沖縄・安慶田前副知事 「口利き」「人事介入」疑惑
(2)一問一答
一問一答のインタビュー記事の掲載はやはり地元紙の沖縄タイムスだ。
疑惑報道の裏どり記事として、矢面に立たされた当事者に疑惑の真相を聞くインタビューで、
疑惑報道記事の18日と同じ日に掲載されている。
その概要を掲載します。
-教員採用試験で特定の受験者を合格させるよう、県教育委員会に依頼したとの情報が寄せられている。
「そんな話はない。断じてない。こんなことはやらないのがぼくの心情。いつの話?頼まれたこともないし、
知っている人で教員採用試験を受けるような、特定の人はいない。本当の話だ」
随分切羽詰まった回答の様に感じられる。
「……ぼくの心情」などと自己アッピールも忘れない。
「……特定の人はいない。本当の話だ」など、答えなくともいいようなことまで言っている。
こういうときの回答は、必要最小限度に抑えるのが鉄則です。
ー誤解されるようなことや物、心当たりはあるか。
「ない。事実では全くない」
断定する安慶田氏に対して、この後、記者の質問は具体的な核心に切り込んでいく。
徐々に質問の内容が具体性を帯びてくるインタビューのすすめ方は、
獲物を捕らえたハンターのやり方でもある。
ー特定の受検者名と受験番号記されたメモを見たとの話もあるが。
「こんな話がくること自体が意外。前の教育長とも今の教育長とも(依頼できるような)人間関係がない」
インタビューの内容が具体性を帯びた内容になってきている。
記者が徐々に手の内を明かし始めてきたのです。
この時点で、「具体的な何かがある」と気付かないと墓穴を掘ることになるのだが
気づいた様子がうかがえない。
①鈍感なのか ②清廉潔白なのか どちらにしても状況は不利に展開している。
インタビューはさらに核心に迫っていく。
-電話で依頼したことはないか
「誰にやるの? 人間関係もほとんどないところでこんなことをやるのは、墓穴を掘るようなもの」
「……墓穴を掘るようなもの」と言いながら、実は自らぼけつをほつたことに気付いていない。
記者の思い通りに進んでいる。「―電話で……」は次の質問への伏線になっている。
-教委側の人間を副知事室に呼んではなしたことはあるか。
「教育長は予算の件以外で、ほとんど来ない。人事は教育長に権限があり、やるものだ」
ついに墓穴を掘ってしまった。このインタビューは、「教員採用口利き」についてのインタビューで、人事
云々については一言も言及していない。にもかかわらず安慶田氏が、「人事は教育長に権限があり、……」と
余計なことを言ってしまったのは、同日(18日)に掲載された記事の内容が頭にあったからなのだろう。
追いつめた記者は最後の質問をダメ押しという形でする。
ーもし本当なら進退に関わるか。
「副知事を辞めなきゃいけない。翁長雄志知事の足を引っ張るようになるじゃないですか。こんなことはできるわけがない。僕の揚げ足をとって、蹴落とそうという人の謀略だろう。不愉快だ。知事に迷惑をかけることをやって、なんの得をするのか。政治生命が終わるようなことをやって」
紙面のインタビュ―はここで終わる。余りに唐突な終わり方なので或いは編集したのかもしれない。
いずれにしても、報道記事が事実ならば「辞める」と断言した安慶田氏である。
どんな展開になるのか。
(昨日の風 今日の風№59)
(2017.01.30記) (つづく)
次回はその後の安慶田氏について書きます。