除染 東北自動車道 安積PA(下り)
福島第一原発事故の影響で、大変な思いを経験した福島である。
震災前にはよく訪れた福島。
住み慣れた故郷を追われ、家族が離れ離れになり、
今なお仮設住宅で不自由な生活を強いられている県民がたくさんいる。
無人の家、荒れ放題の田や畑に繁茂する雑草は背たけ以上に伸びている。
何度も見てきた福島の現状である。
郡山地域は比較的放射線の影響が少なく、
観光地としての賑わいを徐々に取り戻している昨今である。
しかし、放射線汚染はしぶとく、私たちを不安に陥れる。
だから風評被害がいまだにささやかれている。
この現実を如実に物語る現実に遭遇した。
東北自動車道「安積PA」(郡山市・写真)。
駐車スペースは大型48台、小型37台の規模の小さなPAである。
東北自動車道で唯一コインシャワーが利用できるPAとして知られる。
家族ずれや若い人たちで賑わう行楽日和の風景。
何気なく建物の東側の土盛りをして造成した憩いの広場を眺める。
「立ち入り禁止・除染作業実施中」の案内板が視野に飛び込んでくる(写真)。
芝がはぎ取られ、表面を削り取った土であろう、ビニールシートに覆われて散在している。
間近に見る除染の風景である。
人が大勢出入りするこんな場所に、原発事故から3年を経た今でも放射線の不安が残っている。
隣接する喫煙所では、気持ちよさそうに紫煙をくゆらす人々。
お土産売り場を走り回る子供たち。
ラーメンをすする人。
平和な時間が流れ、「除染作業実施中」に関心を示す人など見当たらない。
原発事故の風化を如実に知らされた「安積PA」の風景でした。
2014.10.19