敗れてなお潔し(3)・猫ひろし男子マラソン 負けても明日があるぞ
カンボジア代表の猫ひろし(滝崎邦明)が、
念願のオリンピック男子マラソンに出場し、見事完走した。
成績 2時間45分55秒
完走者140名中139位の成績だった。
最下位争いの名勝負(?)
ゴールまで1㌔を切った辺りで、追い上げて来たヨルダンの選手に追いつかれる。
自分が最下位だと思って走っていた猫は「こりゃ負けられにゃー」といったかどうかはわからないが、
歯を食いしばって加速する。
ヨルダンの選手も必死に猫に食らいついて離れない。
最後尾の二人のデットヒートは、ゴール地点の大型スクリーンにも映し出された。
一位の選手がゴールしてから37分。
スタンドは大歓声に包まれる。
猫がゴールする。
そのあと23秒遅れでヨルダン選手がゴールし、スタンドの観客を沸かせた。
二人は抱き合って互いの健闘をたたえた。
「東京五輪に向けて頑張りたい 」と、ランナー猫ひろしは39歳の小さな体に
闘志を燃やす。
メダルや成績にこだわるアスリートの中にあって、
猫はしなやかに、サラリと世間のしがらみを捨ててみせる。
皆が同じ方向を向いて、
放たれたリチウム風船のように仲よく飛び立っていく世の中にあって、
猫(滝崎邦明)のように個性的で、自分の思ったことに筋を通す生き方は
素晴らしいと思います。
一人ぐらいは、違った方向へ飛んでいく人間がいても悪くはない。
(2016.8.29記)