ドラッカー氏によるマネジャーの定義は「組織の成果に責任を持つ者」です。そして、ドラッカー氏は「マネジャーの役割」を以下のように説明しています。
(p128より引用) マネジャーには、二つの役割がある。
①第一の役割は、部分の和よりも大きな全体、すなわち投入した資源の総和よりも大きなものを生み出す生産体を創造することである。・・・
マネジャーはマネジメントの一員として、事業のマネジメント、人と仕事のマネジメント、社会的責任の遂行という三つの役割も果たさなければならない。・・・あらゆる決定と行動は、三つの役割すべてにとって適切でなければならない。・・・
②第二の役割は、そのあらゆる決定と行動において、ただちに必要とされているものと遠い将来に必要とされるものとを調和させていくことである。・・・
今日のために明日犠牲になるものについて、あるいは明日のために今日犠牲になるものについて計算する必要がある。それらの犠牲を最小にとどめなければならない。
さらに続けて、その役割を踏まえたマネジャーが取り組むべき具体的な仕事も明示しています。
(p129より引用) あらゆるマネジャーに共通の仕事は五つである。①目標を設定する。②組織する。③動機づけとコミュニケーションを図る。④評価測定する。⑤人材を開発する。
そしてこれらの役割を果たすべきマネジャーに必要な資質は「真摯さ」だと断言しています。
(p148より引用) いかに知識があり、聡明であって上手に仕事をこなしても、真摯さに欠けていては組織を破壊する。組織にとってもっとも重要な資源である人間を破壊する。組織の精神を損ない、業績を低下させる。
このあたりの指摘は、いかにもドラッカー氏らしい語り口ですね。
さてもうひとつ、「組織の精神」の章でのドラッカー氏の指摘の重要です。まず、組織の目的としてこう切り出します。
(p145より引用) 組織の目的は、凡人をして非凡なことを行わせることにある。
凡人からなる組織は「事なかれ主義の誘惑」にさらされます。この点についてのドラッカー氏のアドバイスです。
(p145より引用) 成果とは百発百中のことではない。・・・成果とは長期のものである。すなわち、まちがいや失敗をしない者を信用してはならないということである。それは、見せかけか、無難なこと、下らないことにしか手をつけない者である。成果とは打率である。弱みがないことを評価してはならない。・・・人は、優れているほど多くのまちがいをおかす。優れているほど新しいことを試みる。
この点はドラッカー氏に限らず、多くの先達によって指摘されているところです。が、これほど言われ続けているということは、現実はなかなかこのとおりになっていないという証左でしょう。私も折にふれて心しなくてはなりません。
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