帰村宣言から1年
福島第一原発事故で一時、役場を含めて全村避難余儀なくされた福島県川内村の遠藤雄幸村長が、
「戻れる人から戻りましょう」、「自分たちの村は自分たちで守る」と「帰村宣言」をして、1月31日で一年が過ぎた。
昨年10月13日には天皇皇后両陛下が川内村の除染の様子を視察。
除染をする作業員たちはマスクを装着し、
防御服を着ていたが両陛下は「付近の放射能レベルは問題はない」というご意向を示され、
防御服やマスクを着用されることはなかった。
まさに並々ならぬ決意で臨まれたご視察だった(女性セブン2012年11月1日号)。
12月29日には、就任間もない阿部首相も訪問し、
「フロントランナーとして頑張っている川内村の成功が復興の成功につながる」(時事ドットコム12月29日)と強調、
帰還事業に全力で取り組む考えを示した。
帰村宣言から1年 川内村の現状
1月30日現在、村民2816人中424人(避難先を引き払って完全に戻った人・完全帰村者)が村に戻り、
約700人弱の半帰村者(週に4日以上を村で暮らし、避難場所と自宅の二重生活をしている人)を合計しても
帰還住民は約4割弱と少ない。
復興への第一歩はスタートしたが、復興への道のりは遠く険しい。
帰村者のうち6割超が50代以上の中高年層が占める。
原発事故以前も過疎化が進行していた村だが、
遠藤村長は「過疎化の村が抱える少子高齢化が一気に進んだ」(福島民報1/31)と現状を語る。
村が行う旧警戒区域以外の除染は、
民家の99%、農地の約70%(田んぼは90%以上)が終わり、コメ作りも今年は再開される。
除染、工場誘致による雇用の確保、道路の整備等、行政としてできることを村は率先して行い、
「帰れるから帰ろう」、「戻れる人から戻ろう」と村民の帰村を促した。
役場機能も学校も再開した。
なぜ村民の「帰村」が進まないのか? (つづく)
(参考資料:女性セブン、時事新報、福島民報、朝日新聞、読売新聞)