いつも行っている図書館の新着書の棚を眺めていて「三国志」というタイトルが目に留まりました。
本書の著者は宮城谷昌光さん。彼の小説は、かなり昔少し読んだことがありますが、やはり古代中国を舞台にした物語だったように記憶しています。
本書は、その小説家の宮城さんによる「三国志」の入門書です。
「三国志」の時代は、多くの歴史小説のモチーフにもなったエピソードや人物が目白押しですから予想どおり興味を惹いたところは数多ありました。曹操や周瑜も気になりましたが、やはり、「三国志」といえば諸葛亮(孔明)は外せません。
本書でもその人物像についてはいろいろと言及されていて、以下の記述は、その中でも代表的なものです。
諸葛亮の最期、五丈原の戦いの軍中にて病死した折に語られた彼の“人となり”を表すくだりです。
(p258より引用) 諸葛亮の謀臣である楊儀が、その死を秘匿し、軍を引き揚げさせました。
訃報に接した劉禅は大いに嘆き、詔をくだして、諸葛亮の功績をたたえました。
「思うに君は文武の才能を体現し、明達であり、忠誠心が篤かった。先帝から託された孤児を受け、わが躬を匡し、補佐してくれた。絶えた家を継ぎ、衰えた国を興してくれた。君の志は、乱を鎮めることにあった(後略)」
諸葛亮は国の全権をにぎっていながら、いささかも驕らず、まったく邪心をみせませんでした。こういう宰相は中国史上で稀有といってよいでしょう。三国志の世界は権謀術数の世界であるといいかえてよく、そのなかにあって諸葛亮の存在は、特に清らかですがすがしいものです。それを後世につたえてくれる歴史とは、ありがたいものではありませんか。
さて、本書を読んでの感想です。
私の場合、「三国志」は、一連のストーリーとして楽しむ方がよさそうですね。人物やエピソードが細切れにされて解説されても、“流れの中の位置づけ”をそのたびごとに頭の中で再整理しなくてはなりませんし、記述の方も必要以上の重複が生じてしまいます。本書でも、そのための冗長さがちょっと気になりました。
「三国志」関連では、かなり以前に、安野光雅さんと半藤一利さんとの談話で構成された「三国志談義」という本を読んだことはありましたが、「三国志」や「三国志演義」はまだ手付かずです。
いずれも大著なのでかなり躊躇するところがありますが、いつか機会を作って、まずは「三国志演義」あたりから挑戦してみましょう。
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