たい焼きを探しに、兵庫県を訪れました。兵庫県といえば、神戸や姫路・明石など、瀬戸内海に面した場所が有名ですが、日本海側に面した場所もあります。つまり兵庫県は中国山地の北から南に縦に広がる自然多き県です。その真ん中あたりに丹波市がありますが、丹波といったら「丹波の黒豆」が有名で、これは僕も知ってました。今回その丹波地方にあるたい焼き屋さんをご紹介します。
丹波地方といいましたが、そのお店は丹波市のお隣の篠山市にあります。 JR 大阪駅から福知山線の快速電車に乗り、1時間くらいで篠山口駅に到着します。大都会の大阪駅から来て篠山口駅で降りると、そこは山に囲まれたのどかさを感じさせてくれる静かな町です。降りたのはいいけれど、本当にここにたい焼き屋さんがあるのか心配になりました。篠山口駅から歩いて10分弱の場所にミニストップ発見。ガソリンスタンドのある国道176号線の大きな交差点のすぐ側です。でお目当てのたい焼き屋さんはどこかなとミニストップの横を見ると、駐車場が広い一軒のお店が目に入りました。ここで間違いは無いはずですが、どうも様子がおかしい?その建物から少し突起して設けられたお店が見えました。でもなんだか営業していない様子です。事前調べでは、定休日は火曜日で今日は木曜日。営業時間も午前11時からなのに、既にその時間は過ぎている?たい焼き店らしい幟も無く、なんだか営業しているようには見えません?あーこれは情報の行き違いで、もしかして閉店してしまったのか?仕方ないと思いつつ、折角来たので隣にある食農王国を覗いてみることにしました。近づくにつれ、丸八たい焼き堂の看板を掲げれお店は、開店準備すらしていない様子。やはり無念の退散ですかね・・・・。と諦めかけた瞬間、食農王国の入り口のガラス扉に、「たい焼き・・・]と書かれた張り紙が見えたのです。これはいったいどういうことなんでしょう?
食農王国の店内に入ると、そこにはたい焼きのメニューが書かれてあり、ちゃんと連式のたい焼き機が置かれてありました。お店の事情により、このような店作りになったのでしょう?先程よぎった不安も過ぎ去り、今はどのたい焼きを食べるか考え中。定番の小倉あん(100円)・カスタードクリーム(120円)をはじめ、やはり地元名産の丹波黒豆あん(150円)もあり、期間限定として小倉カスタード(120円)もありました。この中から僕は・・・、定番の小倉あんと行きたいところですが、折角丹波地方に来ているのだから、丹波の黒豆を使ったたい焼きを買うことにしました。
お店にはちょっと歳のいった小柄な年配の女性。関西弁のような強烈さは無く、京都弁のようなおっとりとした言い回し。関東人の僕から見ても、違和感のないやさしい話口調で、なんだか田舎のおばあちゃんに会ったような印象を受けました。早速丹波黒豆あんのたい焼きを注文し、焼き上がるまで5分程待ちました。狭い店内の一角に、食農王国コーナーとして地元産のお肉の加工品が陳列してありました。と何やら店内に響く、コトッ!という金属音?その時はそんなに気になりませんでしたが、まもなくしてその音の原因が判明。もうそろそろ焼き上がる頃と思い、連式の焼き機の方に目をやると、今までたい焼き屋で見たことの無い光景が目に入りました。なんと重なり合った二枚の焼き型の上に、両端に鉄の塊が付いた鉄アレーが・・・の・って・いる!ではないですか?ホンとアレーだよね!多分あの大きさは1kg?いや2kg?の鉄アレーと思いますが、いやー初めてとはいえ驚きましたね。小柄のおばあさんが、たい焼きの焼き具合を確認する為、上に乗っていた鉄アレーをどかして横の隙間をチェック。もう少し焼く為、もう一度鉄アレーをコトッと置く。こだわりのたい焼きを作る為、試行錯誤の末、このような方法を思いついたのでしょうね。そうこうしている内に、僕のたい焼きが出来たようです。
「お待たせしてすみません」の意味の方言交じりのやさしい言い回しと、焼きたて丹波黒豆あんたい焼きをいただき、丸八たい焼き堂&食農王国を後にしました。早速出来立てのたい焼きを食べようと試みましたが、さすがにこの熱々の状態は無理。これがなかなか冷めない。確かにあれだけプレスして焼いていたのだから、そう簡単にはたい焼きも食べさせてくれない。まるで「食べれるものなら食べてミー」って言っている感じ。僕も冷めるまでただ眺めているのもシャクなので、本来頭から食べるところを、今回は尻尾から食べました。小さい尻尾はやはり熱いが、何とか一口食べる事が出来ました。サクッとして皮とあんこ。はじめの印象は、まあ普通かな?息を吹くかけながら、ゆっくり食べ進む。連式ですが、この薄皮はしっかりしていて弾力がある。やはり鉄アレーを乗せる事で皮に圧力をかけ、プレスして熱を外に逃がさない為、短時間でこれだけしっかり焼けるんですね。だからいつまで経っても熱々なのでしょう。薄皮のお腹の中には、丹波黒豆あんがたっぷり詰まってます。黒豆の皮も残しつつじっくり煮込まれたあんこは、なめらかな甘さとホクっとした黒豆の風味が感じられる美味しさ。丹波の黒豆だからいいのか、熱々だからいいのかわかりませんが、この美味しさはやっぱり鉄アレーかな?
神戸などは今後訪れることは有っても、ここ丹波地方はいつ来れるかわかりません。でもここ丸八たい焼き堂のたい焼きはもう一度食べて見たい一品です。
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