外はもう、明るくなり始めていた。
涼しい風が頬に心地よく当たる。
タクシーはすぐにつかまった。
白い座席に埋もれながら、大きく息をつく。
まさか、私が、こんな大胆なことをしてしまうなんて。
でも不思議と罪悪感はなかった。
これは、誰かの奥さんでもなく、誰かのママでもなく、
今現在の自分とは別の自分がしたことだ、と思えていた。
どうせそうなのだ。
家に帰ったら、いつもと変わらず「奥さん」になり「ママ」になる。
「私」なんて家にはいないのだ。
だからせめて、家の玄関を開けるまでは「私」でいたい。
タクシーは信号にほとんどひっかかることもなく、明け方の町を走っていく。
ふと、前にもこんなことがあった、と思い出す。
こうしてタクシーの窓の外を見ながら、涙を流し続けてたのは、いつのことだっただろう・・・。
あれは・・・彼に「好きな子ができたから別れて欲しい」と言われた日だったかな・・・。
急に別れたころの記憶が押し寄せてきた。
今までは、楽しい思い出しか開くことのなかった私の心に、刃のように突き刺さる記憶・・・。
別れたくない!
彼に詰め寄った私の悲鳴。
彼の困り果てた顔。
でも、自分の意志は変わらない、と首を振り続けた彼。
心臓のあたりが冷たくなった。
でも、待って。
と今の自分に声をかける。
今日、あの人は私のことをまだ好きだって言ってくれた。
激しく抱いてくれた。
・・・・・・だから?
また、心臓が凍る。
そんなことを言っても、結局、あの時と同じ。
彼は他の女のところに帰っていくのだ。
苦しい。胸が苦しい・・・。
胸をかき抱いたのと同時に、携帯が鳴った。
メールだった。
彼からのメール。
緊張しながら、開く。
そして・・・・・・涙が溢れてきた。
涼しい風が頬に心地よく当たる。
タクシーはすぐにつかまった。
白い座席に埋もれながら、大きく息をつく。
まさか、私が、こんな大胆なことをしてしまうなんて。
でも不思議と罪悪感はなかった。
これは、誰かの奥さんでもなく、誰かのママでもなく、
今現在の自分とは別の自分がしたことだ、と思えていた。
どうせそうなのだ。
家に帰ったら、いつもと変わらず「奥さん」になり「ママ」になる。
「私」なんて家にはいないのだ。
だからせめて、家の玄関を開けるまでは「私」でいたい。
タクシーは信号にほとんどひっかかることもなく、明け方の町を走っていく。
ふと、前にもこんなことがあった、と思い出す。
こうしてタクシーの窓の外を見ながら、涙を流し続けてたのは、いつのことだっただろう・・・。
あれは・・・彼に「好きな子ができたから別れて欲しい」と言われた日だったかな・・・。
急に別れたころの記憶が押し寄せてきた。
今までは、楽しい思い出しか開くことのなかった私の心に、刃のように突き刺さる記憶・・・。
別れたくない!
彼に詰め寄った私の悲鳴。
彼の困り果てた顔。
でも、自分の意志は変わらない、と首を振り続けた彼。
心臓のあたりが冷たくなった。
でも、待って。
と今の自分に声をかける。
今日、あの人は私のことをまだ好きだって言ってくれた。
激しく抱いてくれた。
・・・・・・だから?
また、心臓が凍る。
そんなことを言っても、結局、あの時と同じ。
彼は他の女のところに帰っていくのだ。
苦しい。胸が苦しい・・・。
胸をかき抱いたのと同時に、携帯が鳴った。
メールだった。
彼からのメール。
緊張しながら、開く。
そして・・・・・・涙が溢れてきた。