雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

風の行方(9)  宮城県被災地を訪ねて(9)

2012-06-14 22:17:11 | つれづれ日記

女川町・被災の爪跡

 こんなことが本当に起こるのか

 前回の石巻市の広大な津波被災地を後に女川町までは、遠くはない。

 朝4時に自宅を車で出発し、被災地を廻り、松島の観光地を除けば、

食事を摂るような場所もほとんどなく、想像を絶する被災の光景に息をのみ、

食事を摂ろうとする気分にもなれなかった。朝食代わりに持参したおにぎりをほおばりながら、

国道45号線・通称「石巻街道」を海沿いに走り北へ向かう。

東松島から石巻を過ぎると国道398号線に入る。まもなく石巻市と隣接する女川町に。

 女川湾・女川漁港に立つ。

 何もない。 全て津波にさらわれた。

 瓦礫が撤去され、残骸の小さくくだけたコンクリート片が残った場所には、

 ウミネコの群れが餌を求めて、公園の鳩のように群がっている。

 かつてこの辺には石巻線・終着駅の女川駅(東北の駅100選に選定)や、併設の足湯や

隣接する「女川温泉ゆぽっぽ」、交番、マリンパル女川(物産館等地域複合施設)、銀行等があったはずだが、

基礎コンクリートが残るのみで何もない。

 

 女川町は、終点の女川駅から海に向かって発展した町である。

津波の高さは20mにも達し、背後に迫る山間の集落にまで侵入し全壊の被害となった。

 女川港周辺にある3,4階建ての建物のうち、商工会館と消防署、マリンパル女川を町は、

津波の際の避難ビルに指定していた。

しかし、今回屋上まで水没しなかったのはマリンパル女川のみだった。

そのマリンパル女川さえ、津波で壊滅的な打撃を被り、解体撤去された。

津波は鉄筋の建物をなぎ倒すほどの破壊力で、

町を壊し、高台にまで押し寄せた。

 町立病院は、中心市街地を俯瞰(ふかん)し、

女川港を見下ろす海抜16mの高台に建っている。

多くの町民がこの高台を目指して避難してきた。

しかし、濁流はこの高台を駆け上り、

駐車場に避難した車をやすやすと呑み込み、

一階の建物にまで浸水していった。

                         (つづく)

 

 

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