雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

いじめで骨折 「転んだことに」

2016-03-08 08:00:00 | いじめと自殺

いじめで骨折「転んだことに」

 教諭うその説明指示

『昨年7月、部活の練習中に1年生の男子生徒が、上級生二人からひざ蹴りを受けるなりして胸部を骨折、

教諭は病院に連れて行こうとした副顧問にうその説明をすることを指示し、生徒は病院で指示通り説明した。(兵庫県教育委員会発表)』(朝日新聞)

 さらに、その後の学校側の調査で、

上級生2人が昨年4月以降、計3人の1年の男子生徒を殴ったり、

プールに沈めたりするいじめを繰り返していたことが判明。

 校長は3年の男子生徒を同年8月(いじめ隠蔽のあった翌月)の近畿大会に出場させないよう指示したが、

顧問の男性教諭は、それを無視して出場させ、チームは優勝したという。

 なんとまあ、お粗末な話か、あきれてしまう。

「いじめ問題」は今年1月に5回にわたって「いじめと自殺」というジャンルでアップしたので興味のある人は、読んでみてください。

その時浮き彫りになったのは、学校側の姿勢、校長の責任逃れ等でした。

 今回の問題点は「隠蔽工作」と「職務命令違反」の二点です。

おそらく骨折の事実がわかれば、翌月に控えた近畿大会への出場が危ぶまれたからなのだろう。

部活顧問としての名前に傷がつくということも、関係しているだろう。

さらに加害者生徒を大会出場させないという校長の命令を無視し、

出場させたことへの「職務命令違反」だ。

 いじめによる生徒のけがを真摯に受け止め、

いじめ防止の策をとることなど、この58歳の教諭には微塵もなかったのだろう。

部員の不祥事を隠蔽してまで、参加させることにどんな意味があったというのか。

 

 教師として絶対にしてはいけないことが一つある。

「隠蔽工作」に被害生徒を巻き込み、

「病院では階段から転んだことにしておけ」と虚偽の説明を病院に連れて行こうとした副顧問に指示、

生徒は病院で指示通りに説明したという。

 

 「嘘をついてはいけない」と小さい時から親や先生に教えられた生徒が、

顧問に嘘をつくことを指示されたという。

 

 教師と生徒の間で培われてきた信頼関係が、一瞬にして失われた瞬間である。

 県教委は「教師としてあるまじき行為」として、この教諭を6カ月の停職処分にした。

ということだが、「してはいけない行為、職務倫理違反は明確」なのに、

6カ月の停職処分とは、あまりにも軽すぎる処分です。

 停職処分中に、「依願退職」してしまえば、

退職金も規定通り支給されるという程度の、軽い処分でいいのか。

 名前さえ公表されていない。そんなに軽い「隠蔽工作」だったのか。

校長は、指導監督不十分とし「訓告処分」を受けたという。どちらの処分も、温情主義、事なかれ主義による処分で、

教育界に良い影響は及ぼさないと思います。

                    (いじめと自殺 №6)         (2016.3.7記)

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いじめ訴え小4自殺(5) 母の悲しみ

2016-01-20 10:00:00 | いじめと自殺

母の悲しみと願い

 沖縄県豊見城(とみぐすく)市で昨年10月に起こった小学4年の男児が自殺した問題で、両親は朝日新聞1月14日付の取材に応じ次のように語った。以下はその要約です。

 市教育委員会は「いじめは一回だけだった」と、自殺との関係を否定したが、

子どもは6月ごろから、日常的ないじめを訴えていた。

「廊下でいきなり殴られた」

「トイレに閉じ込められた」

 具体的ないじめの訴えに、母はその都度、

「先生にきちんと言いなさいよ」という母に息子は、「言っているよ」。

でも、夏休みに入るころから「言ってもしょうがない」に変わってきた。

 このほぼ2カ月の間に何があったのか、

具体的な取材内容が掲載されていないので不明ですが、

果たして男児は教師にいじめを訴えていたのか、

親として、男児の訴えを教師に話し、

問題解決に向けて一歩を踏み出すことが必要だったのではないか。

 

 終業式の日教室で「かっこつけるな」と服を引っ張って倒された。

「なんで僕はいじめられなければならないの」 

「辛いなら転校してもいいよ」と母。

学校にも相談するすることに決めていたやさき、12日夜、

救いの手が差し伸べられる前に男児は、悲しい幕を引いてしまった。

 

 入院中の10月15日、校長は病院を訪れ、9月のアンケート用紙を見せてくれた。

息子の文字。精いっぱいの、「助けて」というメッセージだったんだと思います。

 守ってあげられなかった。ごめんね。毎日、ただ苦しい気持ちしかありません。と記事は結ぶ。

  

 責任者としての校長、市教委、第三者委員会については、前述しましたが、保護者説明会について少し書いてみたいと思います。

 開催場所:男児が通っていた小学校

 時  期:1月12日

   保護者からは保護者からは、学校側の対応の悪さなどに批判が相次ぎ、調査中の第三者委員会が「自殺につながるようないじめは現時点で確認されていない」としていることへの疑問の声も上がっている。

 市教委は児童を対象に「記名式アンケート」の実施を提案したが、保護者の反対で了承されなかった。

 一方、校長はこれまで児童たちに男児の死亡を事故としていたが、1月12日朝の全校集会で初めて自殺だったと説明。「ほんとうのことを言わなかったので謝らないといけません。ごめんなさい」と謝罪。(毎日新聞1/13付記事)

 

   男児が命を絶ったのが昨年の10月でした。

結果的には、校長はおよそ4カ月の間、隠蔽と嘘で生徒たちをだましてきたのです。 

「ごめんなさい」と謝って済む問題ではありません。

児童の時に信頼すべき先生から、信頼を損なうような行為を見せられた生徒の大人への不信感は、

心の傷となって一生残るかもしれないのです。

 

 愛する者を失った母に報いるためには、

学校、市教委、第三者委が誠意をもって原因究明にあたることだろう。

失われた命は帰らないが、それが無くなった児童への供養に繋がり、

生徒への信頼を取り戻することになるのだから。

                    (2016.1.19)

  

 

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いじめ訴え小4自殺 (4) 教育委員会 第三者委員会の姿勢

2016-01-16 16:45:08 | いじめと自殺

いじめ訴え小4自殺(4)

 教育委員会 第三者委員会の姿勢

  前回(3)この問題で、疑問に思うことをあげ、校長の責任を「逃げるな校長」というタイトルで書き、このシリーズを「おわり」としましたが、書き足りないこと、教育委員会の対応、第三者委員会の姿勢など触れられなかったことがあったのでシリーズを再開します。

 昨年10月沖縄の小4の男児(当時9歳)が自殺した問題で、沖縄地元紙をはじめ、

全国紙がこのことを一斉に報じたのが1月11日でした。

 事件からすでに3カ月が経過しています。

発表がなぜこんなに遅れてしまったのでしょうか。

 いじめによる小中学生の自殺問題が大きな社会問題になっている時に、

なぜ、発表が3カ月も遅れてしまったのでしょうか。

3カ月もの間教育委員会は何をしていたのでしょうか。

 この間、保護者会に向けた「説明会」も開催されなかった怠慢は糾弾されて当然です。

 

 児童や学校の教育に関する問題が、学校内で解決できないような社会的問題であれば、

学校は問題を教育委員会に報告し、調査・解決を教育委員会と一緒に行わなければならない。

 

 隠蔽工作があったとすれば、なんのために、誰が、どの機関(組織)が行ったのでしょう。

見えてくるのは、事実の懐柔です。

 自分たちの地位や名誉を守り、立場を維持する姿勢に、

亡くなった児童の悲しみや、

遺族の苦悩を理解する教育者としての温かいまなざしが感じられません。

 

 地元教委は昨年11月、弁護士や臨床心理士ら5人でつくる第三者委員会を設置しています。

事件が起きたのが10月ですから、素早い対応です。

だが、結果はお粗末です。

 

 11月のアンケート調査で児童11人がいじめをしたり、

目撃したとする回答を得たこと明らかにしています。

 調査を委託した第三者委員会の見解に基づき、

自殺に直接つながる、「重篤ないじめ」はなかったと発表されました。

 「重篤ないじめ」とはどんないじめなのでしょうか。

 いじめの種類は、千差万別です。

被害者の受け止め方や、心に受ける傷の深さも人によって様々です。

「死に至るいじめ=重篤ないじめ」と大人が単純に判断し、

勝手に括弧でくくってしまうのは、大変な間違いです。

 

 前回にも述べましたが、9月のアンケート調査で、自殺した児童は、自由記述欄に、

「いじめられている」、「消しゴムを盗まれた。虐められているので転校したい」という趣旨を記述しているのです。

この記述は、追いつめられ、生きていく気力が遠のいていく中での、必死の叫びではなかったのか。

 

 11月のアンケートでも、

「複数人数で男児の筆箱を投げ合っていた」「男児のものをわざと机から落としていた」

などの複数目撃証言があります。

 複数のいじめは反復継続化しやすく、被害者は暗闇の中を危険にさらされ、

絶望的な状況に追い込まれることは容易に想像できます。

 

 なぜ、男児を救えなかったのか、徹底的な究明をお願いしたい。

それが、亡くなった児童へのお詫びとして、教育者が取るべき態度だと肝に命じるべきことだと思います。

                          (つづく)    (2016.1.16記)

 


 

 

 

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いじめ訴え小4自殺 (3) 逃げるな校長

2016-01-14 06:00:00 | いじめと自殺

いじめ訴え小4自殺 (3) 

逃げるな校長

 私の感じたこと :  逃げるな校長 

 校長が学校側の立場に立っているので、亡くなった児童の苦しみに沿った姿勢が全く見えないからです。

校長の立場として、学校という組織を守る姿勢は当然のことです。

大切な責務ですが、一番肝心な児童が安心して生活できる教育環境の構築という姿勢に欠けているのではないか。

「いじめ対策」に真剣に取り組んでいたかどうか、はなはだ疑問に感じます。

 

「児童から何の相談もなかった」から

「事実を把握できなかった」というのは、問題のすり替えで、責任逃れの何ものでもない。

  児童の立場からすれば、「いじめに苦しんでいる」ことを親にも言えず、

先生にも言えない苦しみがあることをこの校長は解っていない。

どうしたら児童の苦しみを把握し、解決するのかという視点に欠けます。

 

「待っていても児童は来ない」。

こうしたことを踏まえて、どうしたらいいのか、

最高責任者の校長は、学校内の姿勢をリードしていかなければなりません。

 

 「残念だができるだけの対応はしていた」

 「いじめへの対応には注意していたが、男児からは相談はなく、事実を把握できなかった」

  こんなことで、「できるだけの対応はしていた」と言えるのでしょうか。

  「……対応には注意していた」と言えるのでしょうか。どんな対応をしていたのか、どんな注意をしていたのか

 具体的な説明がなければ、保身による言い逃れと解釈されても仕方のないことです。

 

  担任がアンケートの内容を2週間も読んでいなかったことについて、

「……成績表を一からつけなければならない時期」なので

「そちらの業務を優先したのだと思う」という校長の発言には、開いた口がふさがりません。

 なんのためのアンケートだったのでしょう。いじめ発見のためのアンケートなら、

 命にかかわる大切な資料です。

最優先という意識がない、ということはアンケートの意味を理解していないことになります。

校長はこのことの周知徹底を図らなかった。校長自身の責任だと思われます。

「成績表の作成を優先したのでしょう」とまるで自分には関係がないと言わんばかりの発言です。

「……でしょう」という表現は推測です。

10月に起きた事件です。

記者会見まで3カ月近く経過しているにもかかわらず、「……でしょう」という推測で、

担任に確認したわけではありません。

 

 教育者としての良識、児童に対する愛情の欠片(かけら)も見られない校長の姿勢に、

こんなことでは、いじめによる児童の自殺は一向に減少しないと激怒するばかりです。

 いささか、本人のいないところでの、欠席裁判になってしまいましたが、あまりの校長の自己保身の姿勢に我慢ならず、厳しいことをあえて表現しました。個人攻撃が目的ではなく、悲惨な事故を二度と起こしてはならないという気持ちからの告発とご理解いただければ幸いです。

               (おわり)  (2016.1.13記)

 

 

 

   

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いじめ訴え小4自殺 (2) 事件の概要

2016-01-12 15:45:44 | いじめと自殺

逃げるな校長

 事件の概要: 沖縄県豊見城(とみぐすく)市の教育委員会によると、

 児童(当時9歳)は秋季休暇中だった昨年10月12日夜、自宅で首をつって自殺を図った。

学校が9月29日に実施したいじめに関する無記名のアンケートの自由記述欄に「いじめられている」という要旨を記入。

担任は男児が自殺を図った後この記述に気づき、筆跡などから男児のものであると判明した。

 校長の発言: (1月10日記者会見) 男児は自殺を図る直前、

学校が行った定期アンケートにいじめを訴える内容を記入していたが、担任の男性教論は読んでいなかった。

校長は会見で

「残念だができるだけの対応はしていた」、

「いじめへの対応には注意していたが、男児から相談はなく、事実を把握できなかった」と述べている。

 担任がアンケートの内容を2週間読んでいなかったことについては

「もう少し早く読んでいたらとも思うが、1学期の終わりで、成績表を一から作らなければならない時期。

そちらの業務を優先したのだと思う」と発言している。

 朝日新聞1月11日の要約ですが、記事全体を通じてなんとも腹ただしい感情が湧いてきます。

      次回は校長の発言のどこに問題があるのかを探ります。

           (つづく) (2016.1.12記)

 

  

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いじめ訴え小4自殺

2016-01-11 17:04:34 | いじめと自殺

自己保身の校長

  どうしていつも同じことが繰り返されるのか。

 またしても痛ましい事故が起きてしまった。

子どもの自殺が起きるたびに、

「いじめによる自殺防止」の対策が、

真剣に検討されていないことに、憤りを覚えます。

今度の小4の自殺でも、過去の類似の事件の教訓が生かされていないと思います。

 小さな命が失われるたびに、文科省や教育委員会が原因究明に乗り出す。

 いじめ発見のためのアンケート調査は、いつも繰り返される「いじめによる自殺防止」の手段として利用されてきた。しかし、こういったアンケートは「いじめ発見のための」という限定付きでは、踏み込みが足らないのではないか。

 

「児童生徒の健全で安心した教育環境づくり」という大きな視点が必要と思われます。

 

 教育熱心な先生がいても、心の問題を扱うことに不慣れであったり、無頓着であったりする先生は多い。

 アンケートで浮かび上がった心の問題は、職員会議で検討し、方針や対策を立てるべきだと思います。

クラス担任の責任と限定してしまえば、担任はその重圧に押しつぶされ、正常な判断力さえ失いかねません。

 

 過去の事件で、校長は児童と担任の「交換日記」の中に、

「自殺をほのめかす記述があったにもかかわらず、私には何の報告もなかった」と発言しています。

報告の義務を怠った担任にも責任があるでしょう。しかし、この発言は、校長の責任逃れと私は思います。

「私には何の報告もなかった」ということではなく、

「なぜ担任が報告の義務を怠ってしまったか」という視点がなければ、

最高責任者の校長としては失格でしょう。

担任の能力の限界なのか。校長そのものに問題があったのか。

 

 事件の報道は、その時だけでその後のなり行については報道されないので

メディアの責任も多々あるのでしょう。

 

 管理者と教師の職務分掌はきちんと整理し、教師一人一人に明示しなければなりません。

校長はもちろんのこと、教務主任、学年主任、スクールカウンセラー、保健婦、各係(生活指導等)の職務分掌は、

明確にし、文章化し一人ひとりに配布すべきでしょう。

 

 こうしたシステムの導入は、学校の最高責任者である校長の仕事でしょう。

また、各学校に配置された「スクールカウンセラー」の有効な活用を促すのも、

最高責任者の仕事です。

 

 教育と「心の問題」は、専門分野が異なります。

児童心理の分野は素人の教師に任せるのではなく、

教師と「カウンセラー」が児童の安全を図るにはどうしたらよいか、

共通課題として取り組むべきでしょう。

 

 管理者の関心は、「教育委員会」の動向や「PTA」の動向に重点が行き、

クレイマーの持ち込む問題も担任どまりか、学年主任どまりになって、

なかなか管理者まで上がらないケースも珍しくない。

こうしたことに、見て見ぬふりをする管理者も失格です。

   次回 沖縄県での小4自殺のの件(朝日新聞1月11日付)を参照して責任者の発言の問題点を考えます。                                    (つづく)   (2016.1.11記)

   

    

 

 

 

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