今年1月8日付けで私は「陸前高田の奇跡の松」について、
次のように書いて、ブログに記載した。
『……海が盛り上がり、防潮堤を乗り越え、牙をむいて襲いかかってきた。
町を破壊し、生きる力さえ奪い去って行った。八万本の松林を根こそぎ押し倒し、
神は、たった一本の松を瓦礫の中に残してくれた。全てを失った代償にしては、
あまりにも失うものが大きすぎた。そして、願いもむなしく奇跡の松は枯れた。
苛酷な人生を強いることができても、生き残った人々の心まで奪うことはできない。
奇跡の松は枯れてしまったが、人間の心は決して枯れることはない。
……立ち直っていく人間の希望に託す力を信じたい』
立枯れた松のその後はどうなったのだろう。「奇跡の松」「希望の松」といわれ、
「復興のシンボルにしよう」、「希望のシンボルにしよう」などといわれた松が枯れてしまった。
現実は私たちのささやかな夢や希望も打ち砕いてしまうのか。
次の記事が「奇跡の松」のその後を伝えています。
(1) 名古屋で苗木育成 河村市長申し入れへ
一本松の苗木を接ぎ木してつくった苗を受け取り、
約10年かけて土壌に植栽できる50センチ程度まで育てる。
(要点抽出) 毎日新聞1月10日配信
(2) 「奇跡の一本松」つながった命 採取の種発芽■将来「現地へ」 朝日新聞(2012.4.12)
住友林業、岩手・陸前高田で津波から残った「希望の松」の後継者育成に成功(日経BP環境経営フォーラム)
(2011.12.17)
「希望の松」の枝を採取し、接ぎ木、挿し木、組織培養などクローン増殖による育成を行ったところ、
挿し木と組織培養は途中で枯れたものの、接ぎ木で3本のクローン苗ができ、順調に育っている。
同時に、木の上に残っていた松ぼっくりから種子を採取して育てる方法も試み、18本の苗を得ることができた。
この結果、合わせて21本の苗の育成を実現した。(要点抽出)
現地に植えるのには、50センチ以上に成長させる必要があり、それには7~10年かかる。
ちょうどその頃、復興計画が軌道に乗ってくる頃で、
その時まさに「希望の松」は、
希望のシンボルとして陸前高田の海岸の景勝地「高田松原」の故郷に還って、
新たな生命(いのち)の継承としてよみがえるだろう。