国の企業が栄えれば、雇用が生まれ、働き口がないために外国で就業していた経営能力のあるエリートが戻ってくる。そうすれば、さらに企業業績は伸びる。そういう好調な国の通貨は強くなり、通貨が強くなれば、株式市場の上昇と合わせて二重の効果をもたらす-この歯車がうまくかみ合っていることこそ、新興国が繁栄している最大の効果であり、21世紀経済の一大特徴といえる。
こういった視点からの投資は、長期的な国際経済の発展や安定に寄与するという意味で、非常に重要かつ有意義なものだと思います。
さて、本書での大前氏の指摘は、まさにタイトルのとおりです。
(p94より引用) 21世紀になって世界のカネの流れが変わった。その最大の理由は、(高齢化する)先進国や(高騰する石油で)OPECに過剰な資金がたまる一方で、自国では富を生み出さないどころか、目先の景気対策と称してゼロ金利や低金利にしてしまっているからである。住むのは安全・安心な先進国、資金の運用は発展著しい新興国、という流れがこの五年間くらいのあいだに定着してきたのである。
「21世紀の金の流れ」は、自然発生的なものではありません。主たる要因は、いわゆる先進国における財政・金融政策の誤りから生じたものだというのが、大前氏の主張です。
さらに、大前氏は本書の後半で、この巨額な過剰流動性を活用した自国の税収に頼らない経済発展策を提示しています。
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