たぶん、時間にしたら5秒くらいの出来事。
でも、その瞬間、8年前にタイムスリップしてた。
鮮明に蘇る、彼のキスの感触・・・。
でも。
「ご、ごめん」
自分でしたことに驚いたように、彼が慌てて離れた。
私も我に返る。
あれからもう8年経ったのだ、と。
今の私は、あの時の私ではないんだと・・・。
「さっき、一人で飲みながら、8年前のこと考えてたから、つい・・・」
「8年前のこと?」
彼が苦笑しながら、また煙草に火をつけた。
「うん。色々ね・・・」
軽く首を振って、その先は誤魔化された。
ちいさな赤い光が、薄暗い公園の中を蛍のように舞う。
「大丈夫になったの?」
煙草を灰皿に入れながらこちらを見られ、ハッとした。
そうだった。私スッピンだったんだっ!
慌てて、再び両頬を手で覆い、下を向く。
「大丈夫って?」
「ほら、こないだの電話の時、元気なかったから」
「ああ、うん・・・・・・」
大丈夫、ではない。
でも。
階下からの苦情、なんて所帯じみた話はしたくない。
夫とのすれ違い、なんて愚痴だらけの話はもっとしたくない。
息子の障害のこと、なんて心配かけるような話は絶対にしたくない。
「・・・うん。大丈夫」
「全然大丈夫じゃないでしょ」
彼の優しい声に、崩れそうになる。
「オレでよかったら、話きくよ?」
くらくらする。
これ以上、ここにいたらダメだ。
「私・・・帰るね」
でも、その瞬間、8年前にタイムスリップしてた。
鮮明に蘇る、彼のキスの感触・・・。
でも。
「ご、ごめん」
自分でしたことに驚いたように、彼が慌てて離れた。
私も我に返る。
あれからもう8年経ったのだ、と。
今の私は、あの時の私ではないんだと・・・。
「さっき、一人で飲みながら、8年前のこと考えてたから、つい・・・」
「8年前のこと?」
彼が苦笑しながら、また煙草に火をつけた。
「うん。色々ね・・・」
軽く首を振って、その先は誤魔化された。
ちいさな赤い光が、薄暗い公園の中を蛍のように舞う。
「大丈夫になったの?」
煙草を灰皿に入れながらこちらを見られ、ハッとした。
そうだった。私スッピンだったんだっ!
慌てて、再び両頬を手で覆い、下を向く。
「大丈夫って?」
「ほら、こないだの電話の時、元気なかったから」
「ああ、うん・・・・・・」
大丈夫、ではない。
でも。
階下からの苦情、なんて所帯じみた話はしたくない。
夫とのすれ違い、なんて愚痴だらけの話はもっとしたくない。
息子の障害のこと、なんて心配かけるような話は絶対にしたくない。
「・・・うん。大丈夫」
「全然大丈夫じゃないでしょ」
彼の優しい声に、崩れそうになる。
「オレでよかったら、話きくよ?」
くらくらする。
これ以上、ここにいたらダメだ。
「私・・・帰るね」