せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

木の乾燥の奥深さ

2010年01月17日 | 模型・実験・見学・講習・イベント

昨日は、建築士会主催の木造塾に参加。木造のこと、木のことについて実践的な勉強会。

住宅に使う木は乾燥させてから使う。狂いやそり、割れ、収縮を避ける為だ。

その乾燥の方法には、天然乾燥(一年以上掛ける)方法と人口乾燥(釜に入れて強制的に水分を抜く方法)がある。

現在の住宅の建設スピードでは、そのほとんどが後者である。天然乾燥を使う時は、大工さんも気を遣うし、まず手に入りにくい材料だ。

それぞれにメリット、デメリットあるのだが、今回は人口乾燥にもいろいろあり、一つ間違うと恐いということと、その理由を学ぶ。

人口乾燥については、私も信頼していたのだが、「内部割れ」という現象が起こり、それでは、構造材として機能しなくなる恐れがあるという。その材料が世に出回っているということに、少なからずショックを受ける。

上棟時に入って来た材料は組み上がる前に、現場で確認して来たが、その時に、そのような材料は見受けられなかったので、これまでの監理は問題なかったと思う。一方で、小口(柱等の端部)や表面だけで全て確認出来ているのか、というと自信は揺らぐ。

木材の提供者の乾燥の窯や実際の工場は、独立してすぐに確認に行き、納得のいくものであったし、その時に信頼出来る材木屋さんは、信頼出来る乾燥と学んだ。天然乾燥材を使う時は、現場の監督さんに乾燥具合を計る(計測器がある)ように口酸っぱく言って来た。

が、今回、その計測器(国のお墨付き=大学の研究者などが関わっている)自体にも少なからず問題があることが分かり(木の中までは実は分からないらしい、今回実験してみたので納得)結局、自分自身がより深くこのことを知らなければ、本当に井の中の蛙になっていたかもしれない、と思うと同時に、世の中の専門家もある意味何も知らない、知らされていないのかもしれないと思う。

そして、このことは到底ユーザーは知り得ないことだろう。

人口乾燥の機械をオリジナルで作ったという今日の話し手から、一つの方向性が出されたことには、ちょっとほっとする。

そして、もっと自分自身「?」と思うことは、どんどん突っ込んで行かないとならないと、またまた忙しくなるばかりだなぁと苦笑い。

木の住まいづくりは、真にまじめに取り組もうと思ったら、本当に好きな人間しか関われないかもしれないなぁと想いが遠くなる。

今回のように、そういったまじめな仲間と共に、また一歩本質を見極めて行けたらと願う。


ピアノコンサート

2010年01月15日 | アート・文化

ドランテ最高!ピアノフラメンコ・コンサートを聴く。
フラメンコ音楽を生で聴くのは何年ぶりだろう。

もともとフラメンコにピアノはない。新領域とでもいうべきか。

急遽、従兄弟のパーカショニストが参加になったのだが、フラメンコはコラボレーションの芸術だと思うので、よりその色が強くなったのは良かった。
またドランテの超人的なソロのピアノが柔らかくなり人に寄り添う感じになった。旋律の激しさと強さは、マルタ・アルゲリッチを思い出す。

一つ残念なのはCDの販売がなかったこと。1998年にスペインで大ヒットしたと言われるオロブロイを手に入れたく会場に足を運んだ。今日本では販売されていない。

今年に入って先週末と今週末と建築関係原稿の締め切りが続き、スペインのWEB上で試聴出来るので曲を聴きながらどっぷりと作業していた。日本後訳は「思考」だそうだ。気が高まると共に何か深いところに運ばれていくそんな曲だ。

生で聴いてよりその素晴らしさを実感!

今年は、芸術にもどんんどん接して行こうというのが新年の目標。
素敵なスタートを切った感じ。といっても仕事を終え、家族への段取りを済ませギリギリで電車に駆け込んだのですが・・・。たまには、いいかな。


住まいとは?授業支援

2010年01月14日 | 子ども・環境

一昨日は、雪が少しちらつく中、建築士の仲間と小学校の授業支援に参加。

家庭科で行う「快適な住まいを考える」という住教育の授業。

子ども達に「住まいとは?」と先生が問えば、「寝るところ」「食事するところ」など機能的な話から「一人になるところ」「落ち着くところ」まで言葉が出た。
100112
授業は間取りを考えて、それを立体にもするというもの。

6年生なので、自由に作っても良いけど、「快適」のポイントとして「日当り」「風通し」を考慮するというのが課題だ。

最初に何もないところから設計図を書くのは難しいだろうということで、スケール感覚を身につける意味も含めて、家具や浴室、トイレ、キッチンなどの設備パーツを切り抜いて使えるように用意。

「庭を広く取りたい」「屋上にサッカー場を作る」「南側の日当りの良いところにお風呂」など子どもらしい発言も飛び出す。

100112_2
それでも、子ども達はやや苦戦気味。また、配られた家模型用の箱から組み立て始める子もいて、立体の認識の早さに感心していたら、クラスでも工作が得意な子出そう。

次回伺うときは、家模型が完成している予定。
今回の授業で出た案がどんなふうに工夫されているか・・楽しみである。


新年には新モノを

2010年01月04日 | 季節感のある暮らし

新年には、何か新しい文具を使うのも楽しみの一つ。
むしろ縁起担ぎの一つかも。

今年はというと、「ホワイトライン」のノートを購入しておいた。
ヨーロッパのデザイナーが、デザイナーの為につくったノート。

100104
設計のイメージスケッチやコンセプトの文章、思い着いたひらめきや関連情報のメモまで、プロジェクトを一冊のノートに時系列にまとめるので、予備のノートは企画段階から数冊揃えておく。

日頃グリッドやドットの入ったノートを愛用しているが、これは罫線がホワイトで、紙が薄いグレー色というもの。コピーすると罫線が消えるので、スケッチがそのままきれいにコピー出来るらしい。

販売用の説明文では、紙の色が薄いグレー色は目に優しいとあるが、モノトーンの世界は発想の自由を与えてくれる、と私は思う。

今年の企画はステップアップの予感でしょうか!?

さて、子ども用にはホワイトの動物カレンダー。パズルになっているので、組み立てる過程も楽しめる。完成すると並べたり重ねたりして、早速動物園ごっこが始まった。

100104_2
昨年、伊東屋のカレンダー売り場で早々に見つけたものだが、子どもがいたく気に入り、なかなか会えないお友達にはプレゼントすると言い、一度に数セットも購入。

購入後に知ったのだが、デザイン賞もいくつか受賞していた。素敵!と思うのもは子ども心にも響くのかなぁ。そんなデザインっていいなぁ。

私もシンプルで分かりやすく、遊び心のあるもの、目指したいな。


新春読書

2010年01月01日 | インてリア

初詣先では、今年はお能が披露された。
100101
引いたおみくじは、なんと生まれて初めての大吉の次に珍しいというモノ。
神社では、それを引いた人には無償で配られるというお守りを頂いた。手渡してくれた巫女さんの神妙な顔つきに、こちらも気が引き締まったりして。今年は心して取り組んでということかな。

さて、お正月のお楽しみの一つ。
大好きな作家の小説を読むこと。

ミステリーなので一気に読む。徹夜することもある。
うまい具合にここ数年、この作家は12月に新刊を出す。

新聞広告等で発刊が案内されるので、本屋に寄った際に購入しておき、仕事も料理も掃除もしない正月休みに集中して読むのである。

日頃から読書はするが、小説を読む時間まではない。月極めで送られてくる専門書が数冊平積みのまま、加えて仕事関係や持っている資格に関係する本はどんどん机の目の前に並べられ、またやアート芸術書も時間があれば眺めるし、で結局娯楽の読書時間がないのだった。

でも、人間それでは潤わないと思う。
そこで、夏と冬の日常生活から解放される時間に当てている。

特に冬は、私の読書には合っているなと思う。ミステリーのこわさが寒さと合うのかもしれない。

ミステリーとは言え、気に入っている理由は、専門職の女性が社会に出て遭遇する課題とその乗り越え方が出てくるから。セクハラに、公私の両立、人間関係の複雑さと駆け引き、そして何より信念を貫いた行動をとることの難しさと実行する力や情熱、これらが織り交ぜてあるので、参考になり励まされるのだ。

面白いことに、初対面から気の合う友人(男性)が同じ小説を気に入っていたと言う辺りも、このシリーズ独特の魅力か。

余談、、、
昨年の暮れには、吊り広告や新聞などで、新刊の広告を見かけなかったので、今年は発行なしかとあきらめていたお気に入りのシリーズ。家人にそのことを話すと、本屋に平積みされていたと言う。慌てて調べてみると発刊されていた。危ない危ない。口に出して良かった。このまま本屋に出向かなかったら、私の毎年の楽しみが見送られていたかも。

余談の余談、、
アマゾンで本を購入すると、その作家の新刊や関連情報を常に知らせてくれる。それは便利でもあるが、うっとうしくもある。しかし大好きな作家の新刊を見逃すのはつらい。そもそも娯楽書はたいていの本屋で購入出来るので、アマゾンを利用していなかったのだ。今後利用すべきか、悩むところ。