かなり以前に読んだ内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。
今回は “名古屋”と“仙台”です。仙台には先々月、名古屋には先月、久しぶりに出張で訪れました。1つの作品で二か所をカバーです。
ネタバレになるとまずいので、内容には触れませんが、この作品では私が実際に訪れたところは登場していません。強いていえば、時間があったので足を延ばしてみた「松島」あたりでしょうか。
さて、本作品は、浅見光彦シリーズでは珍しい “暗号” 解読がひとつの柱になっています。
ただ、面白いトライだと思いますが、正直ちょっとプアでしたね。暗号と言うにはあまりにも解読にあたって無視したもの(文字)が多すぎますし、ヒントもかなり無理筋です。さらには、なぜそれを暗号にして残していたのかという点についても納得感がありません。
文庫本で400ページ程度の長編ですから、もう少しいろいろなエピソードや伏線を盛り込むことができたのではと思いますが、ボリュームの割にはミステリー本体の密度が希薄ですね。
こうやって久しぶりに何作か読んでみると、最初に浅見光彦に出会ったころの新鮮で強烈なインパクトが蘇ってこないのが残念です。