かなり以前に読んでいた内田康夫さんの “浅見光彦シリーズ” ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。
ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら “シリーズ全作品制覇” にトライしてみようと思い始めました。
この作品は「第37作目」です。今回の舞台は “神戸”。
神戸には、小学校のときの六甲山での林間学校をはじめとして、もちろんプライベートでも何度か訪れています。
ただ、“神戸” の記憶で極め付きはかなり以前の会社時代のものです。神戸を仕事で訪れたのは、1994年12月、阪神・淡路大震災の1ヵ月前でした。震災時は、訪問先のビルがあった長田地区の被害は甚大で、センターに勤務されていた方々、ご家族の多くが被災されました。
あれから30年、震災当日の朝、会社に出て目にした「ほの暗い街並みのあちらこちらで炎があがっているテレビ映像」は今でもしっかりと覚えています。
さて、本書に戻りましょう。ミステリー小説ですからネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、この作品、シリーズの中でも稀なほど粗雑な設定だったように思います。ここで粗雑というのは、事件の背景、特に犯人の動機が稚拙だとの意味です。さらには “謎解き” に登場した反則技の小道具も、推理の楽しみに逆行していて光彦らしくありませんでした。残念でしたね。
あと、ついでにもう一言。本作を読んでともかく印象に残ったのは、浅見光彦が事件の関係者と会って俄然興味を持った際の “言葉” でした。相手の苦しみを踏みにじるようなとても「傲慢」な宣言には大いに驚きました。これにはガッカリです。こちらの方が効いたかもしれません。
さて、取り掛かってみている “浅見光彦シリーズ制覇チャレンジ”、それほど強い意志をもって完遂しようとも思っていませんので、まあ、“どこまで続くことやら” です。
次は、38作目の「琵琶湖周航殺人歌」ですね。