雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

映画「人生の約束」

2016-01-31 09:45:38 | 映画

映画「人生の約束」

人生っていいなぁ

 映画キャッチコピー : 友が死んだ。仕事だけに生きてきた私は、友が病に冒されていたことさえ知らなかった。……友の故郷には、町の人々が望み続ける思いがあった。それは、友の最期の想いでもあった。亡き友と交わした約束をここで果たそう。 心がつながる、この場所で……

  全編淚なみだの映画でした。

 「人が人と心から分かりあえる」とはこう言うことか。

安易に「絆」なんて言葉を使わない方がいいな。

付き合いも浅い人に「絆で結ばれている」なんて言葉を使って欲しくない。

東日本災害後、やたらに「絆」を連発されるのは迷惑ではないか。

 

 最近泣かされる映画を何本か見た。「お母さんの木」、「母と暮らせば」の映画の時も泣いた。

二本の映画は戦後70年を意識して作られた映画であり、

どちらかと言えば第三者的な立ち位置で見ている自分を意識できた。

 「人生の約束」の中では「絆」という言葉は登場しない。

強いて言えば、「人と人がつながる」とはこういう事なのだと、表現しているように感じた。

 

使い古されて陳腐な安っぽい意味になってしまった「絆」を超えるものとして「つながり」という概念を使っている。

 

 人と人がつながり、自然とつながり、コミュニティーの中でより強いつながりが結ばれた時、

生きる意味が見いだされたとき「人生の意味」が見えてくる。

家族を思い、町の人を思い、優しさの連鎖反応の中で、「つながり」が深まり、生きる意味が見えてくる。

 

  雄大な立山連峰を望む富山湾の新湊曳山祭りを舞台に、地方色豊かな人間模様が描かれていく。

 

 他人を蹴散らし、弱い者は押しつぶし、

逆らうものは排除しながら企業拡大に絶対の自信をもって邁進する社長の祐馬に

「立ち止まらなければ見えない景色がある」と親友・航平は諫める。

方針の違いは二人を別の道を歩かせる結果になる。

 

 曳山祭りの責任者でもある町内会長の

「人生において、失ってから気付く大切なものが沢山ある」など、

吟蓄に飛んだ言葉があり、曳山祭りの当日に向けて物語は感動の頂点を迎える。

 物語の核を成す人物たちの相関関係があいまいな部分を、

しっかりと観客に理解できるように描いていれば、満点に近い評価をしてもよいと思っている。

 評価 ☆☆☆☆(4/5) 85点                      (2016.1.31記)

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読書案内「荒野に追われた人々」

2016-01-23 10:30:00 | 読書案内

読書案内「荒野に追われた人々」戦時下日系米人家族の記録

 1941年12月8日、日本の真珠湾攻撃に始まる、太平洋戦争勃発。

 当時、日系米人(日本からの移民・アメリカ国籍を持つ)にに向けられた憎悪の感情は、

想像しがたいものがあった。最初に抑留されたのは日系人のまとめ役ともいえる、リーダーだった。

何の前触れもなく突然の連行である。

顔写真を撮られ、「銃を手にしたら誰に向かって引き金を引くのか、アメリカ人か、日本人か?」。

忠誠心を疑うような質問に日系人たちは、ほとんどの人たちが「空に向かって撃つ」と、苦しい立場で答えた。

 また親しい白人の友人に、「真珠湾の攻撃があることは、前もって分かっていたの?」という質問を浴びせられ、

唖然とし私たちは傷ついたと、当時の状況を述べている。

  リーダーの抑留に続いて、一般日系人の強制抑留が開始される。この本は太平洋戦争の中で日系米人がどのように扱われたかを記録した、戦争裏面史である。

   最初の収容所は競馬場だった。

監視塔がいくつも立っている有刺鉄線をめぐらした丈の高い柵が辺り一帯を取り囲んでいた。

タンフォラン仮収容所は厩舎が住まいだった。

馬の匂いが漂い、隙間風が吹き込み、

軍隊用簡易ベッドの他には何もないような住まいが、強制送還された日系米人にあてがわれた場所だった。

この収容所に五千人が収容され、彼らは、苦労を重ねて一世が築いた財産をすべて失う羽目になった。

 やがて、彼らは子どもたちのために、保育所を作り、学校を作り洗濯屋や床屋の店を開き、収容所で不自由な暮らしを強いられても決して希望を失わなかった。

 

 しかし、次に移送された収容所は砂漠の中の八千人を収容する施設で、

人間が住めるような住宅環境ではなく、砂埃が舞い、

夜は寒く暖房設備のない部屋で、満足な寝具もなく、氷点下の下で震えて眠る日々だった。

 

 市民としてのあらゆる権利をはく奪され、有刺鉄線の中に閉じ込められた二世たちに訪れたのは、アメリカ国民としての徴兵制の適用だった。

 自らの祖国によって拒まれかつ監禁されながら、

兵役志願をすることによって自分たちの忠誠をその同じ祖国に対して示すことを、今や問われていたのである。

 なんと理不尽なことか、アメリカ国民として疎まれ、収容所に監禁された日系米人は、

「忠誠心」という「踏絵」を要求されたのだ。

日系アメリカ人で編成された第442部隊と第百歩兵部隊は、

最前線に送られたが、その輝かしい記録は、今日では広く知れわたっている。

 

 著者は最後に次のように述べている。

 あの悲劇的で胸の張り裂けるような日々を乗り越えて日本人が生き残ったということは、まさに人間の精神の勝利 であったのだと思う。

 歴史の中で我々が体験したことを、後の世代に伝えていくことが、今を生きる者の責務だと思う。

戦争の悲劇、原爆被爆、水俣・イタイイタイ病、原発、神戸・東日本災害等々伝えるべきものの多い現実であるが、

私たちはこうした辛い経験を乗り越えて、世代を繋いできた。

 過去 現在 未来へと私たちは、その時代に生きた証として忘れてはならない体験をバトンタッチしていかなければならない。そうした意味で、この本の歴史の波に流され埋もれていく歴史の証人としての役割は大きい。

 地味な内容で売れそうにない本を出版した「岩波書店」にも敬意を表したい。

  評価☆☆☆☆(4/5)

            ブックデーター 岩波書店 1984年第一刷 ヨシコ ウチダ著 品切れ (Amazonの中古で8,4000円)

 

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短歌にみる野坂昭如と水木しげる

2016-01-22 10:00:00 | つれづれ日記

 


個性的な表現者二人

  一匹の火垂るの光飛んでいく縦横無尽野坂昭如       ……羽曳野市 玉田一成氏

   歯に衣着せぬ物言いはときによって、周囲を驚かせ、場の雰囲気を壊してしまうこともあった。

   野坂氏の胸中にあったのは、焼け跡闇市派としての「悲しみ」だったのではないか。

   その悲しみが、「火垂るの墓」に結晶し「戦争童話集」に繋がっていったのでしょう。

 

  徹夜して議論重ねし青春の日々のテーマの野坂昭如      ……安中市 鬼形輝雄氏

   青春のほろ苦い思い出は、赤ちょうちんの一杯飲み屋から始まりました。

   精いっぱい背伸びして、野坂を語り水木の「妖怪漫画」に酔いしれた充実した日々を思いだします。

   

   シャイであり礼儀正しい人でした野坂氏悼む声に頷く     ……町田市 冨山俊朗氏

   意外と可愛くて優しい目が、いつもサングラスの奥から光っていました。

   照れくささを隠すために、プレイボーイを自称しメディアの海を縦横無尽に泳ぎ回った。

  「戦争は、勝った者にも負けた者にも何ももたらさない」といった野坂よ!

       永遠の別れだ さようなら  

   水木逝き野坂が去りてホタル舞う闇へ消えゆく昭和九十年   ……小平市 作者名忘れました

   青春時代に活躍した表現者たちがだんだん少なくなって少し寂しいです。

   

   妖怪は平和裡に棲むと描き続け水木しげる逝く戦後七十年   ……北海道 斎藤洋子

   魑魅魍魎(ちみもうりょう)の住む現実世界は、なんと殺伐として危険に満ちていることか。

   君たちが望んだ平和な世界が早く訪れるといい。

   鬼太郎も目玉おやじもみんなさょうなら。

   「ぬり壁」「一反木綿」「子泣き爺」「砂かけ婆」

   愉快で楽しい妖怪たちよさらば!!  

        歌は、朝日新聞の歌壇2016.1.11版から引用しました。

                              (2016.1.21記)

   

 

 

 

 

 

 

 

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野坂昭如と水木しげる

2016-01-21 10:30:00 | つれづれ日記

野坂昭如と水木しげる

 個性的な二人が相次いで亡くなった。

どちらも、表現者として一歩も譲らず、自分流に生き方を貫き、名を成した二人だ。

 

 野坂氏は自称焼け跡闇市派として、代表作「火垂るの墓」を残し、

小説家、評論活動、作詞、歌手などジャンルにとらわれず、活動範囲は広い。

一貫して反体制を主張し、歯に衣着せない論調には定評があった。

一方でこうした彼の姿勢を、「場を読まない」と冷ややかに見つめる人もいたが、

空気ばかり読み、世論におもねる人の多い中で、貴重な存在ではなかったか。

 

 水木しげる は今まで誰も描かなかった「妖怪漫画」の開拓者として名高い。

「墓場鬼太郎」「悪魔くん」「ゲゲゲの鬼太郎」など当時の週刊マンガ誌の少年サンデー、少年マガジンなどで、

圧倒的な人気を得ていた。

 「子泣き爺」「砂かけ婆」「ぬりかべ」「一反木綿」など文字のみの記録で古典の画が存在しないものは、

水木によって初めて絵として描かれたようですね。

 彼の作品で一番好きな作品は、

「総員玉砕せよ!」という戦記マンガです。

 片腕を失うことになった水木の戦争体験をもとに描かれた作品は、多くの賞を受賞しました。

登場人物に悪人は存在せず、優しさの中に強さを秘めた妖怪たちが時にユーモラスに描かれているところに、

少年だけではなく、大人までもとりこにして、一世を風靡したのでしょう。

 

 昨年、高倉健や菅原文太が他界し、今年は野坂、水木が鬼籍に入った。

昭和は遠くなりにけりです。

   次回は短歌にみる野坂昭如と水木しげるをアップします。

 (2016.1.20記)   つれづれ日記 №53

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いじめ訴え小4自殺(5) 母の悲しみ

2016-01-20 10:00:00 | いじめと自殺

母の悲しみと願い

 沖縄県豊見城(とみぐすく)市で昨年10月に起こった小学4年の男児が自殺した問題で、両親は朝日新聞1月14日付の取材に応じ次のように語った。以下はその要約です。

 市教育委員会は「いじめは一回だけだった」と、自殺との関係を否定したが、

子どもは6月ごろから、日常的ないじめを訴えていた。

「廊下でいきなり殴られた」

「トイレに閉じ込められた」

 具体的ないじめの訴えに、母はその都度、

「先生にきちんと言いなさいよ」という母に息子は、「言っているよ」。

でも、夏休みに入るころから「言ってもしょうがない」に変わってきた。

 このほぼ2カ月の間に何があったのか、

具体的な取材内容が掲載されていないので不明ですが、

果たして男児は教師にいじめを訴えていたのか、

親として、男児の訴えを教師に話し、

問題解決に向けて一歩を踏み出すことが必要だったのではないか。

 

 終業式の日教室で「かっこつけるな」と服を引っ張って倒された。

「なんで僕はいじめられなければならないの」 

「辛いなら転校してもいいよ」と母。

学校にも相談するすることに決めていたやさき、12日夜、

救いの手が差し伸べられる前に男児は、悲しい幕を引いてしまった。

 

 入院中の10月15日、校長は病院を訪れ、9月のアンケート用紙を見せてくれた。

息子の文字。精いっぱいの、「助けて」というメッセージだったんだと思います。

 守ってあげられなかった。ごめんね。毎日、ただ苦しい気持ちしかありません。と記事は結ぶ。

  

 責任者としての校長、市教委、第三者委員会については、前述しましたが、保護者説明会について少し書いてみたいと思います。

 開催場所:男児が通っていた小学校

 時  期:1月12日

   保護者からは保護者からは、学校側の対応の悪さなどに批判が相次ぎ、調査中の第三者委員会が「自殺につながるようないじめは現時点で確認されていない」としていることへの疑問の声も上がっている。

 市教委は児童を対象に「記名式アンケート」の実施を提案したが、保護者の反対で了承されなかった。

 一方、校長はこれまで児童たちに男児の死亡を事故としていたが、1月12日朝の全校集会で初めて自殺だったと説明。「ほんとうのことを言わなかったので謝らないといけません。ごめんなさい」と謝罪。(毎日新聞1/13付記事)

 

   男児が命を絶ったのが昨年の10月でした。

結果的には、校長はおよそ4カ月の間、隠蔽と嘘で生徒たちをだましてきたのです。 

「ごめんなさい」と謝って済む問題ではありません。

児童の時に信頼すべき先生から、信頼を損なうような行為を見せられた生徒の大人への不信感は、

心の傷となって一生残るかもしれないのです。

 

 愛する者を失った母に報いるためには、

学校、市教委、第三者委が誠意をもって原因究明にあたることだろう。

失われた命は帰らないが、それが無くなった児童への供養に繋がり、

生徒への信頼を取り戻することになるのだから。

                    (2016.1.19)

  

 

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歩数計について

2016-01-18 12:01:05 | つれづれ日記

  歩数計について

 「りんごっこ劇場」さんが、歩数計についてブログで述べておりましたので、そのことについてのうんちくです。

正確には「活動量計」というそうですが、この呼称を最初に使用したのは、健康機器メーカーの「タニタ」さんでした。

しかし、「活動量計」という呼称は一般受けしませんでした。

 一般には「万歩計」とか「歩数計」と言われているようですが、

頻繁に使用されている呼称は「万歩計」ではないでしょうか。

 この「万歩計」という呼称は歩数計の代名詞のように言われていますが、

実は歩数計を最初に商品化した「山佐時計計器(株)」の登録商標で、他のメーカーが使用することはできません。

 

  そんな訳で、いつも「YAMASAの万歩計」を使用しています。種類も多く、値段も豊富に設定されています。

 最初に購入した万歩計は廉価版でしたが、10年近く使用することができました。

2代目は事故で破損、3代目は紛失。

現在は携帯の歩数計を使用していますが、春までには4代目を購入しようと思っています。

 

 歩数計もウオーキングマニアになると、歩数計依存症になり、

歩数計のカウントを上げるための「歩行」になってしまい、

パソコンが無くなるとどうにもならないのと同じように、

歩数計のない日常はなんとなく損したような気になり、

まさに依存症におちいります。(家の中で足踏みして、カウントを稼いだりして……)

 現在は、携帯のカウントで一日平均8,000歩ぐらいでしょうか。

歩数計を使用していたときは、平均12000~13000歩を歩いていました。

また、ランキングにも参加し、一位を獲得したことも珍しくありません。

依存症にどっぷり浸っていた5~6年前のことでした。

 

 ウオーキングは健康にとても良いと言われていますが、四季折々の自然に触れることができ

豊かな感性を養うことにもなるので、無理せず継続することが肝要と思われます。

      (つれづれ日記№52)              (2016.1.17記)

 

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いじめ訴え小4自殺 (4) 教育委員会 第三者委員会の姿勢

2016-01-16 16:45:08 | いじめと自殺

いじめ訴え小4自殺(4)

 教育委員会 第三者委員会の姿勢

  前回(3)この問題で、疑問に思うことをあげ、校長の責任を「逃げるな校長」というタイトルで書き、このシリーズを「おわり」としましたが、書き足りないこと、教育委員会の対応、第三者委員会の姿勢など触れられなかったことがあったのでシリーズを再開します。

 昨年10月沖縄の小4の男児(当時9歳)が自殺した問題で、沖縄地元紙をはじめ、

全国紙がこのことを一斉に報じたのが1月11日でした。

 事件からすでに3カ月が経過しています。

発表がなぜこんなに遅れてしまったのでしょうか。

 いじめによる小中学生の自殺問題が大きな社会問題になっている時に、

なぜ、発表が3カ月も遅れてしまったのでしょうか。

3カ月もの間教育委員会は何をしていたのでしょうか。

 この間、保護者会に向けた「説明会」も開催されなかった怠慢は糾弾されて当然です。

 

 児童や学校の教育に関する問題が、学校内で解決できないような社会的問題であれば、

学校は問題を教育委員会に報告し、調査・解決を教育委員会と一緒に行わなければならない。

 

 隠蔽工作があったとすれば、なんのために、誰が、どの機関(組織)が行ったのでしょう。

見えてくるのは、事実の懐柔です。

 自分たちの地位や名誉を守り、立場を維持する姿勢に、

亡くなった児童の悲しみや、

遺族の苦悩を理解する教育者としての温かいまなざしが感じられません。

 

 地元教委は昨年11月、弁護士や臨床心理士ら5人でつくる第三者委員会を設置しています。

事件が起きたのが10月ですから、素早い対応です。

だが、結果はお粗末です。

 

 11月のアンケート調査で児童11人がいじめをしたり、

目撃したとする回答を得たこと明らかにしています。

 調査を委託した第三者委員会の見解に基づき、

自殺に直接つながる、「重篤ないじめ」はなかったと発表されました。

 「重篤ないじめ」とはどんないじめなのでしょうか。

 いじめの種類は、千差万別です。

被害者の受け止め方や、心に受ける傷の深さも人によって様々です。

「死に至るいじめ=重篤ないじめ」と大人が単純に判断し、

勝手に括弧でくくってしまうのは、大変な間違いです。

 

 前回にも述べましたが、9月のアンケート調査で、自殺した児童は、自由記述欄に、

「いじめられている」、「消しゴムを盗まれた。虐められているので転校したい」という趣旨を記述しているのです。

この記述は、追いつめられ、生きていく気力が遠のいていく中での、必死の叫びではなかったのか。

 

 11月のアンケートでも、

「複数人数で男児の筆箱を投げ合っていた」「男児のものをわざと机から落としていた」

などの複数目撃証言があります。

 複数のいじめは反復継続化しやすく、被害者は暗闇の中を危険にさらされ、

絶望的な状況に追い込まれることは容易に想像できます。

 

 なぜ、男児を救えなかったのか、徹底的な究明をお願いしたい。

それが、亡くなった児童へのお詫びとして、教育者が取るべき態度だと肝に命じるべきことだと思います。

                          (つづく)    (2016.1.16記)

 


 

 

 

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いじめ訴え小4自殺 (3) 逃げるな校長

2016-01-14 06:00:00 | いじめと自殺

いじめ訴え小4自殺 (3) 

逃げるな校長

 私の感じたこと :  逃げるな校長 

 校長が学校側の立場に立っているので、亡くなった児童の苦しみに沿った姿勢が全く見えないからです。

校長の立場として、学校という組織を守る姿勢は当然のことです。

大切な責務ですが、一番肝心な児童が安心して生活できる教育環境の構築という姿勢に欠けているのではないか。

「いじめ対策」に真剣に取り組んでいたかどうか、はなはだ疑問に感じます。

 

「児童から何の相談もなかった」から

「事実を把握できなかった」というのは、問題のすり替えで、責任逃れの何ものでもない。

  児童の立場からすれば、「いじめに苦しんでいる」ことを親にも言えず、

先生にも言えない苦しみがあることをこの校長は解っていない。

どうしたら児童の苦しみを把握し、解決するのかという視点に欠けます。

 

「待っていても児童は来ない」。

こうしたことを踏まえて、どうしたらいいのか、

最高責任者の校長は、学校内の姿勢をリードしていかなければなりません。

 

 「残念だができるだけの対応はしていた」

 「いじめへの対応には注意していたが、男児からは相談はなく、事実を把握できなかった」

  こんなことで、「できるだけの対応はしていた」と言えるのでしょうか。

  「……対応には注意していた」と言えるのでしょうか。どんな対応をしていたのか、どんな注意をしていたのか

 具体的な説明がなければ、保身による言い逃れと解釈されても仕方のないことです。

 

  担任がアンケートの内容を2週間も読んでいなかったことについて、

「……成績表を一からつけなければならない時期」なので

「そちらの業務を優先したのだと思う」という校長の発言には、開いた口がふさがりません。

 なんのためのアンケートだったのでしょう。いじめ発見のためのアンケートなら、

 命にかかわる大切な資料です。

最優先という意識がない、ということはアンケートの意味を理解していないことになります。

校長はこのことの周知徹底を図らなかった。校長自身の責任だと思われます。

「成績表の作成を優先したのでしょう」とまるで自分には関係がないと言わんばかりの発言です。

「……でしょう」という表現は推測です。

10月に起きた事件です。

記者会見まで3カ月近く経過しているにもかかわらず、「……でしょう」という推測で、

担任に確認したわけではありません。

 

 教育者としての良識、児童に対する愛情の欠片(かけら)も見られない校長の姿勢に、

こんなことでは、いじめによる児童の自殺は一向に減少しないと激怒するばかりです。

 いささか、本人のいないところでの、欠席裁判になってしまいましたが、あまりの校長の自己保身の姿勢に我慢ならず、厳しいことをあえて表現しました。個人攻撃が目的ではなく、悲惨な事故を二度と起こしてはならないという気持ちからの告発とご理解いただければ幸いです。

               (おわり)  (2016.1.13記)

 

 

 

   

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いじめ訴え小4自殺 (2) 事件の概要

2016-01-12 15:45:44 | いじめと自殺

逃げるな校長

 事件の概要: 沖縄県豊見城(とみぐすく)市の教育委員会によると、

 児童(当時9歳)は秋季休暇中だった昨年10月12日夜、自宅で首をつって自殺を図った。

学校が9月29日に実施したいじめに関する無記名のアンケートの自由記述欄に「いじめられている」という要旨を記入。

担任は男児が自殺を図った後この記述に気づき、筆跡などから男児のものであると判明した。

 校長の発言: (1月10日記者会見) 男児は自殺を図る直前、

学校が行った定期アンケートにいじめを訴える内容を記入していたが、担任の男性教論は読んでいなかった。

校長は会見で

「残念だができるだけの対応はしていた」、

「いじめへの対応には注意していたが、男児から相談はなく、事実を把握できなかった」と述べている。

 担任がアンケートの内容を2週間読んでいなかったことについては

「もう少し早く読んでいたらとも思うが、1学期の終わりで、成績表を一から作らなければならない時期。

そちらの業務を優先したのだと思う」と発言している。

 朝日新聞1月11日の要約ですが、記事全体を通じてなんとも腹ただしい感情が湧いてきます。

      次回は校長の発言のどこに問題があるのかを探ります。

           (つづく) (2016.1.12記)

 

  

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いじめ訴え小4自殺

2016-01-11 17:04:34 | いじめと自殺

自己保身の校長

  どうしていつも同じことが繰り返されるのか。

 またしても痛ましい事故が起きてしまった。

子どもの自殺が起きるたびに、

「いじめによる自殺防止」の対策が、

真剣に検討されていないことに、憤りを覚えます。

今度の小4の自殺でも、過去の類似の事件の教訓が生かされていないと思います。

 小さな命が失われるたびに、文科省や教育委員会が原因究明に乗り出す。

 いじめ発見のためのアンケート調査は、いつも繰り返される「いじめによる自殺防止」の手段として利用されてきた。しかし、こういったアンケートは「いじめ発見のための」という限定付きでは、踏み込みが足らないのではないか。

 

「児童生徒の健全で安心した教育環境づくり」という大きな視点が必要と思われます。

 

 教育熱心な先生がいても、心の問題を扱うことに不慣れであったり、無頓着であったりする先生は多い。

 アンケートで浮かび上がった心の問題は、職員会議で検討し、方針や対策を立てるべきだと思います。

クラス担任の責任と限定してしまえば、担任はその重圧に押しつぶされ、正常な判断力さえ失いかねません。

 

 過去の事件で、校長は児童と担任の「交換日記」の中に、

「自殺をほのめかす記述があったにもかかわらず、私には何の報告もなかった」と発言しています。

報告の義務を怠った担任にも責任があるでしょう。しかし、この発言は、校長の責任逃れと私は思います。

「私には何の報告もなかった」ということではなく、

「なぜ担任が報告の義務を怠ってしまったか」という視点がなければ、

最高責任者の校長としては失格でしょう。

担任の能力の限界なのか。校長そのものに問題があったのか。

 

 事件の報道は、その時だけでその後のなり行については報道されないので

メディアの責任も多々あるのでしょう。

 

 管理者と教師の職務分掌はきちんと整理し、教師一人一人に明示しなければなりません。

校長はもちろんのこと、教務主任、学年主任、スクールカウンセラー、保健婦、各係(生活指導等)の職務分掌は、

明確にし、文章化し一人ひとりに配布すべきでしょう。

 

 こうしたシステムの導入は、学校の最高責任者である校長の仕事でしょう。

また、各学校に配置された「スクールカウンセラー」の有効な活用を促すのも、

最高責任者の仕事です。

 

 教育と「心の問題」は、専門分野が異なります。

児童心理の分野は素人の教師に任せるのではなく、

教師と「カウンセラー」が児童の安全を図るにはどうしたらよいか、

共通課題として取り組むべきでしょう。

 

 管理者の関心は、「教育委員会」の動向や「PTA」の動向に重点が行き、

クレイマーの持ち込む問題も担任どまりか、学年主任どまりになって、

なかなか管理者まで上がらないケースも珍しくない。

こうしたことに、見て見ぬふりをする管理者も失格です。

   次回 沖縄県での小4自殺のの件(朝日新聞1月11日付)を参照して責任者の発言の問題点を考えます。                                    (つづく)   (2016.1.11記)

   

    

 

 

 

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