この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

宵山万華鏡。

2009-07-14 22:29:12 | 読書
 森見登美彦著、『宵山万華鏡』、読了。

 前作『恋文の技術』が出たのもついこの間のような気がするのだけど、もう新作が発売されたよ。
 今年のモリミーは働き者だなぁ。
 朝日新聞でも連載してるしね(一週間に一回ぐらい載ってないけど。笑。)。

 あまりにも前作との発刊期間が短かったので、もしかしたら『竹林と美女』的なお茶を濁すような作品?と思いきや、全然そんなことはなく、『宵山万華鏡』、傑作でした。
 幻想小説とはこのような作品をいうのではないでしょうか(違うかもしれんけど)。

 祇園祭宵山の京都を舞台にしたお話です。
 たった一晩の間に起こる怪異が幼い姉妹、ひたすら頭の固い男、馬鹿騒ぎが好きな大学生、老画家の姪、画商などの視点で語られるのですが、同じ怪異のはずなのに、語るものの違いによって呆れるぐらい馬鹿馬鹿しかったり、背筋がぞっとするほど恐ろしかったり、にやけるほど楽しかったり、まるで別のことのように思えるのだからアラ不思議。
 まさにこれぞ万華鏡!!

 自分は非常に面白く読めましたが、集大成というほどではないにしても、著者の他の作品と微妙にリンクしているので、いきなりこれから読んでもワケがわからないかもしれません。
 せめて『夜は短し歩けよ乙女』ぐらいは読んどいた方がいいかなぁ。
 まぁ出版順に読んでいく方がよりいいんでしょうけどね。

 それから、他にも同じことを思った人がいるかもしれませんが、自分は本書を読んでいて、あるアニメ映画を思い出しましたよ。
 騒がしくも賑やかなお祭りの日を舞台にした、永遠に繰り返される美しい夢・・・。
 といったらわかりますか?
コメント (3)
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